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暴太郎戦隊ドンブラザーズの美しいエンディングの入り方

特撮にハマったことなんて無かったのに、気付けばヒーローショーを観に行ったり雉野さんのイメージ香水を買ったりするほど虜になっていました。
はちゃめちゃでバラバラな暴れ野郎たちをリアルタイムで追いかけられた幸せを噛み締めながらドンブラロスを耐え抜いています。

全50話のうち特に好きな回を書き出してみたところ、30話分になってしまいました。やばすぎる。

10話〜19話辺りなんてほぼ全部好き

物語も演出も関係性も大好きなのですが、特に好きなのがエンディング。森崎ウィンさんの歌う「Don't Boo!ドンブラザーズ」が劇中のすごく良いタイミングで流れるので、なんかよくわからなかった回も「いい話だったのかもしれない……」という謎の感動と心地よさを残して締めくくられるのが癖になります。令和のGet Wildとも言われているらしい。

好きな回の話をすると30話分の文章量になってしまって誰も読んでくれないと思ったので、今回は特に好きな回のエンディングに焦点を絞って書いていきたいと思います。

ドン6話「キジみっかてんか」

この回をきっかけに、雉野さん(キジブラザー)とその奥さんであるみほちゃんのことが大好きになりました。

雉野さんは自分に自信が無く、愛する奥さんにふさわしい男になりたいという気持ちから、キビポイント(使えばなんでも願いが叶うポイント)の力でエリートサラリーマンになるものの、最終的には平社員に戻ってしまいます。
体調を崩して入院しているみほちゃんに、昇進が無かったことになったことを伝えると、安心した表情を浮かべて「ちょっとだめなつよしくんの方がずっと良いと思う」って笑いかけるところでエンディングが流れるの、めちゃくちゃ良いですよね……。

幸せそうな雉野夫妻と、それを病室の外から黙って見ているタロウの対比が好きです。背伸びをしなくても、一人の女性を笑顔にすることができる雉野さんに敬意を示すタロウの人間らしい一面が柔らかい表情から汲み取れます。

場面は病室の外に移り、忙しく走り回る看護師たちとそれに支えられる患者たちの日常風景が映されます。何気ない日常を映すことで、キャラクターの他にも同じように生活を営んでいる人達がいることを改めて実感させられるこの演出がたまらなく好き。群像劇としてのドンブラらしさがぎゅっと詰まった、すばらしい数十秒だと思います。

ドン8話「ろんげのとりこ」

この回で完全に雉野さんに沼落ちしました。ドンブラのシリアスシーン大好き。
みほちゃんがとある画家に拉致監禁され、愛する奥さんを傷つけられた雉野さんが怒りのあまり自分の手を汚すことなく画家を殺してしまうお話です。(あらすじを書き起すと雉野さんの狂気性が浮き彫りになるね……)
人殺しの現場から、絵に描いたような幸せな夫婦生活に場面が切り替わる不気味さが印象的なエンディングでした。

自分の弱みや失態を奥さんに見せない雉野さんの心境が美しく包まれたオムレツと重なって、それをおいしいと頬張るみほちゃんの屈託のない笑顔すら危うく感じられます。
この回のDon't Boo!ドンブラザーズは歌無しのエレキギターアレンジになっていて、雉野さんの内なる怒りや恨みがギターの音として表現されているような気がしてとても好きです。トランペットのアレンジが流れる回もあり、同じ曲でもアレンジが変わることでまた違った味わいになっておもしろいですよね。

風に煽られたカーテンが雉野さんの笑顔に影を宿す演出はもう何度観ても「やべ〜……」ってなるし、雉野さん役の鈴木さんの表情のお芝居が上手すぎる。この一瞬だけで雉野さんの抱える光と闇がよくわかります。本当にすごい。


ドン24話「むすこ、ににんばおり」

6話もそうですが、エンディングでタロウの人間らしい一面が垣間見える回は総じて名作な気がします。

荷物の配達先の女性に自分の息子と勘違いされたタロウが、息子の家出により傷心していた彼女のために気が乗らないながらも息子のふりをするお話。
肉親のいないタロウが、智子との時間を通して家族という関係性の唯一性を知っていく様子に微笑ましさと寂しさを感じました。タロウが誰もいない部屋でショパンの「ノクターン」を弾くラストシーンには形容しがたい物悲しさがありながら、人に幸せを届けられたことへの満たされた表情も垣間見えるのがもう……タロウ〜😭😭😭(何も言えない)

家族のあたたかさを描きつつ、人との縁は家族や友人といった何かに括ることができない関係性であってもかけがえのないものであるということを教えてくれる作品に出会えてよかったです。

ドン28話「ひみつのヒミツ」

エンディングも含めて一番好きな回かもしれない。詩的なセリフや演出も相まって独特な雰囲気がありますよね。

犬塚(イヌブラザー)がとあるお嬢様に出会い、今は亡き人気画家の幻の絵画「秘密」を盗みたいという彼女に協力するお話。一見おかしな女の子のように見えるけれど、物語が進むにつれて、怪人化してしまうほどに彼女が絵を欲する理由や亡き画家との関係性が明らかになっていきます。

最後、やっとの思いで手にした絵画に火をつけて燃やしてしまう瑞穂の姿があまりにも切ない。自分の気持ちを自覚していながら、思いを断ち切ろうとする清々しさも感じられる彼女の立ち姿が大好きです。

ひたすらに誰かを愛することの美しさも苦しみもわかっている犬塚が、塵になっていく絵をただ見つめているのもめちゃくちゃ良い。それぞれが背を向けて立ち尽くすシーンで締めくくられるのも美しすぎる………なんだこれ…………


ドン41話「サンタくろうする」

クリスマスのいい話。ドンブラを初めて観る人にもおすすめしたい回です。

タロウが幼少期に出会ったサンタと再会して、リアルサンタの苦労に触れながら、幼少期のタロウにとってのあたたかい思い出にもフォーカスが当たるほっこり回(?)です。

この回のラスト、タロウの子供のようにあどけない表情がすばらしいですよね……。サンタとタロウのシーンも然ることながら、その後に描かれるドンブラメンバーがそれぞれの場所で空飛ぶサンタを見上げるシーンが大好きです。
リビングにいる雉野夫妻、縁側にいる猿原、夜道を歩く犬塚、自転車を漕ぐジロウ、喫茶店で働くはるか先生。それぞれがバラバラに過ごす時間のなかに、同じ空を眺める瞬間があること。そのゆるやかな繋がりに、ドンブラらしさが詰まっているなあと感じます。

ドン42話「ドンびきかぞく」

ドンブラメンバーが擬似家族になって詐欺師を撃退するというめちゃくちゃな回でありながら、最初は他人だったみんながこんなに仲良くなったんだなあ……と感慨深くもなる素敵な回です。タイトルも最高。

この回はエンディングの曲がかかるタイミングがとにかく良いんですよね。お供と主人の関係だからか、なかなかメンバーたちに素直な感情を吐露してこなかったタロウが「寂しかった」と零すところで「どんぶらこ!どーんぶらこ!」って流れるの、本当に良すぎる。
宅配人として日々幸せを運んでいるものの、自ら人との幸せの輪の中に入っていくことはなく傍観しているシーンが多かったタロウが零す「寂しかった」、孤独な幼少期を過ごしてきた重みもありながら思わずぽろっとこぼれてしまった軽さもあってめちゃくちゃ好きです。

家族関係に謎が多い孤独な人たちの集まりでもある彼らにとって、擬似家族として過ごした一日がどれほど楽しいものだったのかがよくわかる犬塚の満面の笑みとサイドキックで締めくくられるのも微笑ましすぎる。

おわりに
他にも「つきはウソつき」のエンディングでタロウがバス乗り場で同僚の親子を見届けるシーンとか、「オニがみたにじ」で空を見上げるはるか先生のかっこよすぎるラストとか、「キケンなあいのり」のバックで迫り来るプリウスに食われそうになるドンブラメンバーとか、「9にんのドンブラ」のDon't Boo!ドンブラザーズトランペットアレンジの多幸感とタロウソノイの微笑みとか、挙げればキリがないくらい全てのエンディングがすばらしくて………。

これを読んでくださったあなたとも縁ができたので、みなさんの好きなドンブラのエンディングもぜひ教えてください!

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