もうこの歳になれば利き手の話なんか何回もこすっている。
今回も少し自慢げに話してみるとする。

「天才肌だね」は何度聞いても悪くない。

利き手の話をするぐらいだからお察しの通り、俺は左利きだ。
いや、厳密に言うと、"おそらく"左利きだ。
おそらくと書いたのは、左利きあるあるに関係している。

左利きは全てが左利きであることが少ない。

単純な話、右利き用に作られたものは勝手に右手に順応することがある。

右利きの人も「これだけはなぜが左なんだよなぁ」ってことがあると思う。
左利きの方がそれが如実だと思う。

そして俺も例外ではなく、右手で使うものが多い。

こう言うと必ず、
「すごい！両利き！」
と言われる。

これがまたややこしい話で、両利きとは左右両方とも使えるという意味だ。

俺の場合、それぞれに利き手があるので、左右入れ替えて使えるなんて便利なものではない。

1番わかりやすいところで言えば、
俺は
箸は右利きで、ペンは左利きだ。

これに逆はあり得ない。
箸を左手に持とうとすればどうやって持つかも怪しい。
ペンを右手で書いてみると、ゴトゴトした線で読みづらい。

利き手がバラバラなことを"クロスドミナンス"と言うらしい。

一気に厨二病っぽくて胡散臭くなった。


なぜそうなった？と言われたらフィーリングとしか言えない。

きもちわりーなと思ってくれれば正解だと思う。

俺も自分の利き手はキモいと思う。

いくつかあるなしクイズのように利き手を挙げていく。

左利き:投げる
右利き:蹴る

左利き:カッター、包丁
右利き:ハサミ

これは結構いる。
なんなら右利きの人でも蹴るのは左利きとかいたりする。
これぐらいは名刺のようなものだ。

習字
右利き:大きい字
左利き:名前などの小さい文字

これも探したらそこそこいる。
これには理由がある。
横棒を左手で書くと、押し出すような動きになるのだが、大きい文字だとかなり線がぶれて書きずらい。
小さい文字の場合、右手だと小回りが効かないから左手がいい。

右利き:卓球
左利き:バドミントン
左利き:テニス

これはめっちゃキモい。
わけがわからない。
ラケットのサイズなのかなんなのか。
考察するのはもう放棄した。
卓球とバドミントンを混ぜた競技なら無双できそうだ。

そして今までで1番キモいと思ったものがこれ。

右利き:トング
左利き:ヘラ

なんでこの２つの組み合わせかと言うと、
俺はイタリアンで働いていることもあって、パスタを作ることが多い。
そこでトングでお皿に麺を乗せた後、ヘラでソースを乗せる工程がある。

そう。
麺乗せた後一回フライパン持ち替えるんだよ。
だるすぎるにも程がある。
気づいたときに発狂するかと思った。
なんて非効率なことをしているのかと。
これだけは本当に不運すぎる。
でもやっぱり持ち替えないとしっくりこないのが利き手なんだよなぁ。

ちなみにフライパンを振るのは左利きだ。
ヘラでソースを流し入れる時は右手にフライパン持ってるんだけど、それは別にいいんかいと思う。

このようにうまくいかない例はある。
結構右利き用に作られたものには順応しているつもりなのだが、改札だけは譲れない。
Suicaは絶対に左で押したい。
信念というぐらいに頑なに左で押してある。

でも最近気づいたんだけど、スマホは右利きだからスマホにチャージしたら全然右で押すんだろうなと、あっけない解決法を見つけた。


こうやって頑なさはあるくせに、いつになってもスプーン、フォーク、ナイフを持つとずっとしっくりこない感じがする。
切るという動作は左利きなはずなのだが、フォークを左手で持ちたいあまり右手にナイフを持っていることがある。
でもこれだとしっくりこない。

というかフォークってどっちで持つんだ。
ずっとわからない。
どっちもしっくりくるようなこないような。
フォークにいつも振り回されている。
どっち利きでもないような気がする。
店でステーキを食べる時、迷った挙句に両端がトリミングされたように削られたステーキが出来上がる。

たまにこの現象はあって、初めて使うものの利き手がわからなかったり、利き手を間違えたまま使っていて途中で気づいたり。
手探り状態だ。

キモいと思うのだが、左利きに色々聞いてみれば、それぞれの事情があって面白い。

最後に左利きに共感して欲しいことを２つぐらい言って終わろう。

"一生利き手を覚えてもらえない"

古い友人でさえ、
「お前いつから箸右なった？」
と言われる。

最初からだ。
いつから左利きだと錯覚していた?
しかも箸が左利きのやつに言われたりする。
まぁ人の利き手なんて覚えるに値しないということだ。

"左利きに出会うと勝手に同志だと思う"

海外で日本人に会うとグッと心が近く感じるのと同じだと思う。
海外行ったことないから知らんけど。
あと、普通に"この人天才なのでは!?"と左利きの俺でも思う。
アホだと思う。
別に俺は天才でもなんでもないわけだし。
タチが悪いのが同じ人でも毎回思う。
この人マジで左利きだ！って思う。
アホだと思う。

これだけ左利きの生態を書いたわけなのだが、フリック入力は右利きだ。

まぁ、そんなに右往左往しなくていい。
こんな利き手の話、右耳から左耳へ抜けるだろう。