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冬のトレイルにメリノウール手袋

強い寒波がやってきた。とはいえ、少年時代のように、家の外が真っ白になり、手がしもやけで赤く膨れ上がるようなことはなくなった。日本の冬はずいぶん暖かくなった。ウインドシャツを羽織り、アンダータイツにおたふく手袋社製のロングシャツ。ユニクロのフリース手袋、頭にはバフを被せて身軽に出走した。バックパックにはソフトフラスク500mlを一本、念の為にタイガーのマグボトル350mlに温かい紅茶をつめた。そうして今日も早朝からトレイルに入り、大会に向けて地道にトレーニングを積んでいた。

登山口の寒暖計は5℃。山頂はおそらく4℃程度下がっている。まあ、すぐに下山すれば問題ないはず。そんな見立てで特に心配することなく最初の急登に取りついた。案の定、直登のこのコースをコースタイムの半分程度で進むと汗だくになる。このコースには久々、ひと月ぶりだったので、ややペースを抑えていた。山頂は珍しく誰もいない。いつもならば、数組のパーティが歓談している人気の山である。これ幸いと景色の良い場所を占拠し、給水、行動食をとる。気温が低いので遠方までよく見渡せる。冬の低山はとても良い。

5分程度だったろうか。胴回りが急激に冷えてきた。それはそうだ。急登をいいペースで駆け上がって来たので発汗著しい。夏ほどではないが汗をかいているので、ウインドシャツを脱いだ背中から熱をかなり奪われた。急いでシャツを着てバックパックを背負う。背中をカバーするとかなり暖かくなった。山頂の寒暖計は1℃。急ぎ下山することにした。
木段を降りながら、手のひらに痛みを感じる。山頂で給水する際にフリースの手袋を外したままだった。急いで手袋をつけるが、遅かったようで暖まらない。痛みが続く。まるで小学生の頃登校中に味わったような手の痛みだった。登山口に戻ったが、気温が上昇したにもかかわらず手の痛みは続いた。

油断していた。いつもなら、防寒のため、登山中の転倒時怪我防止のため、テムレスを装着しているのだが、今回はフリースのみだった。おそらくだが、テムレスをフリースの上から装着していれば、十分な防寒性能を発揮し、苦痛が低減していたことだろう。防寒用で、ランニングに適した手袋は、現在テムレスとこのユニクロフリースのみ所有。洗濯と乾燥の都合から、どちらか一方を交互に使用していた。私の個人的な嗜好だが、テムレスのみで走ると、汗がベッタリと付着して次回不快に感じてしまうのだ。テムレスのみで使用した場合は、毎回洗濯して一晩干している。もし、インナー手袋として使えるものをもう一着持っていれば、テムレスを継続使用できるので、今回のような苦痛を味合わずに済んだ。

早速最寄りのワークマンへ。店員さんに尋ねると、ランニング用のグラブはこの時期(12月)には置かないとのこと。店頭には一般的な防寒手袋と、防寒タイプの作業手袋が置かれていた。悩む。作業用手袋はガード性能が過剰に感じる。手の甲は通気性を確保しているが、手のひら側はゴムで防護されている。ゴムは重量があるので好まない。一般的な防寒手袋はやや貧弱に感じた。ふと、右上方に置かれたニットの手袋が気になる。メリノウール95%以上と書かれている。ガチオさんの動画でしばしば紹介されている素材だ。ウール素材は山で転倒した際に破損しやすいのではないか。しかし、温かいのは確実。値段は950円と、使い潰す手袋としては高い。どうするか。
ふと思い出した。手袋のアウターはテムレスを使っているではないか。転倒時はこのテムレスが強固に防護してくれる。メリノウールは吸湿発熱機能がある。テムレスは透湿防水機能。これはベストマッチだ。心は決まった。商品を手に取り、レジへ急いだ。
帰途、早速着用してみる。温かい。正解だった。テムレスが風を防ぎ、湿気を逃がしてくれている。メリノウール手袋が走るごとに暖かさを増している。

早くこうしておけばよかった。

ワークマンのメリノウール手袋。そして腕時計位置でカットしたテムレス。安価ながら機能は必要十分。

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