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逍遥遊

足切りから約1週間。
り切れていた心身が
回復のきざしを見せ始めている。
完全な休みにしてしまうと
取り戻すのがたいへんなので、
気の向くまま英語だけ細々と続けてはいた。
ただそれは、
受験勉強というよりも
文学による魂の休息という意味合いが
まさっていたと思う。
そんなわけで、
コーヒーを淹れるための湯を沸かすときだけ、
キッチン向かいの本棚から
高倉健のエッセイや
ニーチェの言葉を拾っていたものだ。
けれど、
愛国心や過信といった蒙昧もうまい
に不快の念が湧くこともある。
求めた先に答が得られないとき、
ふと気がつけば風景が心に。
自身が風景に溶け込んでいる。
陽の光や川の流れ、
風のそよぎ。
猫の足取り。無心の目。
エサをついばすずめたち。
蒔かず、刈らず、蔵に収めず。

雨読は忘れないまでも、
晴耕を大切にしよう。
『逍遥遊』
と荘子がいった。


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