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ときどき事務所の近況(2021年2月)〜SNS フォロワーからリアルな関係人口への広がりとかなんとか〜

この奇妙な拠点を巡る「異常事態」

ども。株式会社Rockakuの森田です。
ちょっと前まではフリーランスやクリエイター向きの経営話を中心にフォロアーを増やしてきた僕ですが(とは言え未だにジリジリ読んでいただけていて、いつの間にかフォロワーが6800とかいってました。びっくり!)、ここ最近は新拠点「ときどき事務所」の話を書いています。これまでのあらすじは下記の記事に詳しくありますんで、よかったらご参照ください。

2回目の投稿からの大きな変化としては、フルリモート移行に伴ってあまりにも使わなくなった改装費ウン百万円の大塚オフィスを解約して、登記を戸田公園の「ときどき事務所」に移したこと。そして、「ときどき事務所」を訪れる人たちが日増しに増えてきたことがあります。

今回は、まちづくりや地域創生などで用いられる「関係人口」みたいな話を軸に、この奇妙な拠点を巡る「異常事態」について書いていきたいと思います。

お金を払い、近所の人を頼るという関係性

そのことに気づいたのは、旧オフィス解約後、行き場を失った荷物をまとめて「ときどき事務所」の4畳半バックヤードにぶち込んで途方に暮れていたときでした。もうね、肉体的にも精神的にも片付けられる気がしなかったんですよ。で、しょうがないので、軽い思いつきで、「ときどき事務所」のInstagramを使ってストーリーズでこんな投稿をしてみたんです。

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当時のフォロワーはたぶん300弱じゃなかったかな。しかし、その反響は予想を反するものでした。投稿後、わずか数時間で5人(いずれも会ったことはない人たち)からメッセージが届いたんですよ。しかも高校生、主婦、社会人まで幅広く。

いただいたメッセージを読んでいくと、みなさん別にアルバイト代目当てではないんですよね。言い方はそれぞれではあるものの、「興味はあったけど、関わるきっかけがなかった」という趣旨のお声がけばかりでした。ありがてえ。

このとき僕はひとつのことを思い出しました。それは2回目の投稿でも書いた、とある会社の社長さんから投げかけられたこのフレーズ。

人を呼びたいならカフェとか店の方がいい。コーヒー1杯300円でも"お金を出してその場にいる"という関係性はとてもシンプルに完結していて、安心感があるから。でも、"とりあえず無料です。どなたも気軽に遊びに来てください"は、逆に警戒されるよ。

飲食店を経営する気はゼロだった僕は、ずっとこの「問い」に対する答えを探していました。で、ひとつの答えを見つけたような気がしたんですよ。「お金を取って飲食を提供する」という関係性とは異なる、別のアプローチ……つまり、「こちらからお金を払い、助けを求める」という関係性でした。

建前上は金銭を媒介にしているため、お互いの関係性がクリアになる。これは大きかったのだと思います。僕が求めているのは労働力だし、でも、もっと言えば頼ることができる近所の仲間でした。それがしっかり伝わったからこその反響だったと思います(的な会話もしましたが概ね正解でした)。


細々と続く不思議なご近所づきあい

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アルバイト募集と並行して、もう一つ、変化がありました。それは、企業中心だった問い合わせや訪問の申し出が、徐々に個人レベルに広がって行ったこと。いや、もうちょっと砕けて言えば、毎日のように、フォロアーの方がお菓子を持ってふらっとやってきて、コーヒー一杯飲んで(ちゃんと距離を取って軽く雑談して)帰って行く様になったんですよね。

こう書くと、別に何の変哲もない話のように見えちゃいますけど、いわゆる広告制作会社として捉えたらけっこうな異常事態です。業界とか関係なく(とは言えクリエイターの方も多いですが)ふらっと誰かが来るという敷居の低さはかなり異常です。

その結果、徒歩圏にフリーランスのデザイナーさんが3人も住んでいることがわかりまして、そのうちの1人の方にはお仕事もお願いするようになりました。


コンセプトではなく、不特定多数の意志に流されていく面白さ

もうひとつ、奇妙なことが起きはじめています。募集もしていないのに、絵本がどんどん集まりだしているんです。

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「募集もしていないのに」というと少し語弊があるかも知れませんね。集まってくること自体はすごく嬉しいしありがたいんですが、集まってくるプロセスにかなりの不思議さがありました。

事の発端は、最近お会いできていなかったTさんからの連絡でした。Tさんは印刷・デザインの会社を経営していた方。最近、会社を売却して隠居していたんですが、ある日、「モリテツ、あの変な事務所にさあ、絵本置かない?100冊くらいあるから今度持って行くわ」とメッセージが飛んできました。

もともと、子育て仲間を増やしたいということで、子連れで気軽に利用できる場をつくりたくもあったので、喜んで受け取ることにしました。で、そのことをSNSで投稿したんですよね。

そうしたら……

各方面から「私も絵本を寄贈したいのですが」という連絡が相次いで入るようになりまして。早まって自分で買い足した分を合わせるともうすぐ400冊に届きそうな勢いに……いや、ちょっとした児童館ですよ。

みなさん、絵本って愛着があって捨てられない。でも、ずっと持っていても読まれないのは本に対して申し訳ない……ならば、という気持ちでウチの事務所に託してくださるんですよね。

そうなってくると、この膨大な絵本は、より多くの人に読んでもらえるようにするしかないじゃないですか。そうなると、必然的に下記のようになるわけです。

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まあ、これは試作段階の告知ですが、もう、そうするほかないでしょう。売るわけにも行かないし(そもそも売りたくはないし)、有料で貸すのも変だし、我が子たちだけで独占するのも違うし……

そこには予めつくり込まれたコンセプトなんてなくて、不特定多数の人たちの意志だけがある。その意志の流れに素直に従っていくと、より、多くの人との関係性が広がって行く「なにか」が生まれていく……これもまた、面白い「異常事態」だなと思ったりもしています。


そしてマネタイズへの道。プレイヤーを増やす装置へ

さらにさらに、「ときどき事務所」を窓口として、地元から新しい案件の依頼も入るようになりはじめました。元々、維持費があり得ないほど安い物件なので、もうある意味で、ペイできる筋道も見えてきちゃいました。

そもそも、とある地方都市につくる複合的なまちづくり施設のクリエイティブディレクターを担当するに当たって、研究もかねてはじめた事務所でもあります。そっちのほうも、しっかり活かせる知見が蓄積しつつあるので、合わせれば完全に黒字です。

そしてもう一つ。この場所を媒介にして、「共同企画」というかたちで、さまざまなイベントを仕掛けていく準備も進んでいます。これは、「場」がプレイヤーを増やす装置へと変わるというフェーズ。これによって企画者+参加者という新たな関係者が増えてくと言うことでもあります。

もはや、何を指標にしているか、どんどん謎になってきていますが、元を正せば、「近所に友だちを増やしたい」というシンプルな課題があり、その軸は全くブレていません。別にまちづくりとか地域貢献のためにはじめたことじゃないので、本当は「関係人口」なんて言葉を持ち出す必要もないんですが、しかしながら、純然たるBtoB企業であるコピーライター事務所が、ここまで地域に根を広げられるとは思っていなかったんですよね。

てなことで、我が「ときどき事務所」がこの先、どんな展開を見せるのか……は、正直よくわかりません。ただ、この「よくわからなさ」を共有し、面白がってくれる人が増えていることだけは事実みたいなので、このまま、面白がりながら進んでいこうと思います。

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