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学校の理不尽とたたかう委員会4

思ってもいなかったことがおきた。
 
ぼくとルイの班は公民館へ行き、蕎麦打ちをしているおじさんたちにインタビューをした。そして、図書館や警察署に行っている子たちと合流するために公園へ向かった。公園で休憩してから学校へ帰ることになっていた。
 
ルイは大きなジャグを肩にかけたままだった。重いだろ、と思うのだけれど、ルイはジャグを下ろそうとしなかった。自分だけが大きなジャグを持っていることが、むしろ得意そうでもあった。公園に入って、荷物を下ろすのにいい場所を探して歩いていると、向こうから剛田先生と藤崎先生が歩いてきた。ルイと一緒にいたぼくは、少し緊張した。先生に言おうと思っていたのは…なんだっけ…
 
「お!」と剛田先生が笑顔で言ってきた。
「いいのん作ってもらったな、お前」
ルイが肩からぶらさげているジャグを見ながら言った。
ルイはにこにこしている。
「あら、ほんとだ。何?それ?」
ジャグに気づいた藤崎先生が聞いてきた。
「それ、キヨがつくってあげたの?」
「うん」
ぼくはそれしか言えなかった。
「ルイ、よかったね〜キヨに感謝だね」と藤崎先生が言った。
ルイはにこにこうなずいている。
 
剛田先生も藤崎先生も、出かける前に怒っていたのが嘘のように、2人で笑いながら去っていった。
 
「なんだよ…」
 
ぼくはほっとすると同時に、なんとも言えない複雑な気持ちになった。
 
「だったら最初から怒らなければいいじゃないか…」
 
そして、この時、ぼくは気づいたんだ。
先生たちの理不尽とたたかう方法があるって。
先生たちの怒りを笑顔に変える方法があるんだって。
 
だから、ぼくは、立ち上げることにしたんだ。先生たちの理不尽とたたかう委員会を。                     
                            byこいちゃん

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