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物語詩「忘らるる都」

お久しぶりです。ローランです。
久々にnote投稿します。
どうぞよろしくお願いいたします。
本日もお楽しみいただければ幸いです。

忘らるる都


豊かな緑
豊かな水
活気あふれるその都で
恋に落ちた王女と青年がおりました

隊商を率いてやってきた
その青年が神殿に
供物を捧げる儀式の時に
王女と青年
互いの姿を垣間見て
一目で恋に落ちました

ところが身分の壁が立ちふさがり
二人の心にのしかかる
恋焦がれた青年は
姫への目通り叶えようと
来る日も来る日も
神に祈りと財宝を捧げました

99日目の夜のこと
神が青年に言いました
あと一日祈りを捧げよ
そしてお前が最も大切にしている宝をともに捧げよ
さすればお前の願いを聞き届けよう

喜び勇んだ青年は
願いが叶う100日目
隊商長の証であり
自らの命の炎を封じたダイヤを捧げて祈りました
神は祈りを聞き届け
青年の命の炎を受け取ったその時
地が大きく揺れました
地は裂け
大河の水が覆い
都ごとすべてのものを飲み込んでいきました
神は青年の命のダイヤに姫の命も封印し
地の奥深く深くへと沈めていきました

いまはもう
その地はすっかり緑も大河も失われ
一面に砂が広がるばかり
いにしえの面影も残さない
忘らるる都の恋物語

#言葉の添え木  

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