そうだ!火を起こそう
あれは日本にコロナがやって来た年のゴールデンウィークのこと、
私はとても退屈していた。
どこにも出かけることができないのである。
家で何かできることはないか…。
ある朝私は突然閃いた💡❗️
「そうだ!火を起こそう。」
前からいっぺんやってみたかったのである。
私は例によって旦那に持ちかけた。「きりもみ式で、火を起こさないか?」
旦那は言った。
「いいけど。」
こうして私達は貴重なマスクを
身につけてホームセンターへ向かい
材料を手に入れ、YouTubeなどを参考に見よう見まねできりもみ式火起こし器を作った。
我が家には電動ドリルもある。
アホな私のプランに毎度毎度人力で付き合うのにくたびれていつの間にか旦那が購入した。
そういうわけでわりとはやく、きりもみ式火起こし器は出来上がった。
順調!!
きりもみ式火起こし器とは、弥生人も使ったといわれる火起こし器で、水平な棒を上下に動かすことで、垂直な棒が回転し、その先端と木切れの摩擦により火を起こす火起こし器である。
いよいよ午後から実践だ。
暑くなってきたゴールデンウィークの日差しの下で
我々夫婦は火起こしにかかった。
紐がビュンビュンゴマのように
よく縦棒を回す。
いい感じ!
だんだん手つきが慣れてきて
どんどん勢いよく回るようになる
白い煙が出てきた🤍
入学式以来一度も登校できないでいる一年生の次男も庭に出てきた!
いいとこ見せてやりたいね!
白い煙から火をどうやってとりだそうか考え始めた頃、
ギャラリーが増えた。
「何してるのー?」
次男のストリートフレンド2人だ。
みんな暇だよね!
ウェルカム❣️
私は得意げに答えた。
「火起こししてるの!庭に入っていいよ。みていく?」
ヒマを持て余したキッズはなだれ込んできた。
しかしその後、白い煙はいっこうに火種になる気配はなかった。
飽き始めたキッズ達に、私は虫眼鏡と黒い色紙を渡し、私のいる側で太陽の光で焦がすようすすめた。
虫眼鏡は簡単に白い煙を上げた。
軽い疲労感を覚えながら
諦めそうな心を鼓舞した。
きりもみ式火起こしのいいところは
太陽の力を必要としないところだ。
しかしながらその日、火がつくことはなかった。
反省会は夜行われた。
台となる板に穴を開けるべし!
酸素と結びつきやすいのでは?という考察だった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
翌日、台となる板に大量に穴をあけて紐の調整も行い火起こしに取りかかった。
いい感じ!
白い煙はやすやすと立ち上り
黒い焦げが穴の周囲できてゆく!
またやって来たキッズ達も黒い焦げの出現に目をむいた。
この日虫眼鏡に飽きたキッズ達は
私達夫婦の作業を追い越すべく
熱心に木の板を石で擦り始めた!
キッズ達の声が聞こえる
「煙が出て来たぞ!!」
んなわけあるか。
キッズ達は狂喜しながら午後中
木の板を石で擦っていた。
そして私達夫婦も午後中
火起こし器で黒焦げを作っていた。
この日は黒焦げ止まりであった。
夜の反省会。
私は言った。
「やっぱり無理じゃない?
材料に問題があるかもしれない。
燃えやすい木があるのかも。
作り直すのも面倒だしあきらめないか?」
旦那は言った。
「いや。あとちょっとなんだ。
必ず火は起こる🔥🔥🔥。種火を受ける工夫が必要だ。木の屑、それからワタのような繊維が必要だ。」
私はシュロ縄をほぐして明日に備えた。旦那の頭に撤収の選択はなかった。やるしかない。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
3日目 キッズがやって来た。
「まだやってんの?」
ええそうです。
まだやってるんです。
キッズ達も若干仕方ないという感じで、石で木をこする仕事に取りかかった。
お?
なんかシュロ縄がいい感じ。
もうちょっとで火がつきそう。
でもつかない。
半ばあきらめつつも
そんなステージに到達したその時
キッズのお父さんがやってきました。
「こんにちは〜。なんか息子から面白いこと聞きましてね。ちょっとみてみたいと思って😊」
「なかなかうまくいかなくてなんか3日目なんです。」
私は答えた。頭の中では
「マジか!!?ますます引き下がれなくなってしまった!」
である。
こうしてキッズパパも見守る中、火起こし器を扱う私の旦那の顔は真剣そのものであった。
「あらいい男。」と私が思ったかどうかはさっぱり忘れてしまったが
とにかく少しすると
シュロ縄よこせ!
はやく!!
と旦那の指示がとんだ。
種火を繊維に埋めてそっと息をふきかける。
火が消えないようにそっと。
そうしてシュロ縄繊維に一気にふぁっと火はついた!
こうして
ご近所も見守る中
3日かけて
ゆらゆら家は
火を手に入れることが出来ました。
シュロ縄繊維大事です。
何回か再現出来ました。
なんのはなしですか。
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