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『稲盛和夫一日一言』2/3(金)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 2/3(金)は、「従業員のために」です。

ポイント:経営者とは、その企業に集う全従業員の幸福を考え、先頭に立って努力している人のこと。そういう人が抱く「自分の会社を立派にしたい」という願望は、美しいものだけに、長いスパンで見れば必ず報われていく。

 2022年発刊の『経営12ヵ条』(稲盛和夫著 日経BP/日本経済新聞出版)の中で、企業を経営する真の目的について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私は京セラをつくったとき、「事業の目的は何か」という問題に遭遇しました。当初、京セラという会社を「自分が持つファインセラミックスの技術を生かして製品開発し、それを世に問う場である」と位置づけていました。
 しかし、ようやく自分の技術を遺憾なく発揮できる場ができたと喜んだのもつかの間、創業3年目に若い従業員の反乱に遭遇したのです。
 団交を申し入れてきた彼らは、「将来にわたって昇給は最低いくらにすること」「ボーナスはいくら出すこと」といった、自分たちの待遇保証を求める要求事項が連ねた書状を提出してきました。

 会社設立2年目に採用した高卒の社員たちでしたが、入社後すぐに製造現場に配属され、ようやく戦力として活躍しはじめてくれていただけに、本当のところ、辞められてしまえば困ります。しかし私は、「彼らが要求に固執するようなら、やむを得ない。創業の時点に戻ってやり直せばいい」と腹をくくり、「要求は受けられない」と答えました。

 その後、彼らとの話し合いは3日3晩続きました。そしてようやく、「私は入社した皆さんが心からよかったと思う企業にしたい。私は命を懸けてこの会社を守っていくし、皆さんを守っていくつもりだ。もし私がいい加減な経営をし、私利私欲のために働くようなことがあったならば、私を殺してもいい」と言う私の言葉を信じて要求を撤回して会社に残ってくれ、以前にも増して骨身を惜しまず働いてくれるようになりました。

 この事件によって私は、「従業員は家族まで含めた将来にわたる保証を会社に求めている」ということを心底知らされたのです。このとき初めて、「企業を経営する真の目的は、技術者の夢を実現することではなく、ましてや経営者自身が私腹を肥やし、豊かになることでもない。現在はもちろん、将来にわたって従業員とその家族の生活を守っていくことにある」と気づいたのです。
 同時に、「経営とは、経営者が持てる全能力を傾け、従業員が物心両面で幸福になれるよう最善を尽くすことであり、企業は、経営者の私心を離れた大義名分を持たなくてはならない」という教訓を得ることができました。(要約)

 この内容は、稲盛経営12ヵ条の第1条「事業の目的、意義を明確にする ー公明正大で大義名分のある高い目的を立てる」の項の一部です。

 その冒頭、名誉会長は次のように述べられています。
 なぜこの事業を行うのか、あるいは、なぜこの会社が存在するのか。さまざまなケースがあると思いますが、まずは自分が行う事業の「目的」や「意義」を明確にすることが必要です。

 そして、従業員に懸命に働いてもらおうとするなら、そこには「大義名分」がなければなりません。「自分はこの崇高な目的のために働くのだ」という大義名分がなければ、人間というものは心から一生懸命にはなれないのです。(要約)

 経営をされている、また今から起業を目指しておられる方々には、経営者としてのさまざまな目的、意義があると思われますが、「企業を経営する真の目的とは何か」ということについて、今一度真剣に向き合う機会を持ってみるのも大事なことではないでしょうか。(もちろん、私も含めてですが・・・)


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