モノの左右軸は対象性が高い(文献)



「鏡映左右反転の物理と心理」の記述

横方向(「左右」)がモノの形状のどのような部分につけられるか、こう記述した。

一般的なものについて

身の回りの物をみて、上下、前後(縦)、横(左右)がどの方向かは、意外と瞬時に直観的にわかる(決められる)のではないだろうか。左右は、おそらく縦(上下)、前後にくらべて、半分に折り返したとき最も照らし合わせやすい(対称性の高い)方向なのではないか?そう言えば、対称操作は、対称性が高い方向で作用させるのだった。全然、左右の形が違った場合、それを照らし合わせるということは普通しないだろう。だから、任意の図形・立体を鏡に映して対照させると、特徴ある方向を上、前として認識し、「左右」が反対になったと考える可能性があるのではないか。

文献などが見つからず、筆者の推測でしかなかった。

MICHAEL C. CORBALLIS Much ado about mirrors

そもそも鏡映反転の論文で対称性は議論されていた。

Ittelson, Mowafy, and Magid (1991) had people adjust enantiomorphs in ways that would reveal their perceived relation to the originals. The objects included rectangular blocks with differently colored sides, unfamiliar threedimensional shapes, and familiar shapes including books, letterhead stationary, and stamped envelopes, and the general conclusion was that "an object appears to differ from its enantiomorph by an apparent reversal along the axis of least perceived asymmetry" (p. 567).

Psychonomic Bulletin & Review
2000. 7 (1), 163-169
Theoretical Notes
Much ado about mirrors
MICHAEL C. CORBALLIS
University ofAuckland, Auckland, New Zealand

Ittelson、Mowafy、および Magid (1991) は、オリジナルとの認識された関係を明らかにする方法で鏡像体を調整するよう人々に依頼しました。 物体には、異なる色の側面を持つ長方形のブロック、見慣れない三次元形状、本、便箋、切手が貼られた封筒などの見慣れた形状が含むものです。それによる一般的な結論は、「物体は、 最も非対称性と知覚されにくい軸を中心に見た目を反転させたような鏡像体とは異なっているように見える」というものでした。(p.567)。

上記文献
Google 翻訳の結果を一部修正

申し訳ないが、うまく訳せない。
「物体は、…鏡像体とはあきらかに異なっているように(配置が)調整された」くらいの意味だと思うが、筆者の英語力ではそのような訳出が正しいかわからない。


初版での記載 ―不必要になった―

しかし、空間に対する認知についての言語学的研究だと思われる以下の記述を見つけた。

鍋島 弘治朗 論文

5.3 まとめ
本節では,瀕戸 (1995) および Fillmore(1997) から,上下,前後,左
右の成り立ちと相互の関連性に関してまとめた。両者の記述はほぽ合致し
ており,まとめると次のようになる。まず,上下は非常に安定して重要な
軸である。次に,前後を規定するのは,人間の場合,進行の前面であると
いう点と知覚の器官の集中であり,人間以外の場合は人間との類推あるい
は関わりである。最後に,左右は非常に対称性が高く,その意味であまり
重要ではなく不安定な軸である。

鍋島 弘治朗
「言語学的アラインメント試論 : 写像 (mapping) の
骨格としての整列 (alignment)」

身体以外のモノの形状一般についてもこの傾向が見られるのであれば、左右は対称性の高い軸が選ばれるものと思われる。

鏡に映った時、左右が逆になる一要因として、やはり、形状の対称性も考えてよさそうだ。


初版:2023/7/31…鍋島 弘治朗 論文
追加:2023/8/7  …MICHAEL C. CORBALLIS 論文