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好かん殿じょを④嫁を盗む奇習のこと

                         表の間から庭を望む

【 方や、庶民たちはと言うと 】 


  好かん殿じょを 八畳敷ぃ据えて
  見れば蛙どんの おはらハア
  蠅獲い姿
               「鹿児島おはら節」より

《オットイ嫁ジョ》

 さて、「かごんま弁の世界」が醸す雰囲気がおおいに楽しめる歌詞です。私は「おはら節」の中でも傑作と呼ぶべきではないかと評価しています。

 しかし、その分、県外の方や年若い方々には「難解」ということになってしまいます。なかなかに悩ましい問題です。

 気を取り直して、かごしまの結婚にまつわる風習を見ていきましょう。
 こういう話題のときに参考にしたいのが、昭和37年発行の川越政則(故人)著「南日本風土記」(至文社昭和三十七年発行)です。
 戦前から戦後にかけての貴重な記憶がこめられている得がたい資料です。

 本の中に「奇習か、オットイ嫁女(よめじょ)」という項があります。
 「オットイ」とは盗むことですから、「オットイ嫁女」はズバリ「嫁盗み」の話です。

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