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『稲盛和夫一日一言』 3月11日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 3月11日(月)は、「なぜ長期計画を立てないか」です。

ポイント:今日のことさえうまくいかず、明日も分からないのに、十年先が見えるわけがない。しかし、今日一日を一生懸命に過ごすことで、明日が見えてくる。そうした一日一日の積み重ねが大きな成果となって結実する。

 2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)「ただいま、このときを必死懸命に生きる」の項で、自身が長期の経営計画を立てたことがないことについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私は、長期の経営計画というものを立てたことがありません。もちろん、経営理論に基づいた長期の経営戦略などの必要性や重要性は承知しているつもりです。
 しかし、今日を生きることなしに、明日はやってきません。明日もわからないのに、五年先、十年先のことがはたして見通せるでしょうか。

 まずは、今日という一日を一生懸命に過ごすこと、それが大切だと思うのです。どんなに壮大な目標を掲げてみても、日々の地味な仕事に真剣に向き合い、実績を積み重ねていかなければ成功はありえません。偉大な成果は、堅実な努力の集積にほかならないからです。

 先の功をいたずらに焦らず、今日一日を懸命に、真剣に生きることによって、おのずと明日も見えてくる。そうした充実した一日の連続が、五年たち、十年たつうちに大きな成果となって結実していく。
 私はそう考え、肝に銘じながら、これまで経営を行ってきました。その結果、「今日を完全に生きれば明日が見える」ことを、人生の真理として体得することができたのです。

 あふれるような熱意をもって、ど真剣に懸命にいまを生きること。目の前のことに没頭して、瞬間瞬間を余念なく充実させること。それが明日や将来を切り開くことにも通じていきます。(要約)

 また、1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSION- 』(稲盛和夫著 PHP研究所)「一日一日を懸命に生きる」の項で、日々懸命に生きることの大切さについて、名誉会長は次のように説かれています。

 私は長期のビジネス計画は立てません。今日の仕事がうまく行くかどうかも、また明日何が起きるかもわからないのに、今から十年先のことなど見通せるわけがないからです。

 かわりに、毎日を懸命に生きるよう、自分に言い聞かせています。そうすると、明日が見えてくるようになります。そして、一日一日の積み重ねが、五年後、十年後には、大きな成果を生むことになるのです。

 どうなるかわからない将来を心配するよりも、今日を大事に生きることのほうが、私にとっては大切なのです。
 今日を懸命に生きれば、結果として、かなりの正確さで明日が見えてくると明言できます。そして、将来どのように変化していくかを推測できるようにもなってくるのです。

 一日一日を懸命に生きれば、未来が開かれてきます。正確に将来を見通すということは、今日を努力して生きることの延長線上にしかないのです。(要約)

 ここでは、「長期計画を立ててはいけない」と言われているわけではありません。立てたとしても、それが将来達成できるかどうかを心配するあまり、目の前の仕事に集中できないといった状況に陥ってしまうぐらいなら、長期計画など立てないほうがましですよ、と言われているわけです。

 私も京セラに入社してまもないころ、上司から「その時、その場にならなければ誰にもわからないことについて、早くからあれこれ気をもむのは意味がない。そんなことに使う時間があるなら、目の前の仕事に集中しなさい」と指導されたことがあります。
 40年以上前に言われたことではありますが、今でも事あるごとに頭の中に浮かんできては、自らを戒めてくれる貴重な教訓となっています。

 どうなるかわからない将来を心配するよりも、今日を大事に生きること。そして、将来の可能性を膨らませる、あるいは将来の心配を少しでも減らせることに気づいたなら、今からでもすぐに手をつける。そうしたことが大切なのではないでしょうか。


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