2016放射線科専門医試験(一次試験)治療分野 解答・解説

2016放射線科専門医試験(一次試験)治療分野解答解説

・このnoteは放射線科専門医試験(一次試験)のうち、放射線治療分野のみに関して解答・解説しています。診断分野・核医学分野に関しては解説していませんのでご注意ください(問題番号4-8、86-105)

・主として放射線科専門医試験(一次試験)を受験する診断科の先生を対象としています。診断科の先生にとって放射線治療は馴染みのない分野であり、正直面倒なところでしょう。
・放射線治療医の立場から、ただ知識を暗記するのではなく論理的思考により答えを導き出せるよう解説しております。ただしどうしようもない選択肢もありますが…
・個人が調べた範囲の解答案ですので、誤植や間違いはご容赦ください。なお適宜アップデートしていく予定です

・ご自身で調べるより、noteを購入していただいた方が費用対効果は高いはずです。

4
半減期、短いやつ。難しいです。
放射線治療で使用される線源には、大きく分けて3つあります。

1:静注(90Y)
2:永久刺入(125I)
3:腔内照射(60CO、192Ir、198Au)

このうち3腔内照射に関しては病院の保有となり、線量が落ちない限りは同じ線源のまま使っていくことになります。したがって半減期近くなると定期的に線源交換が必要になります。7日以下の半減期で線源交換をしていたのでは病院の収益的にも手間的にも全くpayしないですから、これらの線源は半減期が長くなります。
2永久刺入は125Iの前立腺癌への応用くらいでしょうか。永久刺入ですから、半減期が1年とかだったりすると、1年間も被爆し続けるわけですからあまり使い勝手は良くありません。
3静注に関しても同様で、半減期1年だと1年間も被爆し続けますから、こちらも使い勝手はよくありません。甲状腺癌の治療に用いるI131は経口ですが、半減期8日です。
これらの事情を考慮すると、正解はb,cとなり、それぞれ半減期は64時間、2日程度になります。ちなみに90Yは血液系の腫瘍に使われるそうですが、筆者は見たことがありません。

5
全身に4-12Gyを照射することを全身照射といって、骨髄移植前などに行われます。厳密には肺や水晶体をブロックしますが、目的は白血病細胞の死滅と免疫の抑制です。ですから骨髄はすごくダメージを受けるわけで、全身照射の目的を知っていれば回答できます。

答えはdです。

6
高LETとは主として粒子線(陽子線・炭素線)のことであり、細胞の酸素濃度などお構いなく、直接DNAを損傷します。フリーラジカルがDNAを傷つける間接作用は少なくなります。
したがって答えはaとなります。

7
LQモデルの式Biological effective dose(BED)= nd(1 + d/[a/b])を覚えましょう。
選択肢の総線量は30Gyですから、BEDが大きくなるのはd、すなわち1回線量が大きくなる選択肢となります。

答えはaです。

8
覚えるしかありません。a, eです。
放射線感受性があるとなれば、予後が良いはずです。感受性が良いのに予後が悪いは矛盾します。となるとなんとなくb, c あたりは除外できるでしょう。
また甲状腺は放射線感受性が低い臓器となります。

一方GerminomaはCTとったくらいで消える可能性がある腫瘍ですから、間違いなく感受性は高いといえます。
またホジキンはリスクにもよりますが一般的な放射線の線量は20-40Gy程度です。

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