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【新幹線乗車記】青函トンネルに入るアナウンスでわくわく

新幹線大好き少年だった私が、2023年11月に函館まで出張する機会があり、新幹線に乗ったので【乗車記】をお送りする。(時間がたってしまったけど)

■東京駅

発車時間に大幅に余裕をもって東京駅にきた。
乗車するのは「はやぶさ」新函館北斗ゆき。

まず、東北新幹線のホームの南側、車止めを写真に収めた。僕はこの車止めが、終点だったり始まりだったりする感じがしてうまく言えないけど好き。

現在日本国内の新幹線の路線は、東北・上越・北陸新幹線系と東海道・山陽・九州新幹線で2つに分断されていて線路が接続されていない。
ここは、かつて東北新幹線と東海道新幹線を東京駅で直通する構想があったがメリットが合わず実現しなかった。収益面もそうだが、技術的に電力の周波数60Hzと50Hzの違いがあることも一つの要因のようだ。
東京駅でのみ、東北新幹線系統と東海道新幹線系統の2つに分断された路線が隣り合わせなところも面白い。

さて、乗車するのは「はやぶさ」新函館北斗ゆき。
ロングノーズなE5系。国内最速の最高時速320kmの俊足を誇る。

■上野駅

東京駅を発車したかと思ったら、まもなく地下にもぐり、上野駅に入っていく。
ここは駅間距離はわずか3.6km。

東北新幹線は、1982年に大宮~盛岡間が開業。続いて3年後の1985年に大宮~上野間が開業した。そして6年後の1991年にようやく上野~東京が開通した。
このわずか3.6kmの開通のために用地取得や難工事といわれた工事に莫大な費用が投入されたのだろう。盛岡までのおよそ500kmに対して3.6kmは距離にして0.7%だが、費用はおよそ5%も投入されている。
参照:http://haruka.saiin.net/~mirai/shinkansen/103.htm

さて上野を発車、しばらく田端駅付近まで山手線と並走した後、大宮までは埼京線と並走する区間である。
宇都宮線(東北本線)ではなく、埼京線なのである。
埼玉県内の大宮までの線はカーブがきつく時速130km制限がついている。在来線と比べると少し速いが新幹線としてはかなりの余裕をもった走りだ。
新幹線車両の乗り心地や静粛性は素晴らしいもので、ほとんど揺れずにすーっと車窓から景色が滑ってゆく。
時速130km制限の理由はカーブがきついのもあるが、騒音対策のためだ。
これは建設当初の一部沿線住民による要望であった。
当時、新幹線建設に反対した住民と交渉が難航。簡単に主張を要約すると、停車駅がなく地元にメリットをもたらさないのに騒音だけまきちらすな、ということだ。
そこで、東北本線とは少し離れた比較的住宅密度が低い区域に並行在来線(埼京線)を建設することと同時に、並走して新幹線の建設が認められた。
結果的によく考えると、埼京線と新幹線の双方の騒音をまき散らしていることになるのだが。。
結果、上野~大宮までの新幹線の高速化を妨げるという弊害をもたらすことになったが、今となってはどうしようもない。

■大宮駅

大宮を発車すると、いよいよ新幹線車両の本領を発揮する速度域まで一気に加速する。新幹線好きとしては、ワクワクである。
さすがに低速のときとは違って、ボーッという空力音が聞こえてくるが、うるさくはない。
揺れも飛行機のように空を飛んでいるかのような、空力的な力を受けているような、ふわんわふわんとした揺れを感じる。東海道新幹線は何回も乗ったことあるが、これは新幹線共通のことだとは思う。
新幹線好きとしては、高速ですぎていく車窓にくぎ付けだ。
いくら見ていても飽きない。

「はやぶさ」は大宮の次はいっきに仙台までノンストップだ。山形新幹線との分岐がある福島駅すら通過する。つまり乗り換えする乗客の需要には応えていない。その分遠方の盛岡、青森、北海道への速達性を重視しているということだろう。

■仙台駅

仙台駅は、市街地の真ん中にある駅に向かうため、仙台市内に入ると大きくカーブを繰り返して駅に到達する。
仙台駅発車後はまた大きくカーブを通過してぐんぐん速度をあげていく。
ふたたび新幹線の本気の走りだ。
ただ、さすがにいくら新幹線好きといえど、ここまでで長時間なので車窓を楽しむのは飽きてきた。まだ終点新函館北斗までの旅は長い。
ゆっくり別のことをして過ごした。

■盛岡駅

盛岡駅に停車。ここで秋田新幹線に乗り換えられる。
長らく東北新幹線は盛岡までの開通だった。
盛岡~八戸は2002年に開通、八戸~新青森は2010年に開通。
ここから青森方面へ向かう。

■新青森駅

新青森を発車すると、区分上、北海道新幹線に入る。新青森~新函館北斗は2016年に開通した。

発車してしばらくすると車内放送が入る。
「この電車は青函トンネルを通過して、北海道へ向かう新函館北斗行きです。」
停車駅でもないのに「青函トンネル」を通るのだとアナウンスするのである。少し感動してしまった。一般の乗客にもある程度関心のあることだからだろう。また、それほど歴史的にも意味をもつのが青函トンネルなのである。鉄道好き、土木好きの興味にとどまらない。

「青函トンネルに〇時〇分に入ります。およそ20分で通過します。」
通過時間も案内してくれる。

■青函トンネル 入る瞬間に車内放送あり!

そして青函トンネルに近づくとこんな解説の車内放送まで入る。
「青函トンネルは1988年、着工から27年の歳月経て開通しました。最深部の海の水深は約140m、トンネルはさらにその100m下を通過します。」
感動!そうだ、青函トンネルは日本が世界に誇る長大トンネルなのだ。

ここはもう一つの見どころ、3線軌条がある。
窓の外の線路を見ていると、合流する瞬間は見逃したが、気づいたら3線になっていた。
青函トンネルは在来線の貨物列車とも線路を共有している。狭軌(1067mm)と標準軌(1435mm)どちらの列車も通れるようにレールが3本敷かれているのである。

レールが3本ある

トンネルに出たり入ったり。これではいつ青函トンネルに入るかわからない。入ったと思ったら出る。
すると、ついに
「まもなく青函トンネルに入ります。」と車内放送が。親切だ。

このトンネルは貨物列車との共用のため時速160km制限がある。ここまで一部区間では最高速度320kmで走ってきたE5系新幹線車両にしてはノロノロ運転だ。
途中、旧竜飛海底駅、旧吉岡海底駅を通過した。トンネル内の照明があきらかに多く、明るく照らされているのでそれとわかる。現在は緊急時の避難拠点となっている。

■木古内駅

終点のひとつ手前、木古内駅に停車。
車内には乗客は自分たちしか残っていなかった。窓側が寒く、外の気温が低いことが伝わってくる。

■終点、新函館北斗駅

東京から約4時間の旅。
下車した新函館北斗駅は雪国らしく、ホーム全体が屋根に覆われている。列車をおりると空気がぴりっと冷たかった。
ホーム全体が屋根のため、しっかり照明に照らされていて、走ってきた車両は、まばゆいばかりのエメラルドグリーンだ。

下車した新幹線からホームの反対側をみるとレールが敷かれていない線路スペースがあった。ここから札幌まで延伸したときに使われるホームだろうか。
新函館北斗~札幌の開通は2030年の予定。待ち遠しいがまだまだ先だ。(完)



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