505号室

白血病というアイデンティティの活かし方模索中 いろいろ駄文を書いてみたい

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最近の記事

ショートコント『寝言』

……ガチャリ… あまり音を立てないように自宅のドアを開けた。 同棲している彼女、恵里菜を起こすわけにはいかない。 今日も仕事が長引いてしまい、こんな時間になってしまった。 溜まった疲れを洗い流すように急いでシャワーを浴びた。 歳だろうか、シャワーを浴びた後の疲れの方が大きい気がしてならない。 疲労に疲労を上塗りして何の意味があるのか、と疑問に思ったが、日々の汚れをどんどん蓄積し塗り固めるよりは遥かにマシか。と不毛な自問自答を終える頃にはもう就寝する準備は整っていた。

    • ショートショートコント『おなまえ』

      「息子の誕生日ケーキでして…ケーキのプレートに名前書いてもらえますか?」 「かしこまりました!息子さんのおなまえ教えてください!」 「 محمد عبد الرحمن المجيد 」 「あっ えっ 」 ‎「 محمد عبد الرحمن المجيد 」

      • ショートショートコント『いつものように』

        『貴文くん、悠美さん、 ご結婚おめでとうございます! えーっ、ここからはいつものようにタカちゃんと呼ばせてください。 タカちゃんとは幼馴染で保育園の頃からの友達で………』 〜中略〜 『悠美さんのお父さん、お母さん。 タカちゃん…、いや貴文くんは立派な男です。 絶対に悠美さんを幸せにしてくれると思います。 そして貴文くんのお母さん、 …いやここはいつものように紀子と呼ばせてください。』 『『『『……えっ…………?』』』』

        • ショートショート 『競馬』

          競馬場内にファンファーレが鳴り響く。 俺は相棒の競走馬"スターライナー"の強靭かつしなやかな筋肉で盛り上がった首を撫でる。 ついにここまで来た。 愛する彼女のためにも負けるわけにはいかない。 俺の名前は"木場 悠司"。 ジョッキーつまり騎手であり、 競走馬とともに命を燃やして駆け抜けることを生業としている。 そして今日は初レースである。 応援に来てくれている愛する彼女"夢子"のためにも負けられない。 俺は出走前の夢子との会話を思い出していた。ーーー 時は遡ること、

        ショートコント『寝言』

          ショートショート『飛び込み営業』

          『飛び込み営業は、最悪だ。』 暗鬱とした感情が、つい口をついた。 同じようにホームで電車を待つ女子高生が怪訝そうな目でこちらを一瞥した。 いつからこんな風になったのか。 俺、篠渕渉は今年オフィス用品を取り扱う商社に入社した。 規模は大きくなく、怠惰なキャンパスライフで俺が得たものに比例するかのような小さな会社だ。 この会社に入ったことが、ただでさえ少ない運のツキだったといえるだろう。 旧態依然とした根性論が横行し、罵詈雑言のパワハラなど日常茶飯事である。 まあもちろん

          ショートショート『飛び込み営業』