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Butterfly Effect Part.1 -Love is the answer-

常日頃口にする言葉は絶大な力を発揮し、やがて現実となる。

私の友人は、「ーのおかげ」とよく口にする。

そしてまた、「愛」という言葉を何度も、何度も口にする。

この二つの言葉が美しく混ざり合い、そして互いに重なり合って、一つの大きな人生映画が出来上がる瞬間を、幸せ者の私はこの数ヶ月後、まさに目の当たりにするのであった。



「バタフライエフェクトを起こしたいんよなあ!」

目をキラキラ輝かせながらジンジャエール片手に熱く語り出す友人M。

いつも地元の3人で集まるとなると、決まってこぢんまりとした毎度同じ居酒屋に集合する。

私が実家に帰るたびに、快く集まってくれる2人の友人にはいつも頭が上がらない。

友人Mの結婚式を約半年後に控えたある日の3人の居酒屋での会話。

「うんうんっっ!」

友人Yが興味深そうな表情で身を少し乗り出しながらMの話を隣で真剣に聞いている。

バタフライエフェクト(バタフライ効果)とは、「非常に小さな出来事が、最終的に予想もしていなかったような大きな出来事につながる」ことを意味する言葉である。

日本のことわざでは、『風が吹けば桶屋が儲かる』(一見関係のないようなことが、意外なところに影響を及ぼす)と類似している。

気象学者エドワード・ローレンツ氏が1972年に行った講演『ブラジルでの蝶の羽ばたきはテキサスでトルネードを引き起こすか』から由来している。

この講演の主旨は、「蝶の羽ばたきは、将来そこから離れた場所で竜巻を引き起こすかもしれない。天候を決定づける要素は複雑に絡み合っているため、どれだけ計測精度を上げても天候を正しく予測するのは難しい」というものである。

これは、コンピュータを用いて長期の気象予報を計算していた際にシステムダウンにみまわれ、やむなく再計算を行ったところ、再計算の際に含まれていた小さな入力誤差(これを分かりやすく、一匹の「蝶」になぞらえている)が、全く異なる将来の予報につながったというローレンツ自身の経験をもとにしている。

そんな経緯で出来上がった「バタフライエフェクト」という少しファンタジー要素さえ少々ある言葉を、まさか彼女の口から放たれたことに対して私は正直驚きを隠せなかった。

なぜ私がここまで驚いたか。

それは私は人生でトップ3に入る大好きな映画の一つが「バタフライエフェクト」であったからである。

過去に戻る能力を持った主人公は、自殺した初恋の人を救うため、何度も過去に戻って女性が幸せになれる人生を模索する。

カオス理論の中のバタフライ効果にヒントを得て、些細な過去の変化が未来にどう影響するかを描いたSFサスペンスであり、主人公の一途な愛を描いたラブストーリーでもある。

こんなに美しい映画をかつて私は見たことがない。

そこからだろうか、勝手ながら彼女の結婚式と自身へのとてつもない繋がりを感じ始めたのは。

「私の結婚式に来てくれた人たちが、1人でも多く間接的に何か大切なものに気づけて、そして幸せを感じて持って帰ってくれればいいなあ」

そううっとりした表情で漠然と語る彼女がいつになく眩しかった。

小汚い居酒屋が、なんならオシャレな今時のカフェにさえ見えてきた。

一世一代の自分の結婚式でただでさえ精一杯のはずなのに、この期に及んで他人の幸せのことまで気にしてるよ、、いい奴すぎるにもほどがあるわ。。。

なんて独り言を心中で1人つぶやく。

私達3人の中で一番早く結婚をし、人生のステージをまた一つ新たに進めることとなった彼女。

この先に待つ様々な試練や困難をものともせず跳ね除けていくような、そんな真っ直ぐすぎる輝かしい眼差しに私は絶大な信頼をおいていた。



彼女の結婚式の数日前、結婚式当日に演奏される予定のサウンドトラックがLINEで彼女から突然送られて来た。

私までもが彼女たちの結婚式のプロデューサーかのように事細かく、そしてココロオドル思いでシェアしてくれた。

2人のプロポーズのサポート役をホテルマンとして去年務めた私は、彼女側の友人代表スピーチを任されていた。

人生初めての結婚式で、しかもスピーチまでとはこれまた光栄すぎるほどだ。

私のスピーチの際の生演奏のバックミュージックとしてPJ Mortonの「BUILT FOR LOVE」が選曲された。

曲名を見た瞬間、これまた痺れた。

“We’re built for love”
“愛のために私たちは作り上げられている”

私達自身が愛を作っているのではなく、あくまで溢れる周囲の愛情たちによって私達自身が成長させられ、そして互いに高め合って作り上げられているという意味である。

結婚式前から山ほどぶっこんでくるなあ、ほんとに。

思わずにやにやしてしまう顔をペシッと両手で叩いてみせた。

そうして、お風呂の中で何度も繰り返しその曲をこれでもかと聴き込んだ。

自分でも引くくらいに。

2人の想いが詰まった結婚式で流れる曲なのだから、歌詞を丸暗記するくらいの気持ちで行ってやろうなんて思ったり。

“Baby, it ain't easy lovin′ you
When the lights shut off and the rent is due
But somehow we always make it through
That's what I call love (yeah, that′s love)
So, even when I fail to take a plane
Baby, you know and I know I ain't goin′ nowhere
I'll stay right here
That's what I call love
Oh, what we have is worth it (yeah)
And we just can′t desert it (love)
We gotta keep goin′ strong (ayy, it's not worth keepin′)
It's not worth keepin′ if it's not worth fightin′ for
No matter how long it takes (no matter how long)
I'm willin' to wait
We can′t lose today (we can′t lose today)
'Cause we were built for love”
“君を愛することは簡単じゃない
電気が止まり、家賃が払えなくても
でも毎回どうにかいつもやり遂げる
それが愛というものだ
だから僕が騒いでも、文句を言っても
ベイビー、僕はどこにも行かないよ
僕はここに留まる、それが愛というものだ
今あるものには価値がある
それを捨てることはできない
"強く生きよう 戦わなければ意味がない”
どんなに時間がかかっても
憎しみに負けるわけにはいかない
私たちは愛のために造られたのだから”

私が一番好きな歌詞である。

まるで今の2人をそのまま投影したかのような美しい純粋な歌であると感じた。

そしてその時ようやく確信に変わった。

これは私の人生において、のちにバタフライエフェクトを絶大に起こす結婚式であるということを。


To be continued…

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