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俺は俺である喝采、運命論

BOSSDOM 5.28 東京

36歳だぜ

3歳児だと発して、暴れ回るラストTHE DEBUT。
本能のSKY-HIここにあり。腹いっぱいの夢を見た。

変に感情移入することなくアーティスト、ボスどちらのSKY-HIに対しても決意を目の当たりにすることが出来たことはこの日の収穫である。

”運命論”〜”フリージア”

「全て決まっていた」

何年も声高に発していた言葉。SKY-HIから言わせれば初のアリーナツアーを大歓声で迎えたこの光景もそうなるべく運命ゆえのものだったのだろう。


ただ、それゆえなのか、仕向けられた喝采にすら感じた。

序盤はとにかく踊らせてバイブスを高まらせる。

久々にReddyくんが来てくれて、Name Tagまでやってくれてグッと来ちゃったり。

”Seaside Bound”で会場の波を最高潮のものにさせた。

そして、からの”運命論”のターン。

これはやっぱり狙った構成なのだと思う。

非現実的なエンタメは好かないという発言を裏づける能動的なエンタメだった。

序盤の前振りがなかったらただの宗教染みた”運命論”だったと思うし、それはもう言葉通り仕向けられた喝采だ。


BOSSDOMは恐らく対客ではなく対自分である。八面六臂は「俺を見てくれ」とまではいかなくともSKY-HIのアーティシズムが全面に出たショー劇だった。

対してBOSSDOMはこれまでの俺へのリスペクト、これからの俺(アーティストでありボス)に対する決意だったのではと見ている。

開場中、JAPRISONの音源が流れていた。このツアーはSKY-HIというアーティスト、人間が最も露骨なツアー。きっとこのツアーを経ないと本能のままバーっと歌って踊るツアーは出来なかったのではないか。

だから開場中はプロローグのようにJAPRISONが流れていたし、あの時を連想させる檻の演出があった。オープニング映像で脱走がテーマだったこともそう。

ワンマンを見るたびに思う。彼は1ミリたりともアーティストとして積み上げてきた経験価値を振り払ったことなどないのだ。

まさかJAPRISONの続きをここに来て回収させてくれるとは。

むしろ距離感が近くなった気がすると感じていた直近2.3年の感覚の理由に辿り着いた。

“I am”
運命論からの流れでガッツリ掌握した覇権を持って繋がれた口語集1ページ目。
不覚にも笑っちゃった。あまりにもエンターテイメントだったからかな。
からのSky’s The Limitも良かった。何十年もかけて描いたアートに威厳が宿ったような。

SEが"I am"だった。ここでもオープニング回収か。

輝くために生まれてきた、の輝きってこれなんだなあと思った。

生きる意味も価値も何度も証明してくれたSKY-HI(の音楽)は間違いなく私の中で輝きを持ったものである。

2023はそんな彼に王冠を。

彼にとっての最高を証明された瞬間とやらは何度も見てきたはずだ。
ここに来て王冠を授ける。つまり、本当の意味での輝きを目の当たりにした。

今まで見せてくれた証明はSKY-HIがSKY-HIとして跳躍するための輝きだったのかもしれない。いわば、「頑張ったで賞」の輝き。

BOSSDOMで見せてくれた輝きは身体の内から溢れ出る煌めきそのものに映った。

何度も言っているが、根っこは変わらない話。
キャリアの中でずっと何かと戦ってきた。少なからず今も戦っていることだろう。

ただ、ライブにおいて感情を前面に放出していようとSKY-HIから「笑顔」が消えることはなかった。

やはり、安定を求めているよりも多少困難であろうと、果敢に挑んでいる方が健康な気さえする。これは去年の1212から思っていること。

SKY-HIが自分で決めた道ならそれが最もだとBOSSDOMを通して考えた。


八面六臂の時も過去の演出を連想させるものが多くて感動していたが、BOSSDOMもしっかりあった。

「エスコートするぜ」

序盤で高まって、運命論で完全掌握の話を書いたが、この時点でFLYERSは彼にエスコートされる運命だったってわけね。


さすがエンタメ性の高いライブ。生ゆえのトラブルは付き物である。
まさかの初手からイヤモニが不具合。2曲目まで何も聴こえなかったらしい。
2曲目終わりの転換で修復作業。
自身のパフォーマンスに関わることだ。この瞬間気が逸れるのは仕方ない。
にもかかわらずSKY-HIはこの時ですら視点の対象はFLYERSに向いていた。

思えば過去のライブにおいてトラブルが発生した時も笑わせてくれていた気がする。

もっと言えば、BOSSDOM全体を通して空間から気が逸れることもなかった。

踊らせる天才でる。

ただ踊れる曲が目白押しだったからではない。エスコート力に長けているのだ。

途中で感じた”仕組まれた喝采”こそエスコートの境地であり、心からの喝采に変わったのは、彼が運命を貫いたからである。


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