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Japanese 80s Punk

Gastunk - Dead Song (1985)

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 自分の好きな日本のバンド群の中では多分五本の指に入るのは確実だが、それがまさかインディーズのバンドになるとは思ってなかった。ロックを聴き始めて30年以上の月日が流れた中、実に多種多様のロックを聴いた。それでもこのバンドのカッコ良さは今でも褪せる事なく結構なヘビロテで聴く。そして今でも飽きないし、もっと聴きたいと欲求を募らせて聴く度に生き返った刺激をもたらしてくれる。

 「ガスタンク」=「GASTUNK」

 メジャーデビューしてからは「GASTANK」になったけどインディーズ時代が圧倒的にカッコイイ。記憶が正しければシングル三枚出した後に超名作「DEAD SONG」をリリースして当時で一万枚くらい売れたが、ハードコアパンクなのに「Heartful Melody」と呼ばれる旋律が奏でられるので、凶暴さと美しさが同居している作品。まずはシングル三枚の方だが、今では「GASTUNK EARLY SINGLES」で聴けるので以前に比べて入手が容易になった。三枚目のシングル「GERONIMO」が何と云っても最高にカッコイイ曲に疑いはない。タイトル通りインディアンの登場としか思えないアコギを掻き鳴らしたイントロからスネアロールのドラミングが加わり、更にバキのシャウトボイスによる雄叫びでノックアウト。こないだYouTubeで探したらこのシングル発表後のライブの模様がアップされていたのでつい見入ってしまった。ギターソロもメロディアスで良いけど、この頃ギターのタツはまだ17,18歳だけど、マイケル・シェンカー好きなだけあって良いセンス。

 超名作アルバム「DEAD SONG」はジャケットからインディーズの香りがプンプンしていて、裏ジャケ見るとなるほどと思うが中に詰まっているサウンドは素晴らしい。冒頭「黙示録」から重苦しい地獄の底で鳴っているイントロに単調ながらもスリリングで何かが飛び出しそうなリズムとハードなギターがメロディを刻む。そして地獄の底から唸るようなボイスが響き渡りガスタンクの序章らしい楽曲で緊迫感が漂う。そして地獄からのボイスだけが残り、何かを呼び出している被せ方に続いてノイズ混じりの混沌とした音の洪水の中から紡ぎ出される歪みまくったギターリフの「Night Sight Light」。早くもバキ独特の歌声によるシャウトともメロディアスとも云える歌が叫ばれ、タツのギターソロも見事な展開を持った一級のプレイ。ベイビーのベースは一糸乱れぬヘヴィーさと正確さを持って迫って、間髪入れずにハードコアパンクの真髄と云えるパワーに満ち溢れた「War Bird」が続く。Bakiの強力なハートフルメロディーと共に聴く者に戦慄を与えてくれる。更に続けて暴れ出したくなるリズムとパワーの「胎児(SAD)」で血が騒ぐ。ベイビーのベースが凄い音でクローズアップされて、暴力的なガスタンクの真骨頂を体現している。

 アナログ時代はB面に突入して先ほどまでの暴力的なハードコア路線から少々離れたベースのリズミカルなイントロに合わせて軽めのリフから始まり、ちょっと息を抜けると思いきや、単なるイントロでA面どころではないくらい究極のハードコアパンクエネルギーで聴く者を壊すパワーで迫り来る「Computer Crime」。リズムや雰囲気が変わりつつもこのハードコア路線で貫けるレベルの高い曲だからB面も恐ろしい。タツのギターとベイビーのベースが絡み合って紡ぎ出されるサウンドにバキの美しいメロディが溶け込む、素晴らしき「Lastest Dream」。単調な面もあるが、ここはバキのメロディと表現力の豊かさでハードコアパンク調ながら、最後で新たなリフによる展開を見せてフェイドアウト。これだけで立派な曲が出来るリフだが、惜しげもなく単なるエンディングで使ってしまうとは自信の現れ。そして最高にハードコアパンクな曲「Inter Lader」が始まる。ライブで聴いたら暴動起きてもおかしくないレベルながら、タツのギターやバキの歌はメロディがあるので単なる単調なパンクに終わらない。ここまで来たらもう最高の二曲しか残っていないが、まずは「The Eyes」。ガスタンク史上かなりの名作に入るバリバリのハードコアサウンドと美しきサビのメロディが重なり合った傑作で、ギターの旋律も良いがハーモニックスのタイミングが凄く心地良く、ギターソロも凶暴さと色気を持っている。特に後半のメロディアスなリフレインは、日本で最高と言っても過言ではない美しいフレーズの傑作中の傑作。そしてガスタンクの、いやロック史永遠の名曲「Dead Song」。ここまで来てようやく単なるハードコアパンクではない証とばかりに美しくも激しい楽曲を見せてくれる。美しいアルペジオギターに素晴らしいメロディを刻むベースラインが絡み、そこへハードなギターが登場して美しきハートフルメロディが歌われる。これしかないギターソロが続き、美しきアルペジオと風の音に包まれる中間部の後エンディングに向かいこの素晴らしいアルバムは終わりを迎える。

 疲れるけどカッコ良い。聴く度に刺激を受けて目付きが悪くなる。彼等もルックスはキワモノだったけどそれ以上に音楽がしっかりしていた。もっと受け入れられても良いバンドと思うが、アングラ路線に留まっていたポリシーも良い。

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好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪