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学校の理不尽とたたかう委員会3

剛田先生が怒っているのにルイはまったくこたえていなかった。それどころか、ジャグを手にもってみんなと一緒に廊下に並ぼうとしていた。

「おい、ルイ!」とぼくがルイの方へ向かって歩き始めたその時、ひらめいたんだ。ぼくは、教室の廊下側の棚に、スーパーのビニール袋がストックされているのを思い出した。急いで棚に行き、箱からビニール袋を数枚取り出してルイのところに行った。

「それ、ちょっと貸せ」と言ってルイの手からジャグを奪い取った。
そして、ビニール袋を2枚、細長くたたんで、ジャグの持ち手の両側にそれぞれを縛り付けた。もう1枚のビニール袋でそれらをつなぎ、輪っかになるように結んだ。なかなか上出来だと自分で思った。

「かけてみろ」とぼくはルイに言った。

ルイはジャグを肩からかけた。「重くないか?」と聞くと「大丈夫」と答えて、そのまま列に並んだ。大きなジャグと探検バッグの両方を肩にかけて。

剛田先生は、みんなを静かに並ばせようと大声を上げていて、もう、ルイのことを見もしなかった。「早く並びなさい!」藤崎先生は、教室にまだいる子どもたちをせかして外に出し、教室の戸締りをしている。

ぼくたちは、そのまま剛田先生の後について出かけた。先生に何か言われたらぼくは言おうと思っていた。「肩にかけたら、メモが取れるって思いました」って。いざとなったらきっとこわくて言えない。だから、ぼくは心の中で何回も言う練習をした。「肩にかけたらメモが取れる」って。

でも、本当は、ぼくはこう言いたかった。「ルイのお母さんに、先生がちゃんと言えばいいじゃないですか」と。ぼくに連絡係をさせておいて、文句言うなんておかしいと思った。「ルイのお母さんに、わかるように先生がちゃんと言ってよ!」ぼくは、ルイんちの玄関先での、お母さんとのやりとりを思い出して、心の中で言った。     
                            byこいちゃん




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