定期テスト
テスト週間4日目、数学のテストをしているときのこと。
私はふと思ったのだ。
これ、穴掘りみたいだなと。
例えば、公式は穴を掘るための道具だ。
シャベルとか、ハンマーとか、ピッケルとか。
これらは事前に先生たちから渡されるので、使い方をテストまでに覚えておく必要がある。
そしてテスト当日。
最初の小問は柔らかい土のようで、シャベルでザクザクと掘り進められる。
ここまでは、忘れずにシャベルさえ持ってきていれば楽勝だ。
しかし、掘り進めるにつれ土が固くなっていき、別の道具を使ったり、使い方を工夫したりしなければならなくなってくる。
体力的にも疲れてきて、少ししんどい。
硬い石などは後回しにして、とにかく掘りまくる。
キーンと言う音がして、
シャベルが硬いものにあたり跳ね返った。
また硬い石かと思い別の所を掘ると、そこも硬くて歯が立たない。
不思議に思い、土を払うと…
真っ黒い巨大な岩がそびえ立っていたのだ。
そりゃあシャベルなんかじゃ全く歯が立たない訳だ。
ピッケルであちこち殴っても、ただ跳ね返されるばかり。
どうしよう。これを無視して、さっき残してきた石を砕くべきかな。
でも、岩の大きさから見て点数はかなり高いんじゃないか。
ーやるしか無い。
とりあえず、今まで使ってきた道具を全て取り出してみる。
まずはピッケル、ハンマー、シャベル。
それから、前回の試験で使った麻紐に、ガムテープと、大きな杭が数本…
大きな杭?
確か…これで大きな岩を砕く方法があった気がする。
神様にもすがる思いで、杭を岩に突き立て思いきりハンマーで叩いてみる。
するとどうだ。
ピッケルさえ歯が立たなかった岩肌に、杭が半分まで埋まった。
これだ!!
一気に光が見えた。
ここから先は授業で習った通りにやるだけだ。
大きな杭をさらに数本、等間隔に一列で埋めた。
そしてそれをハンマーで何回も叩いていく。
やり方はこれで合っているはず。
どうかお願いします…
少し待つと、
ピキ…ピキ…という音とともに、杭に沿って岩にヒビが走った。
そしてヒビが一列に繋がった瞬間、
地響きのような音があたり一面に轟く。
巨大な岩が真っ二つに割れたのだ。
私はあまりに嬉しくて、飛び跳ねそうになった。
テスト終了のチャイムがなる。
解答用紙が回収される中、
私の心は大きな達成感でいっぱいだった。
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