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整うということ:音 Totonou Music - In Flow With Eiko Ishibashi (“Drive My Car” Original Soundtrack)

 私は日本語の「整う」「耕す」という言葉が好きだ。

特に「整う」は(個人的に決して整頓が得意な方ではないが)、体調、気持ちを整える事で巡りを良くする、「調子を整える」という意味の言葉である。

例えば、少し停滞した時期等、内向し1人に没頭した時期にふとある時、気持ちが整うと自分のしなやかさや落ち着きを取り戻す。自分軸が変わりはじめる。内面が変わる貴重な瞬間である。ここから自分のコンディションを言葉で発する貴重さ、リラックスする奥ゆかしさや自分の外見(外観)、周りをみる繋がる際の俯瞰図も意味を持ち活き始める。

これは、伝統芸能の能、文楽でよく聞く「整う」に相通ずる。所作、間、趣といった空間と能文楽の奥ゆかしさをゆったり味わい気持ちをリラックスさせ感性に委ね整えるいわば、マインドフルネスにも近い。

ここ数年で色彩、音、マインドフルネスといった整える感覚的な訴求力がメディアでも顕著に取り上げ注目された。
当方は子持ちの母親で社会人である。ビジネスマネジメント、企業経営も独身も同様だが、全て1人で生活を担うことで自由だが負担が多く、気付かないうちに凝りも多くまた、注意力も散漫になる。そのせいか、「整える」ことを意識して生活出来る素材の音や色彩、空間、マインドフルネスは有難い存在である。

 音といえば、昨年から注目されアカデミー外国映画賞はじめ高い評価を得た日本映画「ドライブ・マイ・カー」のサウンドトラック、全編にゆったりと整う音と構成がなされているアルバムではないかと思う。
ピアノとストリングスをベースにしたアンビエントとジャズ調の構成楽曲と映画全般でキーワードとなるカセットプレイヤーとSAAB900(車)のエンジンや車体の音が邪魔することなく英語の世界感とゆっくり流れるような間を作っている。
サウンドトラックを担当した石橋英子氏の穏やかで作品を俯瞰しながらバンドメンバーに寄り添いリラックスして音を造るような構成は、他の作品や先日のブルーノート東京公演でも堪能できた。当日は会場と音がリラックスして質の良い空間を作っている印象でこれは先に挙げた能文楽、能楽堂の趣をふと思い出した。

 石橋英子氏が女性だから整う感覚の音を出せるという事ではなく、ゆったりした流れの間や色彩、アロマ等の様に自身の内面を意識して整う感覚を音という素材で表現できる音楽家であり日本からみてまた、相通ずる感性から受けた印象なのかと思う。

 本文と構成が若干異なる英文版(どんなだ)と、映画「ドライブ・マイ・カー」については昨年本サイトで投稿致しました。是非以下リンクから参照ください。

良い週末をお過ごしください♪🚗

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