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『わたしのからだは心になる?』展|神楽岡久美さんが出展されています

『わたしのからだは心になる?』展
会期: 2023年8月30日 水曜日—11月19日 日曜日
平日11:00—21:00/土日祝 10:00—19:00 入場無料
会場: SusHi Tech Square(東京都千代田区丸の内3-8-3)
主催: 東京都

東京都主催の展示企画『わたしのからだは心になる?』展に、神楽岡久美さんが出展されます。今回、神楽岡さんの展示にかかわるグラフィックスのデザインを中村が担当しております。

神楽岡さんの作品群のタイトルであり、そのステイトメントは「美的身体のメタモルフォーゼ」。未来の身体のありかた。それを予見するような拘束具様のシリーズを制作されています。

西洋のコルセット、中国における纏足、各地にみられる装身具や入墨、人工頭骨変形……などなど。それぞれの文化のなか結実した美的基準を達成するため、積極的に身体を変形(装飾/拘束/欠損)してゆく行為がおおく存在します。

そしてこれは流行のアクセサリやファッションをまとうことはもちろん、ボディメイクに化粧、美容整形、プリクラや写真アプリケーションによる盛り、あるいはヤンキー文化圏におけるリーゼントや変形学生服……にいたるまで。いまなお、わたしたちはなにかしら身体を拡張するさなかにいるのです。衣服や装飾品といったデザインされたものをまとう以前に、わたしたちはまず自分自身をデザインしている。物理的な身体はもちろん、それ以前にあるマインドさえも。

Fine Artの翻訳を美術とし、Contemporary Artを現代美術とするならば、その中心にあるのは「美」ということば。こうして、そもそもの美のありかた——そこにある純粋な魅力、それぞれの風土や歴史にひもづく文化的背景と身体性、あるいは内包される過剰さ——を問い、それに自身が触発されつづけることが、神楽岡さんの活動なのかもしれません。

……と。ここまでが中村なりの作家紹介あらまし。くわえて今回、重要なことのひとつは神楽岡さんにとって、留学経験後はじめての展示であることかもしれません。

2022年からこの春にかけ、神楽岡さんは一年ほどニューヨークにおいて活動をこころみられました。人種のるつぼ。そうした月並みな表現が陳腐にみえるほど、多様な文化が混在する都市。制作活動はもちろんリサーチの機会としても、とても充実したものとなったようです。美術館・博物館におけるアーカイヴ調査はもちろんのこと、各国各地域各文化圏から、ここにたどりついたひとたちとの交流。

いまなお世界は多様な文化の集合体であり、歴史化したようにみえた風習も、なにかしらのかたちで現代にのこっていること——さまざまな局面において、それを実体験したことが、とてもおおきなできごとであったようです。神楽岡さんは、もともとプレゼンテーションの密度・精度がたかいかた。今回、ニューヨーク滞在をへて、制作をささえるその背景がいっそう増しておられます。

会場はJR有楽町駅すぐ(数年前まで無印良品 有楽町店があったところです)
入場無料。魅力的な作家が多数出展されています。


28 August 2023
中村将大

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