【日記】おまかせでお願いします/2023.07.16

最近暑すぎて、髪を下ろした状態で一日を過ごすことに耐えられなくなってきた。頭皮を長い髪で蓋をしているような感じで、頭の熱が全然逃げてくれない。かといって夏の間ずっと結んでいるのもつまらないので、髪を切りに行った。

インスタやPinterestで髪型の参考画像を探してみる。カットモデルさんの写真を見れば見るほど、なにが似合うのかわからなくなってきた。
自分で考えたっていつも同じ感じになってしまうし、もういっそのこと美容師さんにおまかせしてしまおうか。「おまかせでお願いします」って、一生に一度は言ってみたかったし。

ただ、完全におまかせするのは抵抗がある。ベリーショートになったり刈り上げられたりしたらと思うと少しビビってしまう。
だから今回は「ギリ一つ結びできるくらいの長さまでなら、どれだけ切ってもらっても大丈夫です」と伝えることにした。

いま書いたようなことを担当の方に一通り伝えると、「じゃあこんな感じにしますね〜」と軽く説明されてから、髪を濡らして速やかにカットが始まった。

カットされている時って、どこを見ていればいいんだろう。
シャンプー台にいるときは謎の薄くて白い布のようなものを目に被せられるので、何も見なくていい。目を閉じるとうつらうつらしてきて、半分寝ている状態で頭を洗ってもらえる。気持ちいい。

でも、髪を切ってもらっている時に寝てしまうと首がゆらゆらしてしまうから、頑張って目を開く。鏡に映る自分を見る。自分のことをじっと見つめ続けるわけにもいかないので、髪を切っている美容師さんの手元を見る。じっと見つめ続けているわけにもいかないような気がして、目をそらす。
結局、鏡越しに窓の外を見たり、化粧台に置かれたサロン専売シャンプーの広告を5回くらい繰り返し読んだりしていた。

ずっとシャンプーの広告を読んでいるわけにもいかないので、カットが一瞬途切れるタイミングを見計らって雑誌に手を伸ばした。これで目のやり場に困ることもない。

ただ、カットされながら雑誌を読むのはわりと難しい。首を動かしてしまうと美容師さんが切りづらく感じるかもしれないので、なるべく眼球だけを動かして読む。美容学校のマネキンになったような気分で不動を貫いていたけれど、眼球を動かすことに必死になりすぎていたようで、読んだ雑誌の内容は全然頭に残らなかった。

そうこうしているうちに髪が完成した。
「毛先のほう触ってみてください」と言われたので、触る。軽い……!
「夏なので毛先軽めにして涼しげな感じにしてみました」確かに、ずっしりとしていた毛先の一本一本が空気に触れているような気がする。すごい。

さらに、ずぼらなわたしのために、髪を巻かなくても毛先にスタイリング剤を付けるだけでそれっぽくなるようにしてくれた。すごすぎる。「あの……どういう風にしたいか全然考えてこなくって……へへ……」とか言ってへらへらしていた自分が恥ずかしい。この人はわたしよりも、わたしとわたしの髪のことをよく理解してくれている。この人にならベリーショートにされてもいいかもしれない。

こんなことならもっと早く「おまかせ」していればよかった。わたしは心からの感謝を込めて、担当してくださったお兄さんに「ありがとうございます」「めっちゃいいです」「かわいいです」と繰り返し伝えながら退店した。しばらくは、髪を乾かすのを面倒くさがらなくて済みそうだ。

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