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Johnny Winter

Johnny Winter - The Progressive Blues Experiment (1968)

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 英国に於けるブルースギターを弾くロック小僧とアメリカ現地でブルースを弾くロック小僧では圧倒的に差が生じる。黒人ブルースは特殊領域になるので別枠だけど、白人が奏でるブルースでも違いは大きい。アメリカ人のブルースは直系だからストレートに引き継がれている。黒人直系だけど、そこに白人の主張が入るからホワイトブルースの世界になる。英国ではもうひとつフィルターが入る=ナマで見て学ぶ事がほとんど無かったので、憧れの音を如何にして真似る環境で育っている。クラプトン然り。だから独自の文化になったけど、アメリカのブルースを聴くと強烈。

 ジョニー・ウィンターは最初から特殊な人間で、アルビノもあるけど、その分黒人と仲良くなるのも早くて直系ブルースギターを早い段階で吸収していく環境だったようだ。そんなジョニー・ウィンターのアルバムデビューは一般的に1969年。その実1967年には既に一発録音による立派なスタジオ録音テープが存在していて、アナログ時代にはインペリアルレコードからリリースされていた。CDでは「The Progressive Blues Experiment」でリリースされている。ジャケットが良い。普通こういうのはあまりジャケットに拘らないけど、このドブロに映るジョニーはカッコ良い。

 中身の音はもうあのジョニー・ウィンターが完成されてる。23歳らしいがあのままだ。ちなみにドラマーは後にスティーヴィー・レイ・ヴォーンと一緒にやって有名になるダブル・トラブルのトミー・シャノン。この人も苦労人です。一発録りだからナマナマしいけど、最初からあのまま弾き倒すジョニー・ウィンターは手数の多さが特徴的で、音色も歌も独特の声でそのまま。要するにメジャーになる以前から個性的なスタイルが完成されていて、それに磨きをかけただけだが凄い作品。ひとつひとつギターをコピーしようと思っても出来ない。メタルギタリストの速弾きソロの方がまだコピーしやすい。ブルースギターの速弾きはコピーが至極困難で、感情のフレーズがそのまま出てくる技術じゃない部分多いから。

 そしてまた怖い事にアコースティックドブロのプレイもデビューしてからと変わらない巧さ。もう脱帽です。何考えて生きてきたらこうなるのか、それが環境だろうか。同時代に英国でクリームが「Rollin' And Tumblin'」やってたが、こちらも同じくらい凄い事やってる。そんな時代背景を鑑みて聴くとこのクォリティの高さとアプローチに驚く。

 最近ではジョニー・ウィンター自身が制作に関わってリリースされているライブブートレッグシリーズもライブの楽しさを伝えてくれるので集めたくなる。

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