2019放射線科専門医試験(一次試験)治療分野 解答・解説

・このnoteは放射線科専門医試験(一次試験)のうち、放射線治療分野のみに関して解答・解説しています。診断分野・核医学分野に関しては解説していませんのでご注意ください(問題番号1-4、86-105)


・主として放射線科専門医試験(一次試験)を受験する診断科の先生を対象としています。診断科の先生にとって放射線治療は馴染みのない分野であり、正直面倒なところでしょう。
・放射線治療医の立場から、ただ知識を暗記するのではなく論理的思考により答えを導き出せるよう解説しております。ただしどうしようもない選択肢もありますが…
・個人が調べた範囲の解答案ですので、誤植や間違いはご容赦ください。なお適宜アップデートしていく予定です

1
よくある問題ですが、最も放射線に感受性の高い臓器を選べば回答できます。と思いきや、少々悩ましい問題です。

急性被曝の死因としては1)骨髄死、2)胃腸死、3)中枢神経死、4)分子死があるらしく、線量的には選択肢の中のcまたはdが該当するようです。

骨髄死は7-60日後で、出血や感染が原因になるようです。腸管死は7-10日後で吸収障害による体液の損出・感染が原因となるらしいようです。10日後ということを考慮すると、正解はdのようです。なかなか難しい問題です。

のページもご参照ください。

2
難しいことは覚える必要はありません。

亜致死障害とは、1回照射と1回照射と同じ線量を分割して照射した場合、細胞致死効果が異なり、分割照射した場合は1回照射の時よりも生存率が高くなります。この現象を亜致死損傷からの回復と呼んでいます。
http://www.020329.com/x-ray/bougo/contents/chapter3/3-1-ref15.html

一次試験で亜致死障害とくれば小細胞肺がんでの治療を思い浮かべましょう。

加速分割照射は小細胞肺癌に用いられる治療法です。というかこれ以外に加速分割照射をしているがんは経験ありません。重要なのは6時間以上開けて1日2回照射する、トータル45Gy/30回、CDDP+ETP(エトポシド)併用。6時間以上間隔をあけるのは、脊髄の亜致死障害からの回復を待つためです。

この治療法のことを念頭に考えると

a: ×なぜ6時間間隔を空けるのか。上に述べたとおり6時間空けると脊髄が回復するからです。
b: ×回復が大きいわけですから、1日2回か1日1回かどうかでは治療効果に大きな差が出ます
c: ×回復乏しい→細胞いっぱい死ぬ→生存率低下→回復が乏しい場合よりも生存率上昇
d: ◯
e: ×高LET=直接障害の割合が大きい=周辺環境によらない部分が大きい 

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