【MLB】スプリッター(フォークボール)は次のトレンドになるのか(上)
最近メジャーリーグの中継を観戦していて気になることがある。
それは「スプリッター(以下、スプリット)」という言葉をよく耳にするようになった気がするということだ。
単に贔屓のチームにTaijuan WalkerとJeff Hoffmanというスプリット使いが加入したからよく聞くようになったのかもしれないし、ポストシーズンで大活躍を見せたNathan Eovaldiがスプリット使いだからよく聞いているように勘違いしたのかもしれない。
とにかく「スプリットが流行しているのかもしれない」という疑問が合っているのか調べることにした。
スプリットの簡単な歴史
殿堂入りの名クローザーBruce Sutterが世に広めたとされるスプリットは1980年代に一斉を風靡。
名投手コーチRoger Craigは多くの投手にスプリットを教え成功に導いた。
特にアストロズのエースとして活躍したMike Scottはスプリットを習得したことで平凡な先発投手からサイ・ヤング賞投手へと飛躍。時代を代表する投手となった。
その他にもRoger Clemens, Jack Morris, David Cone, Curt Schilling, John Smoltzといった80年代、90年代を代表する投手がスプリットを持ち玉として活躍した。
しかし、Craigが監督を務めていたジャイアンツの投手陣に故障が続出するようになると、「肘や肩への負担が大きく故障を誘発する球種」という話が広がり始め、徐々にメジャーリーグでは使用する投手が減少していくこととなった。
実際に流行しているのか?
それでは実際にスプリットが流行しているのか?
まずはstatcastのデータを確認してみよう。
2023年のメジャーリーグ全投球数におけるスプリット(+フォーク)の使用率は2.3%と多いわけではない。
しかし、年度ごとのデータで見ていくと2023年になってスプリットの使用率が増加していることが確かにわかる。
スイーパーとのコンビネーションとしてのスプリット
今年4月にthe athleticに掲載されたスイーパーに関する記事に興味深い話が書いてある。
大流行しているスイーパーとのコンビネーションとして使う球種にスプリットが適しているというのだ。
以下に理由をまとめる。
この記事ではドジャースの投手陣を例にスプリットの話をしているが、その中で名前が挙がっているShelby Millerは今年2023年スピリットを覚えたことで驚きの復活劇を成し遂げている。
また、先ほど名前を出したフィリーズのTaijuan Walkerは昨年オフの移籍会見で投手コーチのCaleb CothamとBrian Kaplanとともに「スライダーやカッターの効果を上げる」という発言をしており、実際に今年2023年になってスイーパーを使用するようになっている。
こちらはスプリットを武器としている投手がスイーパーを覚えるという逆方向のアプローチと言って良いであろう。
大谷翔平と奪三振GIFの影響力
ここまで戦略的な理由からスプリットが今後のトレンドになるのではないかという話をしてきたが、スプリットに興味を持っている投手が増加しているのは他にも理由があるようだ。
現在のメジャーリーグを代表するスプリット使いであるブルージェイズのKevin Gausmanは以下の記事でこのように発言している。
今やメジャーリーグのアイコンとなった大谷翔平の大きな曲がりのスプリットをRob Friedmanを代表とする切り取り動画作成者がSNSで広めることで選手たちにも影響を与えているというのだ。
パイオニアである野茂英雄を筆頭に佐々木主浩、田中将大などNPB出身の日本人メジャーリーガーにはスプリットを武器に活躍した投手も多い。
しかし、今まで日本人投手の影響でスプリットを試してみる投手が増加することはそこまで多くはなかった。
大谷翔平というアイコンとSNSという情報を拡散できるメディアが一般的になったことのマッチングが大きな影響力を生み出していることは間違いないであろう。
後半は現代のスプリット使いたちを紹介
前半ではスプリットがメジャーリーグの次のトレンドとなるのか現地の記事も交えてまとめてみた。
まだ断定はできないがスプリットが次のトレンドになる要素はいくつか確認できた。
来年2024年のシーズン、この傾向がさらに続くのか確認して行きたい。
後半ではKevin GausmanやErik Swansonといった現代のメジャーリーグを代表するスプリット使いたちを紹介していく。
参考記事
ここではnote内では引用しなかった参考記事を紹介する。
'Good Luck': Blue Jays Weigh In On Baseball's Splitter Frenzy
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