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『稲盛和夫一日一言』 12月15日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 12月15日(金)は、「逆境なおよし」です。

ポイント:順境なら「よし」。逆境なら「なおよし」。自分の環境、境遇を前向きにとられ、いかなるときでも努力を重ね、懸命に働き続けることが大切。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の「常に明るく」という項において、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 どんな逆境にあっても、どんなに辛くとも、常に明るい気持ちで理想を掲げ、希望を持ち続けながら一生懸命努力を重ねた結果が、京セラの今日をつくったのです。
 
 人生は素晴らしく、希望に満ちています。常に「私には素晴らしい人生がひらかれている」と思い続けることが大切です。決して不平不満を言ったり、暗くうっとうしい気持ちを持ったり、ましてや人を恨んだり、憎んだり、妬(ねた)んだりしてはいけません。そういう気持ちを持つこと自体が人生を暗くするからです。

 非常に単純なことですが、自分の未来に希望を抱いて、明るく積極的に行動していくことが、仕事や人生をより良くするための第一条件なのです。

 世の中の現象はすべて、自分の心が招くものです。暗く、拗ねた心で送る人生は、ろくなものではありません。そうした意味からも、物事を明るく善意に受け止めて毎日を過ごすということが非常に大切なのです。(要約)

 2011年発刊の『新版・実践経営問答 こうして会社を強くする』(稲盛和夫著 PHP研究所)の中で、阪神・淡路大震災で被災された盛和塾生からの「この災難をどう受け止めるべきなのでしょうか」との質問に対して、名誉会長は次のように答えられています。

 以前より私は、「災難に遭うということは、前世も含めて自分の魂が過去に積んできた業(ごう)が消えるときです」と、申し上げてきました。
 業とはカルマ、すなわち原因、因縁です。したがって、「災難に遭ったときは喜びなさい」とも申し上げました。

 しかしあなたは、大変な災難に遭いながら、自分や家族は無事で運が良かった、従業員やその家族に亡くなった方がいなかったのは幸運だった、とおっしゃっています。
 実は、そのことがとても大切なのです。災難に遭ったのは仕方のないことだと割り切って、少しも悲観せず、逆にこの程度で済んで良かった、業が消えて良かった、と思っていらっしゃるからです。

 そして、さらにあなたは、感謝するという心境になった、ともおっしゃっています。これも大事なことです。感謝の思いは、人間を利他行の実践へと駆り立てるからです。
 利他行の実践は、人間に素晴らしい人生を約束します。あなたは、他人から見れば大変な不幸に遭われたのに、目の前の他人のほうが可哀想だ、何とかしてあげたいと思う気持ちから、人に対する優しい思いやりが自然にできるようになってきた、とおっしゃっています。この実践を続ければ、あなたの運命は必ず素晴らしく展開していくはずです。

 そのことは、私がいつも説く人生方程式、『人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力』からも証明できます。すなわち、災難に遭ったことで、たとえ能力は変わらなくとも、前述のごとく、考え方が感謝に目ざめ、利他心にあふれていて、熱意も今まで以上に高くなっていますから、結果は悪かろうはずがありません。

 つまり、災難をどう受け止めるかで人生は変わってくるということなのです。災難を克服するのはポジティブな考え方です。災難に遭ったことでマイナス思考に陥ると、恐怖心から精神的にも大変弱くなってしまいます。そういう人は、人から愛を受ける側に回って埋没してしまうのです。

 災害、災難をポジティブに受け止めるか、ネガティブに受け止めるかということによって、人生は百八十度変わってきます。このことは、歴史上奇跡といわれるような成功例、どん底からの復興など、すべてに共通します。
 災難に遭ったことをラッキーだと捉えれば、人生は変わってきます。「ポジティブに生きていけば、神のご加護もあるはずだ」と信じ、ぜひ明るい心で頑張っていただきたいと思います。
(要約)

 「ピンチはチャンス」
 「苦しいから逃げるのではない。逃げるから苦しくなるのだ」
 「チャンスは、あなたに素晴らしい成功を授ける少し前に、
    逆境であなたの勇気を試すのです」
 「世界の大偉業の大半は、もはやこれで絶望かと思われた時にも、
    なお仕事をやり遂げた人々の手によって成し遂げられた」

 逆境における心構えを示した格言、名言は数多く存在します。自分がここぞという逆境に置かれたとき、どれかひとつでも心に留めておくことができれば、時間はかかったとしても、それが前を向くための力になってくれるのではないでしょうか。「逆境なおよし」の精神を忘れずに、しっかりと生きていきたいものです。


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