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『稲盛和夫一日一言』 8月24日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 8月24日(木)は、「この世にムダはない」です。

ポイント:この宇宙に必要であるからこそ、天地自然はすべてのものを存在させている。この世にはムダなものなど一切ない。

 2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、宇宙に存在する森羅万象すべてのものについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 人間の本質とは何か。私たちは何のためにこの世に生まれてきたのか。それは人間が生きているかぎり、永遠に追求し続ける課題でしょう。
 イスラム学・東洋哲学の大家である井筒俊彦さんは、人間の本質とは何かということに関して、次のようなお話をされています。

 人間の本質を解き明かそうと瞑想をしていくと、精妙で純粋な、限りなく透明感のある意識に近づいていき、自分自身が存在するという意識はハッキリとあるが、それ以外の五感はすべてなくなり、最後には「存在」としかいいようのない意識状態になる。それと同時に、森羅万象すべてのものが、存在としかいいようのないものから成り立っていると意識できるようになる。その意識状態こそが、人間の本質を示しているのではないか。

 つまり、生物を生物たらしめている属性 ー 肉体や精神、意識や知覚など ー を取り去ってしまうと、そこには「存在としかいいようのないもの」が現れてくる。それを核に人間をはじめとする生命はできあがっており、またその存在の核はどんな生命にも共通のものである、ということです。

 あらゆる人間、さらには生物、そして一本の木や草、道端の石ころに至るまで、あらゆるものが創造主から役割を与えられ、つまり宇宙の意志に基づいて存在していて、宇宙に存在する森羅万象はすべて、大きな宇宙という生命の一部であり、決して各々が偶然に生み出されたものではなく存在しています。

 そのなかで、人間はより大きな使命をもってこの宇宙に生かされている、と私は考えています。
 知性と理性を備え、さらに愛や思いやりに満ちた心や魂をも携えて、この地球に生み出された。まさに人間には「万物の霊長」として、きわめて重要な役割が与えられているのです。

 そうだとすれば、私たちはその役割を認識し、人生において努めて魂を磨いていく義務があり、生まれたときよりも少しでもきれいな魂になるために、常に精進を重ねていかなければなりません。それ以外に、人間としての「生き方」はないように思います。(要約)

 私は「山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)」という言葉が好きです。
 これは「山川草木悉(ことごと)く皆(みな)成仏(じょうぶつ)す」と読みくだし、すべてのものは仏の現れであるという仏教の考え方です。
 本来、「仏」とは悟りを開いた人という解釈がなされていますが、あらゆるものが仏に成(な)るというよりも、すべてのものに仏(魂)が宿っている、という解釈のほうがが自然なのではないかと、個人的には思っています。

 またこの言葉は、「眼に見えないすべてのものを含め、この世に存在するすべてのものが、私たちを本来の姿に立ち返らせようとして、間断なく働きを変えている。この世に存在するものすべての原始物質は同じものであり、そのすべてに仏性が宿る」といった解釈もあるようですが、この場合の原始物質は、井筒先生がおっしゃっている「存在としかいいようのないもの」に通じるものがあるように思います。

 『生き方』のプロローグで、名誉会長は次のように述べられています。
 私たち人間が生きている意味、人生の目的はどこにあるのでしょうか。
最も根源的ともいえるその問いかけに、私は真正面から、それは心を高めること、魂を磨くことにあると答えたいです。

 「この世にあるすべてのものには、存在意義や価値がある」
今自分が生きている意味を考えるきっかけになる言葉ではないでしょうか。


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