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ここ数年のVtuber業界を振り返る

Vtuberの存在が世間で認知されるようになり、
Vtuberなにそれ?ってなる機会もだいぶ減りました。

今回は私から見たここ数年のVtuber業界を振り返ってみようかと思います。
Vtuberの原型事態は2016年よりもずっと前からありますが、私がVtuberについて追うようになった2016年から振り返っていきます。

●2016年 Vtuberとの初めての邂逅

2016年末、私はとあるITベンチャーで働いていました。
当時働いていた会社では週に1度、何かしらプレゼンする機会があり、毎週のように最近リリースされたIT関連の事柄や時事ネタ流行りネタをプレゼンしていました。

そしてある12月のとある日、私はキズナアイが活動開始なる情報を得て、写輪眼の類いかなと思いながらキズナアイの初投稿の動画を見ました。

これがバーチャルyoutuberをはじめて見た機会になったわけですが、想像してたよりもずっと高クオリティで滑らかに動くキズナアイを見て、小声で「え・・・すっご・・・」と思わず言うほど衝撃を受けました。

当時の私は出来たばかりの一企業がこれだけ高クオリティのアバターを使って動かせるのかと大興奮。
あまりに衝撃的すぎて当日は寝る前にあれこれ考えてしまってすぐに寝れなかったのを覚えています。

早速私は次週のプレゼンでキズナアイを大熱弁。

もしこの技術が一般向けに普及出来るようになれば凄いことになるぞ!
今まで世に出ることを拒んでいた逸材もどんどん出てくる!
誰もが気軽に理想のアイドルになれる時代がやってくる!
映画サマーウォーズであったようなアバターで仕事する未来が見えてきた!
これがクールジャパンだ!
実は今の私もバーチャルの存在なのでは!?

等など思う存分プレゼンしました。
今では当時語った通りとはいかずとも、おおかた思い描いていたVtuber業界となり、日々楽しんでいます。


●2017年 Vtuber文化の始まり

キズナアイとの初邂逅の衝撃から、私はVtuberの世界にのめり込み、定期的にキズナアイ含めたVtuber業界の動向を追っていきました。

2017年の半ばを過ぎた頃になると

2017.8 電脳少女シロ誕生
2017.9 ときのそら誕生
2017.10 ミライアカリ誕生
2017.11 バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん誕生
2017.12 輝夜月誕生

といった感じで企業勢・個人勢が次々とVtuber業界に参加していきました。
※もっと早いところで言うと2014年にはウェザーロイド・アイリが誕生しています。

この頃のVtuberは3Dモデルの動画投稿がメインな感じで、

バーチャル空間を活かして何が出来て何が出来ないのか。
収益をどのように確保していくのか。
Vtuberという存在をどういう位置づけにしていくのか。
Vtuberはリスナーとどう接していくのか。

といったようにどの企業勢/個人勢Vtuberも方向性を模索していてとても楽しかったです。
なにしろVtuber事態が出来たばかりの新しい文化で何が正解かわからない時代なわけで、色んな事を四苦八苦しながら文化を根付かせていく過程は、動向を追っていたものからしたら面白くないわけがないですし、新しい事にリスクを背負って挑戦していく姿がホントかっこよかった。

また、当時は他のVtuberとの絡みや中の人を連想させることはタブーな雰囲気で、うちはうち、よそはよそといった感じで微妙に閉塞感があったので、
キズナアイと輝夜月がコラボしたりしはじめたときは感慨深いものがありましたね。

新しい市場を開拓となると、第一人者になってイニシアチブを取りにいったり、自分たちがいかに儲けるかが一番大事ってなるのはありがちですが、Vtuber同士がみんなで手を取り合って、まずはVtuber市場を広げて安定化させていこうぜという動きは泣けました。

2017年末頃になると自分の周りでも徐々にVtuber関連で話が通じる人が増えてきていて、色々話ができるようになったのは嬉しかったです。


●2018年 Vtuber業界の成長

2018年になるとそれまで3Dモデルが主流だったVtuber業界に2Dモデルを主流とした株式会社いちからのにじさんじが参加。

2017年のVtuber業界の苦労を知っていた私は、後発でしかも3Dじゃなく2Dで参入、動画投稿よりかは実況・雑談がメインのにじさんじには登場当初、あまり良い気持ちを持っていなかったです。
※いまではすっかりにじさんじの大ファン

当時働いていた会社は仕事中、音楽を聞きながら仕事しても良い職場だったので、Vtuberも仕事中は音声のみで楽しんでいました。

ただ当時の動画投稿が主流のVtuberは画面も見ていないと面白みが分かりづらかったり、音楽だけだと何が起きてるかわかりいくいという問題がありました。

そんななか雑談や実況が多いにじさんじは仕事しながら聞くには最適で、仕事中はにじさんじ、仕事以外ではそれ以外といった感じで、最初はあまり良いイメージをもっていなかったにじさんじにもハマっていきました。
Vtuberは3Dでなければいけないという私の中の固定概念を破り、2Dでも良いんじゃないかと思えたのはにじさんじのおかげですね。

特に月ノ美兎の存在は大きかった。
見始めた当初はどんどん剥がれていくロールプレイにそれはどうなのって思いながら見ていたものの、巧みな話術と豊富なサブカル知識、咄嗟に出てくる当意即妙な言葉にどんどんハマっていきました。
ヨーロッパ企画の配信等はあまりに面白すぎて、ニヤニヤしながら聞いてしまうので仕事中は封印していたぐらい面白かった。

この頃ぐらいから個人勢の数も爆発的に増えていき、Vtuber業界がどんどん盛り上がっていきました。
収益化が見込めそうとの事で各企業は出資を集めやすくなったり、バーチャルの枠を超えたリアルイベントの開催も行われたり、2017年に実装されたスーパーチャットも徐々に利用者が増えていくなど市場規模がどんどん広がっていきました。
グリーがVTuber特化型のライブエンターテイメント事業を開始し、100億円規模の投資をした事からもその時のVtuber業界の勢いが伺えます。

2018年はそれまで頑張ってきたVtuber業界に関わる全ての人の努力が花開いた年であったように思いますが、それと同時にそれまで足並み揃えて頑張ってきた各企業や個人勢が、Vtuber業界をお互い盛り上げていこうという和気藹々ムードを出しつつも、一歩抜け出そうと動きに変化が出た年でもあったように思います。


●2019年 Vtuber戦国時代の突入と業界の闇

Vtuberもどんどん増えていき世はまさにVtuber戦国時代。
2019年はリアルタイムで交流が出来る実況・雑談に視聴者が集まるようになり、自分の推しだけでなく推しが所属するグループの誰かも見るのが主流になったように思います。
2018年でもその傾向はありましたが、2019年で本格的に方向性がそう固まった感じ。

それと同時に2017年ないしは2018年から急成長したVtuber業界の歪が表面化した年であったと思います。
2019年は企業と演者の確執、著作権問題、個人情報の漏洩、演者変更による炎上等など、調べるといくらでも出てきますし、今更掘り返すのもアレなので詳細は書きませんがとにかく沢山の騒動が起こりました。

その結果、勢いのあったグループの凋落やVtuberの引退につながるなど、業界が抱える問題点が浮き彫りになりました。

業界としては急成長しているものの本格的に業界規模になった年数でいえば3年程しか経っておらず、誰しもが経験豊富であるとは言えないわけで、問題が起こる前のすり合わせや起こったあとの対処を完璧に出来るかと言うと難しい所があったので起こるべくして起こった事ではあるなと思います。

問題となることで業界全体の健常化につながる事にもなるので、2020年以降のより手を広げて行く動きが出る前に問題が起こったことはある意味ではVtuber業界にとってプラスになったのではないかと思います。


●2020年 Vtuberの海外進出

国内のVtuber認知度もあがり、市場規模も右肩上がりでまさに絶好調。
企業とVtubernoタイアップや、実店舗でのコラボ、ライブの開催等、リアルとの連動ももはや当たり前となりました。

とはいえ2020年になってもVtuber業界はまだまだ個人勢・企業勢が鎬を削り合う戦国時代。

特に各企業は国内のシェアを固めていくとともに、日本人Vtuberの海外プラットフォームでの配信や外国人Vtuberのグループデビューに力を入れるなど、海外での動きを活発化させた年でもありました。

国内で根付いたVtuber文化を今度は海外で根付かせる。
少しマンネリ化していたVtuber業界が新たな局面に入り、また面白くなってきた年でもあったなと思います。

もともと日本人Vtuberの知名度は海外でも一定の規模があったことやコロナの影響でネットに触れる機会が増えた事もあり、早くも登録者174万人を超える外国人Vtuberが登場するなど海外展開は理想的なスタートを切れたと思います。

とはいえ海外は日本と大きく風習や考え方が違う事もあり、海外展開には一定のリスクを伴います。
先日は政治に触れたことでとある企業が撤退を余儀なくされる事がありました。

「牛を殺しちゃいけない」、「髪を見せてはならない」、「カメラで地下鉄を撮影」、「子どもの頭を撫でる」等など海外には国ごとにタブーとされる行為があり、意図しない形で動画や実況・雑談で触れてしまって問題になる恐れもあり、場合によってはVtuber業界が国内で問題視されてしまう可能性もあります。

日本人Vtuberの海外進出だけでなく、外国人Vtuberの採用を行っているのはそのリスクヘッジの一つとしての側面もあると思いますが、外国人Vtuberもうっかりミスで炎上する可能性は充分にあります。
2021年はより海外展開を加速させていくと思いますが、日本以上に気をつけながら盛り上げていってもらいたいですね。


●2021年以降の希望

既に動きがありますが、外国と日本をつなぐ架け橋にVtuber業界が一役立てば良いなと思っています。

また、2016年の当初の私の思いとしては気軽に誰もが電子のアバターを持つ未来が来ると良いなと思っていたので、現状、企業や一部の個人に留まっているVtuberの技術が、SNSやオンライン授業とかでも普及すると良いなと思います。
※もちろん企業や一部の個人が持つ技術は投資と努力によって作られたものなので、相当の利益が技術提供者に得られるようになっているのが絶対条件です。

そして、実現したとしてもずっと先になる話ですが、いつかVtuber文化が映画サマーウォーズであったようなアバター体でネット上で仕事したり、SAOみたいにフルダイブ型の世界を楽しめる技術の先駆けとなれば良いなと思う今日この頃。