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中学受験で失うもの


母親のキャリア

我が家のみーちゃんは、日本の学年暦だと小学6年生になるので今年が中学受験の年であった。私が子供に中学受験をさせないと決めた1番の理由は、私の収入が減るからである。フリーランスとして働いている私は、稼働時間=売上に直結する。私が子供の中学受験の為、夕方からスタートする仕事を断れば月の収入は1/2くらいになるだろう。同業者の多くは、子供が大学に入学してから講師業を始めた人が多い。逆に子供の中学受験をサポートするため、仕事の量を減らしたり数年間ストップした人もいる。

高校受験とは異なり中学受験は、親の動力がキーポイントとなる。多くの小学生は、遅くとも小4の2月から中学受験対策(通塾)をスタートさせる。当然、9歳の子供が①学習スケジュールの管理、②食事の手配(お弁当)、③プリントの管理、④塾との擦り合わせ、⑤予習・復習のフォロー、⑥試験対策、⑦送迎、など多くのタスクを一人でこなすことは出来ない。つまり、親子で伴走するレースである。つまり、子供の中学受験のサポートをしている間、私の稼働時間は大幅に減少することになる。

もちろん、子供の受験をきっかけにビジネスを始める佐藤ママのような人もいるが稀なケースである。だとすると、私の収入が1/2になる期間が3年近くもあり、尚且つキャリアアップにも繋がらない(職務経歴書に記載できない)となると損失が大きい。

リラックスした環境

私の知る限り、子供が中学受験をする期間家庭内ではピリピリしていることが多い。私は職業柄、100%フル回転の状態で仕事をしているので家にいる時はグダグダしたい。また、受講生のモチベーションを高めるために叱咤激励し続けて仕事終えた後に、さらに自分の子供にまで同じことをする気力もない。家庭では、皆んながダラダラとクラゲのように過ごすことが私の理想である。

子供は勉強に疲労し、親は子供の勉強をサポートすることに疲労し、そして夫婦仲まで悪くなるというのは良くあるパターンである。さらに、中学受験に否定的な旦那(オール公立)から協力を得ることは難しい。私の友人は、婚活する際の条件として中学受験経験がある人を希望していた。中学受験者と未受験者は、相容れない気がする。ただでさえ喧嘩の多い夫婦なの、でこれ以上ネタを増やしたくないという気持ちもある。

大学受験が前提の人生

中学受験のモチベーションは、大きく分けて2つあると思う。1つ目は、ある程度(関東であればGMARCH以上、関西であれば関関同立以上)の大学へ入学できる保証(まれに退学や推薦が貰えないこともあるが)を確保しておこうという学歴先行投資である。又は、子供が就職活動をする際に書類選考において落とされないレベルの学歴を与えたいという親心かもしれない。

2つ目は、難関大学(旧帝大、早慶、医学部など)へ入学するために中高一貫6年間通してサポートしてくれるサービスを買うためである。実際に東大への合格者は、50%以上が中高一貫校出身者である。また、中高一貫校へ入学する子供は、勉強熱心な子が多いので誘惑が少なく学業に集中できる環境を提供するためでもある。

つまり、中学受験時期(12歳の時点)に大学へ進学することを前提とした人生プランが出来上がってしまう。10年以上非常勤講師として、高等教育に携わってきた者からすると「大学」に行くよりも専門的な技術を身につけた方が将来のためになりそうな学生にも何度か出会った。また、大学へ進学を希望していなかったにもかかわらず保護者からの圧力に根負けして大学へ進学した学生もいる。私は、高等教育を希望する学生のみが大学へ進学すべきであると考えているため、我が子に対して大学へ進学することを前提としたライフプランを親が描いてしまうことに抵抗ある。

以上のような理由は、我が家では中学受験をしなかった。


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