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「RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴」/荻原規子

<毎週1冊、小説を読むPJ>… No.21
読了日:8.25

「RDG レッドデータガール」について

作者:荻原規子
出版社:角川書店

RDGは、長編ファンタジー小説で、全6巻からなっている。
今回読んだ「氷の靴 ガラスの靴」は、6巻出版後、これまでのおまけである3つの短編と、本編の続編である中編1つが1冊になって出版されたもの。

収録話を簡単にまとめると、↓となる。

「影絵芝居 相楽深行・中三の初夏」
 …深行視点での泉水子との再会〜修学旅行手前(本編1巻)
「九月の転校生 相楽深行・中三の秋」
…深行視点での転校初期(本編1巻の2巻の間の空白期間)
「相楽くんは忙しい 相楽深行・高一の秋」
…深行視点での1A学祭準備(本編4、5巻)
「氷の靴 ガラスの靴 宗田真響・高一の冬」
…真響視点での続編(本編6巻後)

ちなみに表紙絵は真響!


前回はこちら↓


読んでよかったか


6巻を読み終わって、「え、これで終わり!?」となった私的には、続編の存在がありがたかったし、これまでの話でも深行視点っていうのは新鮮で面白かった。ずっと泉水子のこと好きじゃん!

続編は、面白かった。
本編の続編ではありつつも、タイトル通り、真響視点である。
宗田家、そして真響に焦点が当てられた話。
真響にも危ういところがあるんだな、っていうのと、泉水子が思いのほか頼もしい!ってのを感じたな。

結論を言ってしまえば、「…でもこれからですよね!?」感はある。うん。
結末書いて欲しいな、、、

感想


6巻最後に、深行と泉水子がいい感じになって終わってから、この巻を読むと、その恋愛的な面で、うわ〜〜ってなる。(語彙力)

深行視点の3つの短編からは、本当に、「お前、泉水子好きだな〜」ってことがひしひしと伝わってくる。
本編では、「自分でもわかってないけど確実に好きだよね?」と思ってたけど、この短編を読むと、最初はまだしも途中からは確実に自覚あって好きじゃん!ってなった。

自分が相手を好きなのに「俺が必要だって言えよ」って言ったんだ!すごい!!キャー!!!

自分の話をすると、散々恋愛をしてきて、自分って恋愛体質だなって思ったけど、結婚してもう確実に新しい恋はない、状態になると、曲でも漫画でも恋愛ものにあまり感情移入できなくなって。あっても、思い出を重ねるくらい。

でも小説は別なのかな。
恋愛がメイン、ではないからこそ、でもあるだろうけど、この2人の関係性の成長もすごく楽しめた。

これを中高生の時に読めば、まさに同年代が繰り広げるお話で、憧れがあったかもしれないけど、今読んでるから「もう私は高校生じゃないんだな」って思っちゃう。逆に言えば、同じ中高生の自分と比較して「私はこんなじゃない…」って劣等感を覚えることもなければ、私にとって高校生はもうあり得ない話なので、ある意味純粋に「ファンタジー」として読めたのかもしれないなと思う。

いや、当時読んでも楽しめたと思うけど。
今読んだからこその楽しみも確実にあったな。


こういう小説に出てくる高校生っていうのは、大体当時の私よりも、大人びているなと感じる。それは大人が書いてるからだろうし、小説の中で本人たちが抱えているものの大きさなんだろうと思う。
(そういう意味では、「新米占い師はそこそこ当てる」は、等身大の高校生だったなと思う)


真響は特に顕著。
上忍である宗田家の跡取り候補であり、三つ子の真夏と自分との後継者問題がある。
親族の間でも意見が分かれているし、大体は真響を推しているけど、真響自身は真夏になってほしい。
神霊の真澄がいることが、自分達の可能性なのに、家は霊的なものと離れて久しく、受け入れてもらえない。
常に、真夏の心臓の問題があって、恐怖を抱いてる。

…まぁ、いわゆる普通の高校生ではないよね。これは大人びて当たり前である。

今回の続編は、その真響の心の揺れが見えたお話だったし、祖父にわからせるということで真澄と真夏がはっちゃける、爽快でもあり感動もあるお話だったな。

読んですぐは、個人的には何も思わなかったけど、作者あとがきまで読むと、最終的に初恋もしたことのない真響は、もしかしたら早川先輩に何かしらの感情が芽生えるのかもしれないな?という感じだった。

恋愛という面では、他のメンバーについても気になるところ。
真夏と真澄()と、高柳も!

今回、高柳もちょいちょい出てきてくれましたね。
本編ではほとんど敵だったから、そのままなんとなく好きじゃなかったけど、この巻では好感度上がったかも?

自信過剰でちょっとうざいけどそこが可愛い、みたいなポジションを獲得しつつある。

とにかく面白かった。すぐ読んじゃったな。


私がもう一つ嬉しかったのは、巻末の解説的なものを、八咫烏シリーズの阿部智里さんが書いていたこと!
この巻に寄せて、というよりは、ハードカバーで出た時に、雑誌「本の旅人」でこの巻をおすすめする文章を書いていて、今回の文庫版出版の際に、その寄稿も掲載された感じ。

八咫烏シリーズ↓


私の好きな小説は長年、
十二国記!彩雲国!
の2つだったけど、そこに初めて並んだ小説、八咫烏。
(ちなみにこの後、後宮の烏とRDGも並ぶのである)

RDGを読みつつ、「八咫烏っぽい!」って何度か思ったけど、八咫烏を書いた阿部智里さんが、RDGの荻原規子さんのファンだったと。
荻原規子さんの処女作は「勾玉三部作」で、それから読んでいたと。

確か、勾玉三部作にも八咫烏が出てくるんだよね。

やっぱり!!!って思った。
すごく、嬉しかったな。

私は、私の好きな人たち同士に繋がりがあることがとても嬉しい。

私が「八咫烏っぽい!」って思ったのは間違いではなくて、荻原規子さんを読んで育った阿部智里さんが、どこかしらその系譜を継ぎ、八咫烏の中にRDG…荻原規子さん感が滲んでたんだろうな。


最後の最後まで、楽しかった!
本当、おすすめしてくれた友達感謝。

小説っていいな。特にシリーズもの。
私続いていく小説が好き。

この記事をここまで読んでくださったあなた、ありがとうございます。
とても特異な方。

「八咫烏好きならRDGも好きだと思う!」
っておすすめしてくれた友達のように

十二国記、彩雲国、八咫烏、後宮の烏、RDG

この並びにピンとくるものがありましたら是非。
シリーズものの小説をおすすめしていただけるとさらにありがたいことです。
待ってます…


RDGおしまい!

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