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【RX 高岡】 2022.11.13 ツールドおきなわ市民210 優勝!

このレースに対する思い・考えたことは山ほどあるけど、とりあえず速報性を重視して時系列に展開だけをツラツラと書きたいと思います。

スタート〜70kmまで

0−68km

スタートから例年通りに逃げが発生するが、石井さんが積極的に動いている。1人なら良いがこれに井上さん(以下マグロ)も乗る動きがあるので、マグロが動いたら必ず追走する。長距離の独走力は底知れぬ威力があるので、マグロだけは行かせてはいけないと思ってた。
逆に石井さんが動いて逃げに乗る分には容認。というかむしろ行って欲しかった。別に見下しているわけではなく、強力なライバルだけど序盤から逃げ切るのはムリという確信があるから。昨年のアソケイスケ選手のパターン。序盤からの逃げで消耗することによりライバルが勝手に勝負圏外に消えてくれた。

序盤の本部半島の途中の坂を登り終えたところで石井さんが行ったのを見送る。これに有力どころは反応してなくてようやく逃げが決まる。

海岸線を北上しながら集団のペースをコントロールして差が開きすぎないようにする。かと言ってすぐに追いつく必要もない。先頭3名、追走に石井さん含む5名、集団、という構図。
だいたい2分くらいのタイム差で1回目の普久川ダムの上り約7kmへ。

1回目の普久川ダム

案の定逃げは上りに入ってバラける。
集団のペースは速くないのでVC VELOCEのほぼ一本牽き。その後ろでシッティングで登れるくらいのペース。結局ペースは上がらずに平和に1本目の登りを終了。下りは地元沖縄の中鶴さんが速くて森本さんも着いていく。今日のウェットな路面での下りは慎重に走りたいので、少し間を開け安全な路面とラインを見極めつつ下る。普通の滑りやすいアスファルトと赤い滑り止めの路面が混じっているので、普通の最速ラインとは違うライン取りになる。
それでも後ろとは少し離れて下り終えて、落ち着いて1回目の補給をCUBさんから受け取る。

補給所で石井さんを吸収。まぁ力尽きて戻ってきたというわけではなく余力残して流して登って吸収されたというのはわかっている。けど一方でそういう動きが本人が思っているよりも身体へのダメージとなっているのも知っている。

北部周回・エアスプリントから逃げる

半島の北部を回る区間は集団はゆっくり。補給所で石井さんは吸収したが、少し先に数名逃げているのは把握していたけど、気にしない。

2回目のトイレを済ませて奥の登りへ。ここも平和に過ぎる、と思いきや終盤にまたしても石井さんがペースアップ。若いな、というのが率直な完走。
老獪な(老害?)おじさん選手たちはこのような活きのいい動きはしない。
ロードレースでは、特にチーム戦にならないアマチュアでは、各人の思惑があり予測不可能なところが面白い。どういう動き・走りが正解とは言えないが、勝てる可能性を高める走り方ではないと感じていた。
厳しい言い方をすれば自爆に近い。

その動きにイナーメ・荒瀧さんとRXの木村が便乗。石井さん含む3人が抜け出したので当然集団も追走する。
頂上で追いついて一息。のところから石井さんと荒瀧さんがさらにペースアップして逃げていく。集団は止まり、2人がどんどん離れていく。
抜け出し方としては上手い。しつこく、皆が嫌がるところで踏んでいく。けど重要なのはその後に抜け出してからどのくらい逃げる走力を持ち合わせているか。

2人を見過ごしても大勢に影響はない。しかし実績のある2人が攻めているので、もう一人強い選手が加われば見過ごせない動きになるかもしれない。
とか言うのは事後的に書いている事であって、自分が動いた理由として後付けしているだけ。

登りをクリアして後は下って海岸線の平地が続く。集団は飛び出した2人を放置という雰囲気。
瞬間的な判断でアタックしていた。
けどこういう(集団の脚が止まった)局面で自分がアタック→集団が追ってくる、といのは幾度となく経験しており、自分がアタックしたらまず放置・許容されることはない。
案の定、集団からアタックした瞬間に後ろから「行ったぞー(=追えぇ〜)!」の大号令。

そこで瞬間的にフェイクアタックを思いついた。アウターxローギアに近い方でわざと大げさにもがいているけど全然進んでいないというエアアタック風味で。
集団に一瞬走った「追わねば!」という緊張感を和らげる「エア」フルモガキで笑いを取る。
埼玉クリテでヴィンゲゴーやニーバリやフルームなどトップ選手が披露した渾身の(エア)スプリントをオマージュした一発芸。

たぶん、「高岡が仕掛けた!追わねば!」という空気は払拭できたと思う。そこから一呼吸つくかつかないかでシフトアップして本気で踏んでいく。
一瞬集団は「あ、、、!?」となったと思う。
下りを利用して54x11Tまでフルに使ってスピードに乗せて逃げる。
さすがに後ろ見たらそれなりに追ってくる動きは見えた。

海岸線に出る直前にある少しの直線の登り返しでの定点カメラ

前2人(中鶴さん+1)、↑画像先頭の黄色いチャリダーの伊織さん、後ろに石井さん・アラタキさん、それを追う高岡。集団もまだすぐ後ろ。
残り93km。
逃げ切りを考えるにはあまりにも遠い。と普通には思われるかもしれない。
けど自分は2008年にもっと手前から単独で逃げたこともある。
今回は前に居る強豪選手もいるので、協働すれば可能性ゼロではない。

私が追走しているのを見て前は少し緩めたようで、この登りの頂上では追い付く。そして人数増えた逃げグループは一気にペースを上げる。
石井さん、伊織さん、荒瀧さん、高岡の4人で海岸線をローテーション。

海岸線〜2回目の普久川ダムの登りへ

海岸線は風向きも悪くなく。4人でローテーションしてかなり快調に飛ばす。バイク審判から後ろと2分ほどの差と聞かされる。さすがに10数kmの平坦で2分は開かないだろ、と想いながらも後ろが見えないくらいには差ができたのでしめたもの。
ムリしてアタックから限界走行しているわけではなく、うまい具合に最小限の力で抜け出して実力ある人達と合流できたので、上手く回せば面白い展開になる。

残り距離を考えたら圧倒的に集団有利ではあるけど、ホビーレースで大きな集団が集団として機能して効率的なペーシングで走るなんて想像できない。たいていは力のある選手はペースを上げて差を詰めたいけど、くっつき虫がたくさんいるとフラストレーションが溜まって、うまくいかない。

ところがこちら先頭集団も少し問題が。
自分は間違いなく調子良く、かなりのハイペースで走れているけど、周りが少し苦しそう。まず伊織さんがローテできなくなる。アラタキさんとイシイさんと3人で回すが、どうも2人のペースが合わないのを感じる。
自分は確かに調子良いが、さすがにここからの距離を考えるとせめて2回目の普久川ダムを越えて高江〜平良の区間くらいまでは3人で行きたいところ。
後ろの大集団がローテーション回らずにストレスたまるのは容易に想像出来るが、逃げる3人であれば意思疎通して効率よく回せるはずだから。

たぶん集団に対して2分くらいの差を持って与那から2回目の普久川ダムの登りへ入る。

2回目の普久川ダムで単独に

全体像で見ると後半の勝負区間に入る一番長い登り

自分が牽引してペースを作らねばと、登り口からペースを作って走る。アラタキさん、イシイさんの2人はキツかったらツキイチでも良いから一緒に来てくれて、その後のアップダウンで先頭交代してくれれば助かる。
と思ったけどやっぱり海岸線で感じた脚の残り具合は登りで顕著になった。
先頭交代が厳しくなって、少し勾配がキツくなるあたりで2人とも遅れて単独になってしまった。先が長いので待つという選択肢もなくはないが、集団とのタイム差がそこまで大きくないので、待ってペース落として登っていたら頂上では見えるくらいの差になってしまうだろう。
自分はそこまで攻めていないつもりだったので、自分のペースで行くことに。
途中で前で逃げていた2人に追い付く。沖縄の中鶴さんが最終(先頭)だった。しばらく一緒に走るが、やはりじきに居なくなり単独に。

やはり単独になると非常にキツイ。普久川ダム2回目の後半が一番キツかったかもしれない。続けられる限界域で走り続ける。これは、集団に捕まったら勝負することは厳しいかなと思う。

下りは引き続きウェットなので慎重に下り、例年よりもだいぶブレーキを多用。絶対に転ぶのだけは避けたい。そのリスクのない速度で曲がる。
補給所でCUBさんから2回目の補給を受け取って、少し登ってから長い下りへ。

下り〜学校坂〜高江

大きなアップダウン区間への入り口

通称学校坂という5分ほどの登りの前に急な下りがある。80km/h近く出る下りで、ドライであればほぼ問題なく高速で曲がれるが、いかんせん路面がハーフウェットで、サイコンでコーナーの大きさは確認できるけど路面状況までは分からないので、いつでも減速できるスピードで安全に走る。
下りの一番最後に右コーナーがあるのだが、そこがウェットでかなり滑りそうだったので、減速しながら自転車を倒さないように大きくアウトに膨らみ、橋の歩道に乗ってギリギリ曲がりきれた。歩道からジャンプして車道に戻って間一髪。

学校坂は一定ペースで。集団で走るよりは遅いだろうなと思っていたが、Stravaで調べてみたら10数秒差を広げていたみたい。

学校坂の途中で、後続集団で大きな落車があったことを知らされる。それにより状況が混乱していてタイム差は分からない、と。
もちろんレースから全ての落車が無くなってくれれば良い。けど現実問題、様々な要因で落車は起きる。そして沖縄のレースで路面ウェットであればその確率は高まり、そのリスクは単独走よりも集団走の方が遥かに高い。
今日逃げているのはその点でのメリットもある。

登りはプッシュしてペース上げるよりも、なるべくシッティングで登れるようにして脚の温存を図る。
学校坂の上が阿波という地名で、そこから更に緩やかなアップダウンを続けて真のピークである高江まで5kmほどダラダラ登る。この区間がツライ。一人なので速度に乗せにくいが、登り切り〜下りへ入るところと、下りから登り返すところでいかに効率よく走るかを意識。

高江〜平良

この区間は得意。プロの集団に対して単独で20秒落ちは悪くない

高江のピークを迎えてからは、同じようなアップダウンなんだけど今度は下り基調が長い。以前も何度か逃げたことあるけど、この区間の走りはかなり得意。エアロポジションでスピードに乗せて、短い登り返しは勢いを利用して脚をなるべく使わないで登る。

下りも平地も登りも一定のリズムでスピードを殺さずにはイペースを維持する。集団で走っていると当然先頭交代する分速度は出やすいが、速くなればなるほど先頭に出て風を受けたくないという心理が働いてローテーションがうまく回らなくなると思う。
たぶん、後ろでは意思疎通ができずにペースの上げ下げがあって有力選手にフラストレーションが溜まっているだろうなというのが容易に想像できる。知らんけど。
この区間でやはり1分弱タイム差を稼いでいたみたい。
足攣りもなく快調。

登り4連発

167〜184kmで短い登りが6回くらいある。
最初の2つ、又吉コーヒー、慶佐次の補給所、というのは比較的短い。補給所の坂は勾配一定で直線で登りやすい。速いかどうかは別として。

その後少し海岸線を走って、有銘の登り、1分ちょい下って「国道331号線Climb」と続く。この2つが4分、3分、と比較的長くてキツイ。登りとしてはココらへんが一番キツイという記憶があったが、レース中感じたこともやはり同じ。
ただ以前よりはシッティングで登れる時間も多く、その分限界ギリギリ感は少なめ。
余裕があると言えば嘘になるが、過去に本当に死にそうな目に遭いながら逃げていた時よりもしっかりと走れている感じはある。

タイム差はキツイ登りを経ると少し縮まっていたように思う。ただ平地や下りはしっかりと踏めているので、ペースの上下がない分大きく一気に詰められてはない。長い間2分前後の差を保っていたが、これは全然余裕がなく、この終盤の登り区間でこちらが失速すれば1分はすぐに詰められる。
そして1分差で最後の4kmのヒルクライムに突入するのは生きた心地しないだろう。
最後の登りに入る前に2分は持っておきたいと思っていた。

この登り区間に入る前に差は2分30秒程度になっていたので、俄然勇気が出る。
登りを粘って30秒詰められたにしても、平地・下りでは上手く走れている自信あるので、最後の登りまで2分を保つことは不可能ではない。

カヌチャベイ〜最後の海岸線(大浦)

この区間は風があまり良くなくてスピードに乗らなかった。けどエアロフォームを維持してペースダウンしないように頑張る。まだパワーもしっかり出ていて、何よりもタイム差が3分近くまで広がっているのが分かったのが大きい。
散々力を使い果たした後で、このくらいの出力で平地を単独40km/h+で走るというのはまさにしろさとTTでやっていたこと。今までやってきた準備が活きる。
もう少し。もう少し我慢すれば優勝が見えてくる!

最後の登り

4km強の最後のクライム。ここで3分近く差があったので、脚が攣って止まるとか、パンクするとかしない限り大丈夫だろう。
ただし、ここまで単独で逃げてきて相当に身体はキツイ。4kmなんとか失速しないで登り切ることに集中。

幸い坂の途中で友人がRXジャージ着て応援してくれたり、知り合いも多い女子国際のグループを追い抜いたりと、元気が出るような仕掛けもあり、なんとか失速せずにクリアできた。

最後の登りを行く ©MakotoAYANO/cyclowired.jp

登りをシッティングで登れるようになったのは大きな進化。

登り終えて勝利を確信。なんというか、嬉しいという言葉以外に言葉が見つからない。

名護まで下るダウンヒルは100%の安全を期してい慎重に下って、最後の海岸線に出てからフィニッシュまではウィニングラン。

©MakotoAYANO/cyclowired.jp

どういうガッツポーズをしようか、とか考え始めるとたいてい勝利は逃げていく。そういう事は一切考えずに、とにかくフィニッシュラインまでは逃げ切ることだけに集中する。なのでいつもワンパターンなポーズにしかならない。
けど、それで勝ってきたのだから、これからもそれで良い。

リザルト

とりあえず速報性重視で、なんて思っていたけど思い出しながら書きつつデータと記憶を照らし合わせていると、時間が溶けていく。

なにはともあれ、最高の結果が出せた最高の一日。

チームとしては50,140,210の3階級制覇を狙って皆が切磋琢磨してレースに臨んだが、惜しくも遠藤が50kmで2位、KIKが140kmで2位、と一歩届かなかった。

RX trio:  50km 2nd / 210km 1st / 140km 2nd

また来年チャレンジだ。なんなら夢は大きく、チームから100kmを狙える人が出てきて全階級制覇だって夢ではない。

と言いつつ、、、自分がまた来年同様に勝負できるか、全く自信はない。けどやってみなければ分からない。
他の人がダメだからと諦めてはダメで、身体が老化して体力的に不利になるにしても、それを補ってなおパフォーマンスを向上させる工夫とか努力は出来るはず。今年それを証明できたんだから、来年も頑張ってみる。

引き続き応援どうぞよろしくお願いいたします。

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