性被害者の恥の感情の出所 ー 家父長制の与える罪と罰 ー

なぜ性被害者が被害現場から逃げ帰り、罪悪感や恥の感情を持ち続け、親にも被害のことを打ち明けられないという事態が起こるのか?

家父長制社会は伝統的に、強姦被害者に「私、汚れちゃった」と自己認識させてきた。「私、もうお嫁にいけない」などと”不適格者”とのレッテルを貼らせ、「惨めな自己」というアイデンティティを植え付けた。 家父長制システムを脅かす存在(制度内に発生している多数の強姦の証拠である被害者ら)に対し「惨めなもの」とレッテルを貼り、不適格で異端な存在として、家父長制は被害者を社会の正道から追いやってきた。多くの被害者は、そのディスコースを信じ、被害を打ち明けること・自分の汚れを知られることを恥だとみなし、緘口を強いられてきた。真に汚れていて不適格で異常なのは、家父長制そのものなのだが。家父長制は、被害者が被害を受けた自分を隠さなければならないように仕向け、結果として彼女らを不可視的存在とすることで、制度の存続をはかってきた。しかし、近年、被害者は、家父長制が定義したアイデンティティ「惨めなモノ」から抜け出し、「サバイバー」として自分達をセルフプロデュースし、表に出てきはじめた(つまり、家父長制の”声”ではなく、自分たちの内側の”声”を聴き始めた)。だが、依然として、私たちは家父長制にとって「面白くないモノ」であることは変わりがない。

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