帰ってきた紅白歌合戦 第14組
【辛い洋酒】
『ウイスキーが、お好きでしょ』 SAYURI(石川さゆり)
VS
『メモリーグラス』 堀江淳
前回の紅白では、『おもいで酒』と『夢追い酒』とド演歌対決だったので今回は洋酒対決です。でも『メモリーグラス』は演歌っぽいし、石川さゆりはすっかり演歌歌手ですが。
『ウイスキーが、お好きでしょ』 SAYURI(石川さゆり)
(作詞:田口俊 作曲:杉真理 1990)
すんません、これ平成2年ですけどご勘弁を。ホリプロからデビューしたが、当初は森昌子、山口百恵の影に隠れてまったく売れず、というかプロダクションの手が石川まで回らなかったらしい。『津軽海峡冬景色』が大ヒットするまで4年ぐらいかかってます。今は日本を代表する歌手ですね。ピンク・フロイドのファンで、わざわざアメリカまでコンサートにいったことあがるらしい。奥が深いです。
I『メモリーグラス』 堀江淳 (作詞作曲:堀江淳 1981)
メロディーは違うが、詞はまったく演歌です。それに男性が女性の立場から歌う日本ならではの演歌の王道ともいえる女唄です。ミューミュージックでもこのパターン多いです、例えば『神田川』『22才の別れ』もそうです。
この男性が歌う演歌・フォークの女唄は貧乏臭くて嫌いなんですわ。ところがオシャレな歌謡曲は許せるという身勝手な意見なんですが。例えば布施明『そっとおうやすみ』菅原洋一『知りたくないの』とかは許します。
特に男性が歌う女唄は女性が一方的に耐える・身を引く・相手の幸せを祈る・日陰の女でいいのと囁くパターンが多い。男性の妄想でしかあり得ません。
1960年代のレイ・チャールズの『旅立てジャック』なんかは直訳すると『出て行ってよ!ジャック』であり、旅立ちなんてカッコいいものではなく、家から追い出される男性の話です。
日本では1981年であってもこのような曲が受けるのですわ。やれやれ。
英米ではこのような女唄はない。なぜなら男でも女でも、私は「I」、あなたは「You」しかないので。日本語では「俺」、「あたし」、「・・なのよ」、「・・なんだ」のような男言葉・女言葉があるから。英米では男性の立場からの歌を女性が歌う場合は「she」を「he」に、「girl」を「guy」に替えてます。ミラクルズの『Tracks Of My Tears』はリンダ・ロンシュタットが歌ったバージョンでは上記のように替えてます。『朝日のあたる家』はアニマルズ(男性)が歌うバージョンでは娼館を刑務所に替えて歌ってるそうです。
例えば『思い出のグリーングラス』の元歌は、明日処刑される囚人が観た故郷の夢を歌ってますが、訳詞では故郷の歌だけになってます。どうの日本のメジャーな歌では、詞に事なかれ主義がはびこってます。その現状は現在も変わってないようですね。
出場者(25組)一覧表は以下
https://note.com/rock_n_soul/n/nd6396cb1d82c/edit
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