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息子が暗算大会から得たものとは?-SORO FES 2021と社会情緒的スキル-

オリンピックに対する息子の反応

17日間のオリンピックが終わった。連日、子供達とともにテレビの前で応援したのは夏の素晴らしい思い出となった。世界には様々な国があり、その代表の選手は、この大会のために何年も練習を重ねてきた。そして、その成果を全てぶつける。その姿に私たちは心を動かされた。

しかし、年長の息子にとってはまた違った驚きがあったようだ。

「なぜ、この人は泣いているの?」

これまでの人生で大人が泣いている姿を見たことがなかったのだ。普段の生活で、保育園ではお友達が泣く姿は見たことはある。しかし、先生が泣いていることはない。家でもお姉ちゃんが泣くことはあっても、親が泣くところは見たことがない。大人が泣いたところを見たことがないのだ。その大人が、毎日テレビの前で大粒の涙を流している。

「人はね、痛かったり、悲しかったりする時だけではなくて、頑張ったことができて嬉しい、できなくて悔しい、ありがとうという気持ちが溢れて涙が出ることもあるんだよ。」

私の模範解答とも言うべき返答にも「へーそうなんだ」といまいち理解できない反応だった。これから成長するにつれて人の気持ちがわかるようになってほしいと親としては切に願う。

オンライン暗算大会SORO FES 2021への参加

そんな息子が8月8日、東京オリンピックの最終日に、そろタッチのオンライン暗算大会SORO FES 2021に参加した。SORO FES 2021とは、総勢600名を超えるそろキッズが各国から大集合し、個人戦16ブロック、団体戦52チームにわかれ、暗算力を競うイベントである。

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そろタッチ学習を始めて約1年。365日ほぼ休まずに15-30分の暗算学習を続けてきた。アスリートとまでは言わないまでも、年長の普通の子供が休まずに1年も夢中になって練習を継続することは頑張ったねと言いたい。

1年間続けるとどのような暗算能力が身についたのか。この表で「S12」ステージである。例えば、足し算、引き算で言うと2桁の7口レベルである。

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ちなみに、ミズーリ大学のネルソン・コーワン氏は、2001年の「マジカルナンバー4」という論文で、短期記憶の容量限界は「3〜5個のチャンク」であるとしている。

報告の時の要点は3つまでと言うのはよく聞くし、電話番号は×××-×××-×××と3つのチャンクで構成されている。日常生活でもこの容量の限界を意識した設計がなされていることに気付く。

7口の足し算引き算を暗算で行う息子の暗算能力は、一般的な人間の短期記憶の容量を超えている。当然、親である私の暗算レベルも超えている。さらに、Uレベルでは10口の暗算もできるようになる。幼少期の適齢期にその時にしか伸ばせない能力開発を行うことは大事だとつくづく感じている。

さて、肝心のSORO FESだが、息子は同じS12レベルの国内外のお友達20名と同じ組で対決することになった。メダルを目指していよいよ本番がスタートした。

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最初は「よーいドン」。次々に出題される問題に対して1分間の正解数を競うゲームである。足し算引き算数、掛け算の正解数は11問、9問といつもの練習の成果が出せたようだ。そして最後の割り算。最初の問題から間違えてしまった。焦りが焦りに繋がりなんと正解数はゼロ。練習では起こり得ない不本意な結果である。

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明らかに落胆の表情を見せる息子に対して、心配したお姉ちゃんまで駆け寄ってきた。次の「いくつかな」というフラッシュ暗算を中心としたクイズ形式のゲームも、崩れたリズムを取り戻すことなく終了。。目標にしていたメダルは獲得できなかった。

終了後に涙を流す息子に、私は心を鬼にして聞いてみた。

「どうして泣いてるの?」

「毎日頑張っているのに、上手にできなかったから悔しくて泣いてるの?」

嗚咽を漏らしながら「うん」とうなずく息子を見て、今の彼なら、涙を流すオリンピアンの気持ちがわかるのだろうと確信した。人は悔しい時に泣くのだということを自らが体験し、理解することになった。お兄ちゃんへの階段を一段登れたように思う。

暗算を学習しながら社会情緒的スキルを身につけること

VUCA時代に生きていくスキルとして、社会情緒的スキル(非認知スキル)の重要性が言われて久しい。社会情緒的スキルとは、知識や思考力などのIQで測られる認知的スキル対して、感情のコントロール、他者との協働、目標の達成のことである。

保護者として様々な教材やプログラムを見ていて気付くことがある。多くの教材が、学力を伸ばすための認知スキル重視のもの、そして、協調性や自主性を伸ばすための社会情緒的スキル重視のものと分断されているのだ。

OECDの研究によると、社会情動的スキルは認知的スキルを支えると同時に、認知的スキルに支えられてもいるという関係が明らかになっている。

つまり、感情をコントロールできたり、人の気持ちを理解し協働できるようになると、学力にも好影響を与え得るし、その逆も然りということである。

さて、息子の話に戻ろう。普段のそろタッチ学習で暗算能力という認知能力のど真ん中をいく能力を向上させている。そんな彼が、SORO FES 2021に出場することで、目標の達成に向けて頑張ることや、その結果によって感情が動かさせることを学んだ。つまり、このイベントが、社会情動的スキルに触れるきっかけともなった。

そして何よりの親として嬉しかったのは、翌日からの彼のそろタッチへの取り組みである。大人でも悔しい思いをしたものから一時的に遠ざかりたくなることはある。しかし、彼はその気持ちを押し殺してか、朝からそろタッチ学習へ取り組んでいる。

これこそが、感情のコントロールが学力の向上につながる、つまり、社会情動的スキルが認知的スキルを支えている構図そのものに見えるのである。

嬉しくなって息子の一連の様子を妻に報告をしたところ驚きの一言が返ってきた。。

「あんたに似て、一晩寝たら、昨日のことを忘れている能天気な性格なだけでしょ」と。。

本人でなければ真相はわからないが、SORO FES 2021に出場することによって、暗算能力はもちろんのこと、それ以上に感情を揺さぶられる経験ができたのはこの夏の大きな収穫となったに違いない。

次のSORO FESでは一回り成長した姿を見せてくれるのを楽しみにしたい。

そろタッチ公式HP: https://www.sorotouch.jp

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