とあるCADオペレーターの苦悩〜施工業者とお客様とのコミュニケーションの重要性〜
皆さんこんにちは。RooTreeを運営している住宅ローンアドバイザーのダイスケです。普段はこちらのサイトやInstagramなどで、住宅ローンにまつわるさまざまな情報を発信しています。
私は普段、オンライン・オフラインで住宅業界の関係者様とコミュニケーションを取っています。今回はその中で、とても考えさせられるあるできごとについて取り上げたいと思います。
この仕事、果たしてこのまま請けていいのだろうか?
皆さんは、CADオペレーターという仕事をご存知でしょうか?CADというのは図面作成で用いられるツールで、CADオペレーターはCADを用いて、建築・土木・機械・電気製品などの設計図を作成するのが主な仕事です。
CADオペレーターは住宅メーカーに所属している人もいる一方、実はフリーランスとして活躍している人も少なくありません。私も何人かのフリーランスCADオペレーターと仕事をしています。
そんなCADオペレーターの知り合いの1人(ここでは「Aさん」と呼びます)から、ある日こんな相談を受けました。
Aさん
「ダイスケさん、ちょっとお聞きしたいことがあるんですが、今大丈夫ですか?」
ダイスケ
「Aさんお疲れ様です!どうかしましたか?」
Aさん
「実はこの前、とある業者さんから『新築戸建住宅の間取りを設計して欲しい』という依頼が舞い込んできたんです」
ダイスケ
「お!よかったじゃないですか!」
Aさん
「それが、ちょっと困っちゃいまして……。依頼者はリフォーム事業を手掛ける施工業者の営業マンだったんです。そして、肝心な依頼内容は『35坪の床面積で、2階の戸建住宅の間取りをとりあえず考えて』という、かなり大雑把なもので」
ダイスケ
「え、それだけですか?立地条件とかご家族の構成とか、そういう情報はなし?」
Aさん
「まったくありませんでした。つい先ほどメールで相談があって、どう返信しようか悩んでいるんですよね……」
このCADオペレーター・Aさんにとって、設計図の作成は難しい依頼内容ではありません。現状の情報だけで、先方が満足するような間取りを作成することができます。しかし問題は、この大雑把な設計図で果たして、この営業マンに家づくりを相談しているお客様が満足できるのか?です。
営業マンとしては、取り急ぎイメージ図として、お客様に間取り図を見せてあげたいのかもしれません。しかし、ここまで情報不足だと、お客様の意に沿わない家の間取り図が完成するリスクがあります。しかも、その設計図作成には当然費用が発生するし、その手数料を支払うのはお客様です。
こうした背景を考えた結果、Aさんはこの依頼をすんなり請けていいのか迷ってしまったわけですね。
お客様とハウスメーカーで適切なコミュニケーションが生まれているのか?
私はいろいろ考え、Aさんにこうアドバイスしました。
ダイスケ
「Aさん。もしかするとその施工業者は、リフォーム事業が主体なので新築戸建てを作るノウハウが少ないかも知れません。Aさんにメールをした営業マンは、お客様と適切なコミュニケーションが取れていない可能性があります。実際に依頼を受ける前に、施工業者にお客様の情報を詳しくヒアリングした方がいいです」
このヒアリングというのは、お客様の年収や家族構成、家を建てたい立地のイメージや広さといった基本情報などを指します。また可能であれば、もっとも大切な情報である「家を建てたい理由」もヒアリングしてほしいと伝えました。家を建てたい理由という「なぜ」が分かれば、その分お客様のニーズにマッチする設計図を作りやすくなるからです。
これを読んでいる皆さんは、こうした情報を住宅会社が把握していて当然と考えているかもしれません。しかし、実際には施工業者や住宅会社のスタッフの中には、十分なヒアリング力やディレクション力を備えていないことがあります。
今回の事例のように、リフォームが得意だけど新築物件をいちから建てた経験が少ないからかもしれません。あるいは、営業マンが入社間もない新人で、会社側が用意したヒアリングシートを埋めるのに精一杯という可能性も考えられます。
とある調査では、ハウスメーカーの約9割がお客様とのやり取りでトラブルを経験していると回答しています。今回のケースも、実はあまり珍しいことではないのです。
参考:”いい家の日”(11月18日)にちなみ、住宅会社で接客を担当しているスタッフを対象として「住宅会社のコミュニケーションに関する調査」を実施|株式会社マイホム
お客様はハウスメーカーとのコミュニケーションを妥協しない
今回、CADオペレーターのAさんが直面した「ハウスメーカーとお客様のコミュニケーションリスク」を回避する上で、できることはあるのでしょうか?
お客様サイドでできることは、「施工業者や住宅会社のスタッフに丸投げしない」ということです。家づくりでは考えるべきことが多く、ハウスメーカーとやり取りするうちに心身ともに疲れ切ってしまう方が少なくありません。すると、スタッフからの提案に思考停止で「YES」と答えてしまうことがあります。
家づくりの場合、たくさんの関係者がいて大きな金額が動くので、後々になってそのYESを撤回できないこともあります。だからこそ、大切なのは自分たちの暮らしのイメージをちゃんと言語化できるようにして、営業マンなどスタッフの方々にしっかり伝えられるようにすることです。
また、普段からコミュニケーションを積極的に行って、予算やマイホームのイメージなどを共有することも非常に大切です。多少面倒に感じても、ハウスメーカーとのコミュニケーションを妥協しないという姿勢がとても大切です。
ハウスメーカーがやるべきはスタッフの育成とオペレーションの再考
業者側がやるべきことは、なんといっても「自社スタッフの育成」です。お客様とのヒアリングでは、事前に用意したヒアリング項目をただ質問するだけで終わっていないか。お客様がなぜマイホームを建てたいのか、その理由や想いに寄り添ったコミュニケーションが取れていて、情報として残し共有できる状態にしているか。
こうしたオペレーション部分の改善で、今回のようにCADオペレーター・Aさんという業界関係者を困らせるような依頼を避けることができると思います。ひいては、その行動が最終的なお客様の満足度向上にもつながるでしょう。
家づくりの「不幸」を減らすためにできることを
今回の事例は、私にとっても丁寧なコミュニケーションを心がけようと改めて誓った一件でした。一生に一度とも言える「マイホーム」の買い物を、お客様にとって不幸なものにしないようにしたい。そんな考え方で、お客様と接していきたいものです。
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