【詩】北風ビュルルン

羽田空港で風速25mを記録したのは
北風ピューではなく 北風ビュルルン

北風ビュルルン 各地の路線を停止
北風ビュルルン 街路樹をなぎ倒し

『すごいなぁ 北風ビュルルン』
今夜もコーンスープを暖めていた

襖がすきま風でカタカタとなる
北風ピューが来たのかな
『北風ピュー、いるの?』
ボブカットに切ったばかり
私の前髪をフワアっと揺らす
「こんばんは」

あれ ホントに現れた
『北風ピュー、ビュルルンって強いね』
「今夜は北風ビュンビュンとおいかけっこをしてるんだよ」
『そうか。ずいぶん駆け回っているね』

あれ すきま風が止んだ
「僕は北風だけど そのコーンスープが飲みたいな」
『どうぞ』
コーンスープがスッと冷たくなった

「わあ おいしい!」
『うん。コーンスープって冬のアイテム』
「他には冬のアイテムは?」
『肉まんかな』
「へえ!人間の世界にはいろいろあるんだね」

アパートの外を風が強く鳴った
「おうい、ピュー。帰るぞ」
「は~い。また明日の昼間遊ぼうね」
『うん。昼間ね』

私は今日はチャリで日用品の買い出し
セリアからアパートヘ一旦荷物をおいて
アパートからセキヘ行って帰ってきて
スーパーへ行って帰ってきて
クタクタになりながら 
イートインへ向かって
北風ビュルルンと北風ビュンビュンと北風ピューと遊んできた

帰り道 花屋さんに行ったらシャッターがしまってて
お店の人はどうしたんだろうと考えていたら
北風と遊んでいたことを忘れてしまった

もう北風は強く吹いていない
また来年 北風ピューがうちに遊びに来るのを楽しみにしていよう

そう思ったら 突然私の前髪がフワアっとした




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