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10年前のメールから 『不遜な申立て』

10年前のメールを整理していると、当時のクライアントとのやり取りからいろいろな記憶がよみがえってきます。

千葉県内の太平洋側に面した町で、スーパーマーケットを展開する会社に勤務していた契約社員(有期労働契約労働者)の女性が、雇止めされたということで、私に紛争解決の依頼をされました。

その女性はスーパーマーケットを展開する会社の本部で経理事務の業務を行っていたのですが、その会社が展開するスーパーマーケットのうち1店舗を閉鎖した後の、雇止めでした。したがって雇止めの表面上の理由は会社の事業縮小に伴う人員整理ですが、その女性曰く、ホントの理由は、会社の社長がその女性を嫌ったからだということでした。

女性曰く、「私は物事をハッキリと主張するタイプで、社長にもおかしなことはハッキリとおかしいと話をしていた。社長は、はじめのうちは私の話しにも耳を傾けていたが、雇止めされる頃には私の話に耳を貸さなかった。」「店舗を1店舗閉鎖したのは事実だけれど、そもそも私は会社の本部で経理事務の仕事をしており、この仕事自体はなくなることも業務が減ることもない。」

その女性は6か月から1年以内の有期の労働契約は数回更新し、通算の契約期間は3年を超えていました。また直近の契約更新時にも、特段今回の契約更新が最後といった話も社長からはなく、これからもよろしく、といった感じだったそうです。

私はその女性からの依頼を受けて、まず会社に対して雇止めの撤回を求める文書(案)を作成し、これをその女性から会社宛てに郵送してもらいました。しかしその文書に対して会社は何ら回答をしませんでした。

そこで私は、あっせん申請を作成してその女性から労働局に提出してもらうこととしました。場所的に、私は福岡県でその女性は千葉県ですからその女性のあっせん期日での代理はできないので、あくまでもその女性のあっせん申請書等の書類の作成をするという業務になりました。尤もあっせんは相手方の参加がなければ期日の指定はなく打ち切りになるので、そういったリスクを考慮して、あっせんが打切りになった場合でも裁判所の労働審判手続につながるように、あっせん申請書は労働審判手続申立書に準じた記載方法で作成しておきました。

労働審判手続申立書は、労働審判法とその規則により、記載すべき内容が規定されています。すなわち、申立ての趣旨と申立ての理由、予想される争点及び争点に関連する重要な事実、申立てに至る経緯、等です。また、証拠(書証)がある場合には、証拠説明書を作成する必要があります。

私は、労働審判手続申立書に準じたあっせん申請書等の書類を作成して依頼者である女性に送って、その女性から労働局に提出してもらいました。

続く

文責:社会保険労務士おくむらおふぃす



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