【日記】室内にいるのに濡れた/2023.07.12

昼休み。しきりに降っていた雨の勢いがおさまるタイミングを見計らって、昨日と同じ喫茶店に行った。ここはとにかく安い。安いうえに親しみのある雰囲気で、居心地がいいのでよく使わせてもらっている。

昨日こんなことがあったので、今日のわたしはもうすっかりサンドイッチの口になってしまっていた。
店はめずらしく混んでいて、マスターはいつも以上に忙しなく料理の準備をしている。(マスターって呼ばせてもらったことはないけど、気さくにそう呼んでいる他のお客さんが羨ましいので、ここでは勝手にそう呼ばせてもらう)

頃合いを見て、マスターに「あの……サンドイッチセットを……」と声をかけると食い気味に「ごめんね〜今日サンドイッチなくて」と断られてしまった。タイミングが合わなさすぎて笑ってしまう。サンドイッチはレアメニューらしい。

別の軽食とドリンクのセットを注文した。値段のわりにボリュームがあっておいしい。雨風とタイピング音だけがある静寂の職場で気の抜けたお腹の音をかき鳴らしていたわたしにとっては、本当にありがたいボリュームだった。

ご飯を食べ終えて、本を読みながらいつまで経っても冷たいままのアイスティーをちびちびと飲んでいた。

このアイスティー、なぜかわからないけれど驚くほど冷たい。一口飲むたびに額のほうがきーんと痛むほどだ。
少しずつ溶けていく氷をストローでいじりながら、なんで喫茶店の氷って真ん中の方がくぼんでるんだろうって、急に疑問に思った。調べてみたら、溶けにくい氷を作るときにくぼみができることがわかった。へえ。昨日より少し賢くなった。

そんなことを考えながらのんびりしていたら、右腿に水滴が落ちた。
一瞬、え?と思ったけれど、たぶんアイスティーのグラスの結露が腕を伝って太ももに零れたんだろう、と思ったので、読みさしの本をもう一度開こうとした。その時だった。右肩の方にぽつ、と雨粒のようななにかが落ちてきた感覚があった。え?

肩の方を見る。確かに濡れている。え、室内だよなここ。雨漏り?いやここ最上階じゃないし、そんなことありえないよな、とかそんなことを考えながら急いで席を立つ。
後ろで片付けをしていたママさんに思い切って「あの、雨漏りしてません……!?」って聞くと、少し驚いてから「あ〜!ごめんなさい!結露!」と言われた。

どうやら、天井に設置されているエアコンの冷風と室内の温度差で送風口のあたりに結露が発生していて、わたしはその真下に座っていたらしい。そんなことあるんだ。

席を移動させてもらいながら、「急にびっくりしたやろ〜」「ごめんなさいねえ、後ろに誰もおらんから安心してね」とかそんなことを言われた。ママさんは、何に使うの?ってくらい長くて細い棒の先にタオルのようなものを付けて、腕を思い切り伸ばして天井のエアコンの結露を拭いていた。そうやって拭くんだ。

この店を知ってから毎日が少しだけ楽しい。もうすでにサードプレイスのような場所になりつつある。今度こそはサンドイッチを食べてみようと思う。

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