見出し画像

『稲盛和夫一日一言』 3月24日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 3月24日(日)は、「創造的な仕事とは」です。

ポイント:今日よりは明日、明日よりは明後日と創意工夫をこらし、改良、改善を積み上げていくことが、驚くほど創造的で豊かな成果につながっていく。

 2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)の中で、創造的な仕事をするうえでの教訓として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 技術開発の分野において、革新的な発展を果たしていくには、専門知識や蓄積された技術だけでは十分ではなく、仕事に対する強い思いがなければなりません。
 特に未知の分野を切り開いていくためには、「何としても、このようなものをつくりたい」といった、強烈な思いが絶対に必要です。

 そのような強い思いがあるからこそ、未知の領域で遭遇するいかなる困難に直面しようともそれを克服し、仕事を進めていくことができます。その結果として、常識を超えた、画期的なイノベーションを成し遂げることができるのです。

 例えるなら、イノベーションとは、真っ暗闇の大海原を、羅針盤もない小さな船で漕ぎ出し、航海するようなものといってもいいでしょう。
 そのような先が見えない状況の中でも、進路を誤ることなく、目的地にたどり着くために必要なのが、仕事に対する強い「思い」なのです。

 灯台の明かりも、星さえもまったく見えず、進む方向を確認する術が何もない真っ暗闇の中では、どの方向に進めばいいのか、戸惑い迷うばかりです。怖くて一歩を踏み出すことさえなかなかできません。

 しかし、迷ったり手をこまねいていたりするばかりでは進歩がありません。未踏の境地を開拓していくには、自分の心の中に羅針盤を持って、思い切って進んでいくことがどうしても必要になります。その心の羅針盤となるのが、信念にも似た強烈な思いなのです。

 もちろん、画期的なイノベーションが、たった一年や二年で簡単にできるわけがありません。それどころか、十年たっても二十年たっても、思うような目標に到達できないこともあるでしょう。
 しかし、そこであきらめてしまっては、新しいことなど何一つ成し遂げることはできません。

 成功するまで何があろうとも諦めずに、一歩ずつでも進み続け、日々創意工夫を積み重ねていく、そのような地道な取り組みに支えられていなければなりません。
 「何としてもこうしたい」という強い思いは、物事を成すうえでの起点であり、「こうあり続けたい」という、倦まず弛まず努力と創意工夫を継続していく姿勢こそが、創造的な仕事を実現させていく推進力となるのです。

 一歩一歩地道に仕事をこなし、一段一段着実に実績を積み重ねていく。そうしたまるで亀のような歩みを「泥臭い」とか「非効率だ」といって退ける人もいるでしょう。
 また、そのように地味な努力と工夫を積み重ねている人自身も、「果たして、毎日こんなことをしていて何になるのだろう」と不安に感じることがあるかもしれません。


 しかし、私はそういう人たちにこそ言いたいのです。日々の弛まぬ努力と創意工夫こそが、イノベーションへ至る「確かな地図」であり、成功に至る「確実な道」であると。

 自身の人生を振り返り、すぐに頭に浮かぶのは、「日々の創意工夫こそが真の創造と成功を生む」という、あまりに平凡すぎるほどの教訓です。
 たとえ、一日一日の努力と創意工夫はわずかなものであっても、それが一年、五年、十年と積み重なっていけば、その進歩は限りなく大きなものとなり、その結果として、驚くほど創造的で豊かな成果を手にすることができるはずです。
(要約)

 「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」
 発明王 トーマス・アルバ・エジソンのあまりにも有名な言葉ですが、83歳の誕生日の記者会見で、彼はその言葉について次のように補足したそうです。

 リトル・ピープルにとって、生まれたての頭脳ほど住みやすい場所はない。つまり、年が若いほど、自分の脳に宿っているリトル・ピープルの声に素直に耳を傾けることができるのである。それは大人になってからでは至難の業ではあるが、それでも何とか1%のひらめきと99%の努力があれば不可能なことではない。

 誰しも歳を重ねることで、子どものころのような思考の柔軟さは失われていくが、それでも弛まぬ努力を重ねることによって、子どものころのような天才的なひらめきが得られることがある、といった意味ではないでしょうか。

 誰もやったことがない仕事にチャレンジするような機会はそう多くはないかもしれませんが、「何としてもやり遂げたい」という強い思いを持って果敢に踏み出していく。その行為が、後々、自分を高みに押し上げてくれることにつながっていくはずです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?