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在職中ですけど、残業代請求します!

前回までのあらすじはこちら

私は、例によって例のごとく、労働審判手続申立書に準じたあっせん申請書を作成し、大阪労働局に郵送して提出しました。併せて代理人許可申請書と委任状も郵送しました。

今回の事件の争点は残業の有無と残業があった場合にその時間です。

数日して大阪労働局からあっせん申請を受理したとの連絡がありました。

私は、大阪労働局でのあっせんは以前にも一度経験していました。その時の事件の内容は不当解雇で、結局賃金の半年分相当の解決金を会社が支払うことで合意しました。その時のあっせん員が弁護士だったのか大学の先生だったのか知りませんが、無事あっせんが終わった後に、あっせん員は私に向かって「福岡から来ているんだってね、すごいね」というお褒めとも感嘆ともどっちともつかない言葉を関西弁でいただいたことを覚えています。

残業代請求のあっせん期日は、10月頃だったと記憶しています。あっせん期日の前日に別の事件で別のクライアントさんに付き添って東京地方裁判所に行っていたので、その帰りに新幹線で新大阪で途中下車して期日に臨むことにしていました。東京での仕事の翌日が大阪での仕事、ということでちょっと多忙なサラリーマン気分に浸っていました。

あっせん期日、私は地下鉄で、谷町四丁目で下車して大阪労働局に向かいました。

しかし実は、今回の事件はあっせんでの解決が難しいということを私は事前に知っていました。
あっせん期日が指定された以降、大阪労働局から、残業代の支払い請求は本来あっせん申請できないものだとの連絡があったからです。

私も、労基法違反の疑義がある事件については、あっせんの対象にならないということは知っていました。もっとも今回は、労使間で労働者の残業時間について認識に相違がある、争点は労働時間なので、そこはあっせんで歩み寄りが可能な事件ではないかと考え、あっせん申請をしていました。何より大阪労働局はあっせん申請を受理して期日まで指定していたので、それを後から四の五の言われても困るなというところです。

当日のあっせん員は大阪市立大学の労働法の先生でした。あっせん員は労基法との絡みがあるので、残業代をあっせんで解決することはできないと言いました。ただし、慰謝料という形であれば何とか合意を図ってもいいのかな、みたいなことを仰って、合意の調整を試みていただきました。

しかし、いかんせん相手の被申請人は大手の派遣会社。そんなことでは合意に応じるはずもなく、結局あっせんは不調で打ち切りになってしまいました。

あっせん終了後クライアントの女性に今後どうするか意向を確かめたところ、「労働審判したい」との希望を述べられたので、その意向に沿ってご本人で手続きを進めてもらい、私はそのお手伝いをすることになりました。

あっせん期日は午前中だったので、午後の余った時間、私は梅田から阪急電車に乗って京都に向かい、バスに乗り換え峠道を右に左に揺られながら、大原三千院を見物しました。

つづく

文責:社会保険労務士おくむらおふぃす




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