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母についての話

私が言うのもだが母ほどクレイジーな女を見たことがない。

数々のおかしな出来事があるがその中でも私がとても好きなエピソードを話したいと思う。

大きな声で 

私は好きなゲームがある。
ゲーム機不要、場所は問わず、参加者が2名以上いればいつでもできる。

それは小さな声で下ネタを呟き、交互に言いながらだんだん大きな声量にして1番大きな声量で下ネタを言えた人が勝ちというとてもシンプルなルールだ。

周りの人に気づかれない絶妙なライン探りながら、他人に白い目で見られない程度のスリルを楽しむ。これがこの上なくワクワクするのだ。

そしてこのゲームを伊是名島から本島に来ていた母親とやることになった。
新都心にあるアップルタウンの2階で。

まだ純粋だった4歳頃のオレ

ゲームのはじまり

アップルタウンにはご飯を食べにやってきた。
駐車場で母にルールを説明し、このゲームをやらないかと誘ったところやりたいとのこと。

車から出てアップルタウンに向かう道中からゲームはスタートした。

最初は囁き声程度で私は「アナル」と呟いた。
始めの私の声より少し大きめな声量で母もアナル返しをすぐさまにした。 

そうやって我々はテンポ良く順調にアナルを繰り返した。

そうしているうちに店内に入り、ゲームを中断することなく続けていた。

しかしながら私は世間体というものは少しばかりか気にするほうだ。
お店に入る前までに一刻も早くこのゲームを終わらせないといけない。

そう考えた私は段々ボリュームをあげ、もうこれ以上無理だろうと言う声量を一気に出した。

それに対し母は臆することなく真顔で
アップルタウン2階に響き渡る絶叫に近い声量で『アナルッッツ!!!!!!!!!』と叫んだ。

目の前を歩いていたカップルが驚いて振り返るほどの声量だ。

やめて、やめてくれ…………と本気で焦った。
私はこのゲームを誰と対戦しても負けたことが今まで一度もなかった。

自分から誘っておきながらアップルタウンの2階で轟いたアナルには心底恥ずかしい思いをしたが、他人の目を気にすることない母を少しだけカッコいいとも思えた。

母からの恋愛アドバイス

母は私を20代前半で産んでいる。
それゆえ30超えて独身、子なしの私は母にとって心配のタネなのだ。

今までお付き合いしたことあるすきぴを母に紹介したこともあるが、付き合ってる間に母からすきぴに対してネガティブなことを言われたことはない。

私があまりにも結婚のけの字も出ないため、
『もしかしてロマ子は女の子が好きだったりしないの?それでもマミーはいいんだよ。ロマ子が幸せなら』と言ってくれたこもある。

私はゴリゴリッの男好きなんだけど…と
親子でする会話とは思ない話をしたりすることも。

そんな母はいつも遠くから私の恋愛を見守ってくれていた。

なぜかモノクロの二十歳頃の母

昔から母は『結婚はしなくていいから』とよく言っていた。『結婚しなくていいけど子どもは作っておいたほうがいいと思う』とのこと。

きゃべつ太郎氏と付き合う前には
『ロマ子は精子を選べる立場にあるんだから
いい遺伝子を選びたい放題だよ』

『無理して男探す必要ないよ。今時精子バンクあるんだから精子選ぶのもアリじゃない?』
と精子バンクの打算をされたこともある。

たしかに私は結婚願望はあまりない。
だけどロマーシアジュニアは見てみたい…

精子バンクという手もあると親から言われることは皆んなあまりないだろうが、結婚してないと一人前の人間として世間から認められないような気がしていた私にとっては救われる言葉だった。

きゃべつ太郎氏とお付き合いした後も
『大好きな男とずっと一緒にいれる方法は料理で胃袋掴むことじゃないよ。子どもできることだね』とやっけーしーじゃパワーかましたアドバイスを教えてくれた。
(やっけーしーじゃパワーとは沖縄で〝厄介な先輩の圧力‘’的な意味合いだはず)

独特の愛情表現

私は一人っ子だ。
30超えた今でも母からすればまだ私は赤ちゃんみたいに見えるのだろう。

東京に引っ越してから沖縄には一度しか帰ってない親不孝者だが、沖縄にいる時は本島と伊是名島の距離間だったため、定期的に会えていた。

会った際はハグはもちろんのこと、外国人の挨拶のようにキスを求められていた。

沖縄生まれ伊是名育ちの私は生粋の島んちゅである。すでに立派なアダルトになった私は大好きな母だろうが挨拶にキスはしたくない。

生まれ育った伊是名

嫌がる私にどうキスをするか母は考えたんだろう。

私が寝ている隙に無抵抗のほっぺにちゅっちゅっしていたのだ。
私は違和感で起きると目の前に犬のような姿になった母がいたのだ。
突然の出来事に思わず悲鳴をあげた。

想像してほしい。
目覚めると自分の母が犬のようになっている姿を。とても怖い。

手は繋ぎたいし、ハグもしたいし、一緒にお風呂も入りたいらしい。

しまいにはシラフで『ロマ子〜!愛してるよ!』と突然電話してくることもしばしば。

母へ


東京に来て恋愛で失敗し、一人暮らしして。
身内や友達も全くいない環境で独りぼっちになってとにかく寂しかった。

先の見えない不安に幾度となく押しつぶされそうになって、自暴自棄になったこともあったけど
絶対的な愛情をくれ、何があっても味方でいてくれる母という存在が遠い遠い東京の地に住む私にとっては生きる糧だった。

母に会いたい。
母より先に死んではいけない。
心配させないためにも絶対に私は幸せになる。

そう強く思えたからこそ、苦しい時も乗り越えることができたのだ。

私は今ね、とても幸せだよ。
大好きな人が側にいてくれて、ペットの蟻たちも100匹ぐらいまで増えたよ。 

遠く離れてなかなか会えず、寂しい思いさせているかもしれないけど、貴女が母親であることはどこに行っても私の自慢です。

この先もずっとずっと愛してるぜ、マミー。

おわり



















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