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人生を変えた一冊。「文芸あねもね」(宮木あや子さま「水流と砂金」)

私は小さい頃から読書が好きで、その時々で読書量に波はあるけれどとにかく大抵はいつも読みかけの本があるし、基本的に本をいつも持ち歩いている。
現在はKindleという文明の利器によって何十冊を持ち歩ける。
何度も何度も繰り返し読む本もあるし、本によっては「これ読んでた時期は確かこういうことがあった時期で……」といった記憶を呼び起こす装置のようにもなる。(香りや音楽と同じようなことが起きる。)

そんな私の人生を変えたと言えるような本が幾つかあって、それを少しずつ紹介でもしていこうかな、と思う。

今回は「文芸あねもね」に収録されている宮木あや子さまの短編小説「水流と砂金」について。

新潮社の女による女のためのR18文学賞を受賞した作家達によるオムニバスで、当初は東日本大震災のチャリティー企画として電子書籍で発売された。
今でこそKindleを持ち歩いているけれど、私はやはり、本は紙で読みたい派だし、当時はまだまだ電子書籍の普及は今ほど進んでいなかった。
なので、最初は読みたいなぁと思いつつ手を出せなかった。
「自粛」とか「不謹慎」という言葉をやたらと耳にした時期で、エンタメを楽しむことになんだか言いようのない後ろめたさを感じることがあった時に、自分が好きなものやことにお金を使ってそれが誰かを救う何かになるというのは、どちらかというと自分自身の救いになっていたように思う。
だから、私は企画主旨にも賛同する気持ちがあった。

電子書籍として発売された「文芸あねもね」はのちに文庫版として紙の本になり、嬉々として購入した。
文庫本は持ち歩いて隙間時間に読めるのがいい。
短編小説が詰め込まれた少し分厚い文庫本は、なんだかヨックモックのクッキー缶みたいだと思った。
いつもの定番の大好きなシガールもあれば、初めて食べるクッキーもある。
そんな感じ。
少しずつ大切に読み進めていたことも覚えている。
そういうところも、ヨックモックのクッキー缶ぽいな、と思う。

なお、私は敬意と愛を込めて宮木あや子という作家をあや子さまと呼んでいます。

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