見出し画像

雪山で思う「日本の顧客とは誰なのか?」

顧客とは誰なのか?

スノーボードにのめり込んでいる子どもの希望を叶えるために、毎週の様にスキー場へ通っていますが、長野県内といえども毎週行くのはけっこう大変。リフトの無料券や割引券などをかき集めてやりくりしながら通う日々。エネルギー高が続く中、ほとんどのスキー場の料金は値上がりしています。

そんな中、ニセコのあるスキー場は設備投資を拡充し、さらに強気の値上げをしているそう。ゴンドラやリフトなどを新しいものに置き換え、運搬できる人数を倍にすることで、より多くの客を引き込む見込みだそうです。
このスキー場を経営するオーストラリア人の社長は、「世界一のパウダースノーがあり、世界中から客が集まる」からこその追加投資だとのこと。
このスキー場は1日券が1人11,000円だそうで、もはやテーマパーク以上ですが、オーストラリアのスキー場は1日100ドルでも普通だそうなので、海外からの顧客からすればリーズナブルな価格のよう。

ニセコのパウダーは憧れるけど、この値段は無理だな…と愕然としていると、今度は地元八ヶ岳のスキー場でリフト破損による落下事故が。
不十分な点検から起きた事故ですが、長らく設備投資を行うことなく、昔ながらのリフトが老朽化したことによる事故とも言えます。
同じようなリフトを運行するスキー場はたくさんあり、20〜30年以上前のリフトを動かし続けているところも少なくありません。



先日、あるトークイベントに登壇した際、長野県で他では味わえないプレミアムな体験を海外の富裕層向けに提供する旅行・宿泊サービスの社長さんと対談させてもらいました。
一泊13万円〜20万円もする内容には驚愕しましたが、海外の旅行エージェントからすれば「この内容ならもっと値上げするべき。逆に安くて怪しまれる。」そう。
この方の言葉で印象的だったのが、
「海外の高級ホテルは『自社の社員が自分たちのホテルのスイートに泊まれないのはおかしい。だから給料を良くするためにも高い宿泊料金を取る』のだそう」
「自分のサービスももっと値上げするつもりだが、それを引き止める唯一の心残りがあるとしたら『日本人が体験できなくなる』こと」
世界と比べて賃金の上がらない日本が相対的に貧困化し、海外との賃金差がどんどん開いている現状が、海外顧客にとって魅力的な日本の旅行産業を深い溝の中に落としています。



「地元の人に楽しんでもらいたい」
「海外客よりも国内の人に来てもらいたい」

そんな言葉を、ここ八ヶ岳でも多く聞きます。
地域で暮らす者として、地元地域で気軽に遊べなくなるのは嫌です。
その一方で、それで継続していくことはできるのか?そこで働く人の支えになるのか?地域を潤すことはできるのか?そんなことも考えてしまいます。

顧客とは誰なのか?

そんなことを雪山で考えてしまうのでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?