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学校の理不尽とたたかう委員会2

今日の3時間目、ぼくたちのクラスは町探検に出かけた。社会科の学習で、
図書館や公民館、警察署などの場所を確認して、そこで働いている人の話を聞くのが目的だ。途中、公園で休憩タイムを取ると剛田先生は言っていて、それがぼくは楽しみだった。
 
2時間目が終わった後の中休み、出かける準備をした。持っていくのは探検バッグと水筒だ。暑いから帽子も忘れないようにと先生が言った。ガヤガヤとみんなが準備を始めた。ぼくが、自分の出席番号の書いた探検バッグを棚から取ろうとした時、剛田先生の大きな声が聞こえた。
 
「なんだよ、その水筒は!そんなもの持っていけないだろ!」
 
なんだろう、と思って振り向くと、剛田先生がルイのところに立っていた。ルイの机の上には、大きな水筒。水筒というより、ジャグだ。バーベキューとかに出かける時に持っていく、大きなやつ。あいつ、あんなものを持ってきていたのか。
 
「あちゃー…」 ぼくは、すぐに、何がおこったのかを察した。
 
「そんなのだめです。手では持っていけません!メモを書くことができないでしょう!もう、のどがかわいても我慢するしかないね」

と、藤崎先生がたたみかける。
 
「ぼくのせいだ…」とぼくは思った。ルイのお母さんはペルー人だ。お父さんは日本人だけど、ルイたち一家はしばらくペルーに住んでいて、二ヶ月前に日本に戻ってきた。だから、お母さんはあまり日本語がわからない。ルイんちはぼくと同じ団地だから、ぼくが連絡係になっている。きのうも、ルイんちに寄って、お母さんに言ったんだ。社会の時間に出かけるから水筒と帽子を忘れないでって。「水筒」がわからないみたいだったから、ぼくは水を飲む真似をしたんだ。そして、「ウォーター」って言った。そうしたら…
 
ルイが、ヘラヘラ笑っているものだから、剛田先生がさらに怒った。
 
「なんでそんな大きいのもってくるんだよ!考えろ、頭使えよ」
 
ぼくは、ルイのお母さんが怒られているような気がして、胸がきゅーっとなった。
                            byこいちゃん
 

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