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映画【緑の夜】「女性が抱える苦痛やストレスの根源の多くは傍若無人な男たちの存在である」


久しぶりに観た映画【緑の夜】は、とても前衛的な印象でした。結論から云うと「女性が抱える苦痛やストレスの根源の多くは傍若無人な男たちの存在である」というメッセージを作品に込めたのではないか、と私には思えました。

ストーリーをざっくり云うと「抑圧された閉塞的な環境で生きる事を余儀なくされた中国人女性のジン・シャ」と「違法薬物の運び屋をしながら自由奔放に生きている髪を緑に染めた謎の女(韓国人)」が出会い、自由を求めて逃避行する、というものです。

劇中では何人かの男が登場します。ジン・シャが働く職場の上司は、仕事中に起きた問題を相談しても全く取り合ってくれません。そして夫からは激しい暴力を振るわれ、逃避行中に遭遇する麻薬密売組織の男や「髪を緑に染めた謎の女」の彼氏と思われる美容師の男からは脈絡もなく襲われたり殺されそうになります。(「謎の女」も、この彼氏によって殺されたっぽい描写があり、いつの間にかスクリーンから消えてしまいます)どの男も、女性に危害を加える事はあっても喜びや心地よさをもたらす事はなく、ビジュアル的にもゾッとするような気持ち悪さと狂気に満ちた描写で登場します。

劇中では「建物に放火した女が逮捕、女の夫が死亡」というテレビのニュース映像をジン・シャと謎の女が一緒に観ながら「夫を殺したい理由はいくらでもある」と呟くシーンが、私には強く印象に残り、冒頭に書いた「女性が抱える苦痛やストレスの根源の多くは傍若無人な男たちの存在である」というメッセージを感じ取ったのです。調べてみたら監督/脚本は女性で、ハン・シュアイという人でした。

余談ですが、私が10代20代の頃、全然意味が解らないのに前衛的なアプローチの映画や音楽に触れて何かを掴もうとしていた、ヒリヒリした感触を思い出しました。因みに、この映画を象徴する緑はハートチャクラのカラーでもあります。ハートチャクラは愛/思いやり/許容と深い関係がある部分です。



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