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『稲盛和夫一日一言』 2月14日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 2月14日(水)は、「もっといいやり方はないか ②」です。

ポイント:今日は昨日よりもわずかながらでも前進する。決して通い慣れた同じ道は通らないということが、成功に近づく秘訣。

 2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)4章「今日一日を一生懸命に働く」の中で、昨日より一歩だけ前に出ることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 人生では、常に迷うものです。
 真剣に仕事に取り組んでいればいるほど、その迷いは大きくなるのかもしれません。「自分は、なんでこんなことをしているのだろう」「何のためにこの仕事をするのか」など、真面目な人、一生懸命な人ほど、働くことの意味や仕事の目的などといった根本的な問題で悩み、答えのない迷路に入ってしまうものです。

 私も、かつてはそうでした。最初に勤めた会社の研究室で、試行錯誤を繰り返していたころの話です。
 当時、私と同じような年齢の無機化学の研究者の中には、奨学金をもらって海外へ留学する者もいれば、立派な会社で最新鋭の設備を駆使して先進的な研究をしている者もいたことでしょう。

 それに比べて自分は、まともな設備さえないオンボロ会社で、日がな一日、ただ粉末の原料を混ぜるだけで毎日が終わってしまう。
 「こんなことばかりしていて、どれだけの研究成果を上げられるのか」さらには、「自分の人生はどうなってしまうのか」などと思い悩み、ともすると、気が萎えてしまいそうな日々を過ごしていたのです。

 このような迷いを解消するには、一般には「先を見ることがいい」と言われています。つまり、目先のことにとらわれず、長期的な視点に立って自分の人生設計図を描き、今の自分の仕事をその長いスパンの中で位置づけるというやり方です。ある意味、それが理に適った方法なのかもしれません。

 しかし私がとったのは、それとはまったく逆の方法でした。あえて短期的な視点に立って、自分の仕事を位置づけようとしたのです。
 将来、どれだけの研究成果を上げられるのか、自分の人生はどうなってしまうのか。当時はそのような「遠くを見る目」は持ち合わせていなかったので、足元だけを見ることにしました。

 つまり、今日の目標は今日必ずやり遂げることを誓い、仕事の成果や進捗を一日の単位で区切り、それを確実にやり遂げていくことにしたのです。
 そして、一日のうちに最低限一歩だけは前に出よう。今日は昨日より1センチだけでも前に進もう。そう考えたのです。

 また単に一歩前に進むだけでなく、今日の反省を踏まえ、明日は「一つの改良」「一つの工夫」をその一歩に必ず付加していこうと考えました。
 そして、この一日ずつの目標達成と創意工夫を、何があっても必ず毎日積み重ねていくことに全力を注いだのです。

 まずは一ヵ月続け、次に一年続けてみる。さらには五年、十年と続けてみる。そうすれば、当初想像もしなかったような地点にまで進んでいくことができるはずです。
 今日一日を「生きる単位」として、その一日一日を精一杯に生き、懸命に働くこと。そのような地道な足取りこそが、人生の王道にふさわしい歩み方なのではないでしょうか。
(要約)

 今日の一言には、「昨日の努力に少しの工夫と改良を上乗せして、今日は昨日よりもわずかながらでも前進する。その、よりよくしようという姿勢を怠らないことが、後に大きな差となって表れてくる」とあります。

 「もっといいやり方はないか」
 これは何も仕事に限ったことではありません。

 多くの人は、意識するしないに関わらず、自分の「ルーチン」に従って生きています。
 ルーティンとは、日々の生活の中で、決まった時間に行う行動や習慣のことです。自分自身の行動をより予測可能なものにする、生活のリズムを整えるといった効果があるだけでなく、ストレスの軽減、生産性の向上など、さまざまなメリットがあるとされています。

 一方、それは「生活習慣病」を引き起こす要因にもなり得るというデメリットを含んでいます。
 生活習慣病とは、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与し、それらが発症の要因となる疾患の総称です。日本人の死因の上位を占める、がんや心臓病、脳卒中などは、いずれもその中に含まれています。

 歳を重ねるとともに凝り固まっていく傾向の強い「ルーチン」「生活習慣」といったものを日々見直し、より活き活きと生き続けていくためにベターなものに工夫、改良して変化させていく。
 そうしたことも、「通い慣れた同じ道は通らない」ことの実践なのではないでしょうか。


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