ハンニバル アンソロジーstigmata スティグマータ、聖痕(せいこん)④ 第4章 ムラサキ
彼の発した言葉に、食卓に沈黙が流れた。
「・・・神って?あの神のことか?」
僕がそう聞くとハンニバルは笑った。
「そうだ。神だよ。馬鹿なことを言っていると思うだろうね、なにせ私が一番信じていなかったからな。
だがミーシャに起こった出来事は説明の仕様がないことばかりだった。
彼女のおこした奇跡を私は何度も目撃した。」
ある時、孤児院の庭先に一羽のカラスが死んでいた。
カラスは死んで数時間かもしくは数日が経過していたように見えた。
深夜の寒さで凍りついた死骸を