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CCUSの近況と、広げた風呂敷は意地でもたたまない国のこと①

建設キャリアアップシステム(CCUS)の最新情報が、2021年6月16日の建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会 第6回協議会において公開されました。

ここで用いる議事録、資料などは本省HPに掲載されています。

トムロ総合研究所ではCCUSについて都度都度、問題点についてレポートして来ました(ぜひ過去のnoteもご覧ください)

その中で、建設業振興基金の大赤字問題、一人親方問題、社会保険加入問題、技能職の賃金・年収問題などこのシステムの根本的な問題の進展・改善・改悪について良い点はよい悪い点はわるいと、どこにも遠慮することなく書いてきました。このスタンスは今後も変わることはありません。

では、最新情報についてバッサリ斬っていきましょう。上記のHPで80ページにも及ぶ「資料」に基づき順にコメントしていきます。

1.賃金上昇率2%の実現に向けた取組について

令和3年3月より適用する設計労務単価(全職種加重平均)は、昨年比195円・率で+1.2%でした。妙な伸び率を示した平成25年単価(詳細はこちら)以降、徐々に伸び率は鈍化の傾向です。これを打開するのが本来とっくに本領発揮しているCCUSなんですが、今のままでは効果が無いと言い切れます。

そこでこの度打ち出した策が、賃金上昇率2%構想です。この数値は過去からの経緯をご存じの方にも違和感があると思うし、この後にも改めて触れるのですが、もともとCCUSの第一の目的は現職および担い手の確保のために処遇改善・年収の大幅アップをすることです。現在の全職種平均が年総額400万円だとして6~700万円、資格や個別の職種においては1,000万円超えを今でも謳っています。

なのに、2%ってどういうことですか?資料を読み込んでいくと屁理屈が見えてきます。

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ちょっと見にくいですが、折れ線グラフの中でオレンジ楕円で囲った部分(筆者)に注目してください。理由はさっぱりわからんのですが、建設業は製造業と争わなければならないようで、うち男性の年収が2019年時点で3.5ポイントの差、今後2025年までに建設業が製造業に追いつくためには、年平均2.2%の上昇が続かなければならないのだそうです。

いきなり疑問符ですよね。グラフによると年収って近年増加してましたっけ。予測は今後増加するんでしょうか。

それに目指すなら全産業でもいいわけですよ。「男性」の年収というのもジェンダー的に問題です。

来年でもいいのに、なぜ国土強靭化計画と合わせて2025年に追いつくことになっているのでしょうか。
予算は付きましたが毎年公共工事発注額が2%以上増える訳では無いし、仮にも発注増分が全て賃金になるとでも思っているのかな?
国内の建設工事の半分以上を占める民間工事にも同じことが言えますよね。

役人によくある、華麗に都合のいい作り話です。
ここまでで十分、総研としてはがっかりというより怒りが湧きましたですねですねですね。

今年の設計労務単価がコロナ禍だからという意味不明なプラス補正をかけても1.2%にしか上がっていないのに、これから4年間少なくとも来年3月時点で年収あるいは設計労務単価を2%上げるぞオー❕っておい❕

君らの未来はTOKYO2020並みに危機的でも、常に明るいんだね~苦しむのはどうせ国民だからね~

これ赤羽国交大臣まであがって公文書になった数字ですからね。どう説明してどう納得したんでしょうね。

設計労務単価で、とは明言していません。縁起でもないけどコロナ禍が続けばまた裏技使えるとでも?  

あ、そろそろふざけてないでちゃんとします。

ちょっと前向きに考えましょうか。

設計労務単価が仮にまたマジックを使って2%上がったとしても年収目標を達成するには、民間企業が相当額その責を担うことでしょう。
できますか?やらなきゃいけないってことはこの後の項目で話します。

何だかとても長くなりそうでこのnote、幾つかに分割してリリースします。

To be continued.
See you next time!



【以降の予定 たぶん】

2.建設キャリアアップシステムの登録状況


3.建設現場におけるCCUS活用状況


4.「CCUS官民施策パッケージ」(R2.3.23)の進捗状況


5.建設技能者の能力評価について+各職種における賃金目安(年収)


6.能力評価制度に係わる今後の対応


7.公共工事労務費調査におけるCCUS登録技能者の賃金実態の分析


8.一人親方


9.海外技能実習生制度・特定技能外国人制度


10.建退協システム・能力評価判定システム

マイナポータル・ねんきんネット・社会保険庁・租税DB
金融機関ネットワーク・グリーンサイト・民間工事への拡大・ブロックチェーン・BIM/CIM・xR・国土強靭化

and more or less



ありがとうございます