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ご報告

私、東川亮は、2023年10月23日より、





株式会社竹書房に入社することになりました。

2015年元日にフリーランスとなって以来、8年10ヵ月ぶりの会社員です。



経緯

直接のきっかけは、近代麻雀の前編集長であり今は竹書房の本部長、YouTubeチャンネル「麻雀遊戯王」のプロデューサーも務めている、星野さんのお誘いだった。

実は2年ほど前にもふわっとそのような話があったのだけど、そのときはフリーランスという立場・働き方に対する満足やこだわり、会社員になることへの抵抗などがあって、お断りしていた。時は経って今年の初夏、某所でお会いしたときに食事をする機会があり、そこで改めて声をかけていただいた。

僕の基本スタンスは以前と変わっていない。しかし詳しく話を聞いてみると、どうやら自分の希望に近い働き方ができそうだ。検討してみて入社の意思をお伝えし、社内稟議も通ったということで、晴れて採用となった。

働き方

僕がフリーランスを志した理由はいろいろあるけれど、根本のところは至ってシンプル。

「誰かに決められた時間、誰かに決められた場所で働くのが嫌」

時間を拘束されるのが嫌だし、そもそも通勤がめんどくさい。子どもじみた考えと思われる方も多いと思う。しかしこれがおよそ10年に及ぶサラリーマン生活を経てたどり着いた結論であり、自分の好きな時間に仕事をするライフスタイルを模索した結果、2015年からフリーランスに転身した。

フリーランスは働く時間はもちろん、寝る時間も起きる時間も自由。取材の約束があるときなどは所定の時刻に起きるようにするけれど、目覚まし時計に縛られず自然の目覚めで一日が始まる生活は、寝起きのストレスから全く違う。起きてからも、二度寝しようが役所に行こうが麻雀を打とうが、文句を言う人は誰もいない。

一方、フリーランスであり続けるためには、実績を残して食っていけるだけの仕事を確保しなければならない。かつてのサラリーマン時代と比べると仕事にははるかに貪欲になったし、平日だけじゃなく土曜の深夜だろうが祝日の早朝だろうが、お構いなしに動いた。僕に休みという概念はなく、365日24時間、必要とあらば稼働し、遊びたいときはその中で時間を捻出する。あくまでも主体は自分。そんな日々の中で、僕には自分の人生を生きている実感があった。

今回の竹書房入社を検討するにあたって僕が最重要視したのは、そのライフスタイルを維持できるかどうかだった。そのあたりは、もちろん今までと同じではないにせよ、ある程度融通は利いてもらえるとのことだった。

インボイス・福利厚生

他にも、竹書房に入ることにメリットを感じた点があった。フリーランス・小規模事業者における2023年問題こと「インボイス」である。

ざっくり説明すると「これまで年間売上1000万円未満の事業者は顧客から受け取った消費税の納税を免除されてきたが、2023年10月以降はインボイスを登録しなければ消費税を受け取ることができなくなり、登録した場合は消費税納税の免除はなくなる」というもの。数年の経過措置はあるものの、小規模事業者に対する事実上の増税である。ボケェイ。残念ながら僕は年間売上が1000万に満たない免税事業者であり、メリットデメリットを考えた結果としてインボイスを登録した。

インボイスと竹書房入社がどう関係するか。一番は僕自身の最大の取引先が竹書房という点だ。つまり消費税も、竹書房からもらう分が一番大きいことになる。そのお金が「売上」ではなく「給与」になるとしたら。

給与に消費税はつかないため「消費税として入るお金」は減る。入る消費税は減るが、経費として出ていく消費税は同等。消費税はインアウトの差額を相殺できるので、竹書房に入ることでインボイスがらみの納税額を節税できるのである。

当然ながら竹書房との雇用条件は事前に詰めており、給与額は過去の売上と同程度か、もう少し増えたところからスタートできることになった(※在籍前に関わった本の印税のみ売上計上となる)。また会社組織に属することで、保険や年金、細かいものでは交通費など、福利厚生面での優遇もある。トータルで見ても、メリットは大きい。

竹書房が好き

待遇や働きやすさ、今後の安定、あるいは竹書房に入ることで仕事の幅を広げられそうなど、今回のお話にはいろいろな魅力を感じていた。でも、やっぱり心情的な部分も大事であり、「好きな竹書房から必要とされたこと」は自分の中では大きな要因だった。

僕が竹書房と仕事をするようになったのは2019年の夏。4年間取引をしていた会社から、今のままの関係で続けていけるにもかかわらず誘ってもらえたのは、「コイツは使えそうだから来てほしい」と思ってもらえるに足る結果を残していた証明と言っていいと思う。結果というのは仕事の成果はもちろん、仕事をやる上での姿勢なども含めてのことであり、そのような評価をしてもらえたのは本当にうれしい。

以前、確か年末恒例の竹書房麻雀大会(前年優勝者は俺!)の後の飲み会で誰かが言っていて、印象に残っている言葉がある。

「竹書房は無頼の集まり」

竹書房はもともと自由な気質があり、編集者も独自の個性を発揮して仕事をする人が多かったそうだ。会社だけど働いている人たちは全然会社員らしくなくて、各々が各々のやり方で結果を出す。そういうスタンスは、僕が今まで見てきた会社と全然違っていたし、すごく共感できた。麻雀関連以外でも、僕が好きなポプテピピックを筆頭に、竹書房の出す作品はどこかクセがあるものが多い。そういう組織で自分の考える仕事をやっていけることには、すごくワクワクしている。

業務内容

さて、僕が竹書房に入って何をやるか。仕事の種類は大きく分けて3つ。

  • 原稿執筆

今まで外注として依頼を請けて書いていた「Mリーグ・麻雀最強戦などの観戦記」「取材記事、近代麻雀連載記事」「note記事」などの原稿執筆案件は、会社業務として引き続き担当することになった。報酬を給与としてもらうことになっただけで、仕事内容そのものは変わらない。付け加えると、もしかしたら記事のアップや修正作業にも携わるかもしれないけど、その辺は正直、自分でも触りたかったところだ。

  • 近代麻雀note

竹書房は現在、書籍や出版の仕事と別に、noteの展開に力を入れている。近代麻雀noteもその一つで、今回は僕が運営サイドに入り、記事を書くだけでなく企画も考えて進めていくことになった。僕自身の構想力とフットワークが問われる分野になると思うけど、なるべく早くいろいろな形を提示していけるようになればと思っている。

  • 書籍編集

今回の入社にあたって星野さんから一番力を求められたのが、書籍の編集である。これまではライターとして構成を担当する立場だったのが、入社後は編集者として書籍の企画から進行、編集、出版までに携わることになったのだ。執筆を自分でやることもできなくはないが、抱える案件数を考えると、今後は外部のライターの方に仕事をお願いすることが多くなりそうである。

仕事のレイヤーが変われば、求められるスキルも変わる。さらに、年間の目標も提示されている。かなり高いハードルだと思うけど、ここをクリアすることで道は開けるので、思い切りチャレンジしていきたい。

なお、編集者として企画する本は麻雀本に限らない。企画さえ通れば何でもやれるという。僕自身、興味のあるものは麻雀以外にもスポーツとか音楽とか、いろいろある。すでにいくつか構想はあって、早く形にしていければとワクワクしている。

ちなみに僕の所属は「第一編集部」対外的な呼び名でいうところの「近代麻雀編集部」になるそうだが、近代麻雀専任になるわけではなく、誌面制作についても現状担当している記事以外で携わることは、基本的には今のところないそうだ。

フリーライターとしての今後

僕はフリーのライターとして、竹書房以外にもいくつかの会社と麻雀本の仕事をさせてもらってきた。

・KADOKAWA:黒沢プロ本構成、Mリーグ公式ガイドブック原稿執筆

・鉄人社:堀内正人さん本構成

・池田書店:U-NEXT Pirates4選手本構成

他にも現在進行形で動いている話があるし、スポットで記事制作の依頼を受けることもある。また、麻雀以外ではプロスポーツチームのオフィシャルメディアとして、クラブからの依頼で試合日に活動している。

僕が過去の仕事で培った人脈や実績は、間違いなく今後の仕事に生かせるはずだ。Mリーグで言えば、Mリーガーとは全員仕事で何らかの関わりがあるし、Mリーグの広報担当の方や同業のメディアの方々とも、ある程度話せる関係は築けている(と思う)。また、観戦記ライターとしての実績によって、テレビやラジオへの出演、写真週刊誌など他メディアからの原稿依頼もいただくことができた。これらは僕の財産なので、放棄せず今後の仕事にうまく生かしていきたいし、それを竹書房にとってもプラスになるようにしていきたい。

とは言え、他の出版社の方からすれば仕事を頼みづらくなるところはあるかもしれないけど。お話がありましたら、遠慮なくお声がけください。

「就職」と書かない意味

僕は記事内で「就職」という言葉を使っていない。もちろん意図的である。

今回の竹書房入社に関し、僕自身は「フリーランスとしての取引の一環」くらいの感覚で捉えている。Mリーグファンの方であれば「Mリーグ・竹書房バンブーズと選手契約を結んだ」とすれば伝わりやすいだろうか。

Mリーガーになれば麻雀プロの中では恵まれた立場と収入を得ることになるが、その立場であり続けるためには結果、あるいはチームへのメリットを示さなければならず、それができない選手はいずれ契約満了となる。おそらく、今回の僕も同じ立場だ。しかも自分は40代、育成ではなく「即戦力」として活躍することを求められており、ダメなら1年か2年で僕の籍はなくなるだろう。

そうした現状を踏まえ、今回の件も「就職して会社員の安定を得た」とは考えず、あくまでもフリーランスの矜持を持ち続けたままで仕事をしていくつもりだし、その上で成功し、竹書房に貢献したいと思っている。それくらいの覚悟がなければ、きっとやってはいけないと思う。


とまあ意気込んではいるのだけど、当然ながら編集者としては駆け出しになるわけで、分からないこともたくさんある。まずは仕事に関わることを何でも吸収して、その上でプロとしての自覚を持って、今まで以上にいい仕事をできるように頑張っていきたい。

今後ともよろしくお願いいたします。


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